横溝正史著作『八つ墓村』。
作中で8件の殺人事件が起こりますが、このすべての犯人は『森 美也子』です。
過去の夫殺しも入れると彼女が殺害した人間は計9名。
化けの皮が剥がれる様は中々に衝撃的でした。
「恐ろしい女でしたな。すごい女でしたな。
金田一耕助ファイル1 八つ墓村より
昼は美貌と才気であらゆる男を魅了しながら、夜はうば玉の闇の衣を身にまとい、殺人鬼となって、洞窟の奥から奥へと彷徨する。
天才的毒殺魔であると同時に、天才的殺人鬼でもあったわけです。
ああいうのを女妖というのでしょうか」
この記事では『犯人・森 美也子』について
- 犯行動機(なぜ連続殺人をしたのか?)
- そもそもどんな人物なのか?
- 殺害した人物及びトリック解説
- 最後どうなったのか?(逮捕や死亡は?)
をネタバレ解説していきます。
この記事では原作小説を参照しています。
映画・ドラマ版では変更が多いのでご注意ください。
『森 美也子』とは?
まずは『森 美也子』という人物について、簡単な解説です。

▼美也子の関係者図解

美也子の殺人動機は?
結論から言うと、美也子が連続殺人を犯した動機……最終目的は「里村慎太郎と結婚すること」でした。
男女の駆け引きなど難解な描かれ方がされていますが、できるだけ簡単にまとめると……
美也子と慎太郎は本当に愛し合っていた。
↓
美也子が夫を殺したのも慎太郎と結婚するためだった。
↓
しかし軍人だった慎太郎は戦後落ちぶれた。
貧しい慎太郎と、戦争中にダイヤモンドを買い占めて金持ちの美也子。
気位の高い慎太郎は結婚の申し込みなどできない。
↓
美也子は「慎太郎が田治見家の遺産を継いで金持ちになれば、プロポーズしてくれるだろう」と考える。
↓
慎太郎より相続順位が高い田治見本家の人間を皆殺しにする。
(カモフラージュとして関係のない人間も殺害)(辰弥のみ失敗)
ということです。
難解な慎太郎への愛

補足しておくと、美也子は作中で「慎太郎を愛していた」などとは言っていません。
むしろ「戦時中の情報を知るために軍人の慎太郎を利用していた」と口にだしており、
周囲も「戦後落ちぶれた慎太郎が捨てられた」という認識でした。
しかしこれは美也子のパフォーマンスだったのでしょう。
結局のところ、典子の考察が正解でした。
「都会的で金もある美也子が戦後4年も田舎に居続けているのは、慎太郎からの結婚の申し込みを待っているから」。
事実、美也子は「あなたが黙って死んだら、慎太郎がすべての罪を背負うことになる」と言われたとたん、何もかも自白しました。
負けるのが大嫌いな美也子が、金田一相手に負けを認め、「慎太郎は何も知らないのだ」と庇いだてしました。これが愛の証明でしょう。
9人殺すほど、美也子は慎太郎との結婚を望んでいた……ということです。
殺害トリックと殺害理由一覧

美也子が作中で殺害したのは計9人。
被害者名、殺害方法(トリック)、殺した理由は下記の通りです。
| 被害者名 | 殺した理由 殺害方法(トリック) |
|---|---|
| 森達雄 (美也子の夫) | 慎太郎と結婚するために殺害(したと思われる)。 毒殺。表向き脳溢血として処理された。 |
| 井川丑松 | カモフラージュで殺害。 隙を見て、薬を毒薬入りカプセルとすり替えた。 |
| 田治見久弥 | 田治見本家の人間なので殺害。 あらかじめ薬局で、久弥用の薬のカプセルに毒を仕込んでいた。 |
| 蓮光寺の 洪禅和尚 | カモフラージュで殺害。 混雑に紛れ、食事(会席膳)に毒を盛った。 |
| 梅幸尼 | カモフラージュで殺害。 混雑に紛れ、食事(会席膳)に毒を盛った。 |
| 濃茶の尼 | 梅幸尼殺人において証言されると厄介な事項ができたため、口封じとして殺害。 絞殺。 |
| 田治見小梅 | 田治見本家の人間なので殺害したが、タイミングは偶発的。 洞窟内で上から躍りかかって絞殺。 |
| 久野先生 | カモフラージュ・口封じ・犯人役擦り付けなど複数の動機があったと思われる。 洞窟内に連れ込み、握り飯に毒を盛った。 |
| 田治見春代 | 田治見本家の人間なので殺害。 洞窟内で、鍾乳洞のかけらで刺した。 |
犯人容疑を久野先生に擦り付けるトリック

久野先生は、医者としてライバル関係である新井先生を殺したいと考え、妄想で殺人計画を練っていました。(実行する気はない)
推理小説が好きだったため、自分が新井先生を殺したとわからないように「村内で対立する立場の内、片方が殺されていく」というカモフラージュ動機まで考えていました。
しかし殺人計画を書いた手帳が濃茶の尼に盗まれ、偶然美也子の元へ……
美也子はこれを本命の「田治見家皆殺し」という動機のカモフラージュとして利用。
久野先生の自筆メモを犯行現場に置くことで、犯人を擦り付ける工作などを行っていました。
他にも「辰也を村に連れてきていながら、村に来ることを拒む怪文書を送る」など、本意と逆の行動で「犯人は自分ではない」と思わせる工作も。
行動力も演技力も思い切りも良すぎる殺人犯です。
【死因】森美也子の最後は?

美也子は春代に嚙まれた傷が元で死亡しました。
- 全身が紫色に腫れあがり
- 骨肉をくいあらす苦痛にのたうちまわりながら
の死亡。
AIに聞いてみましたがきちんとあり得る死因らしく、現代医学で言うと
人咬傷から細菌感染→ 壊死性軟部組織感染症(壊死性筋膜炎など)→ 敗血症で死亡
というイメージらしいです。
犯人だとバレないよう、噛まれたことを隠していた(医者の治療を受けなかった)ことも大きいでしょう。自業自得です。
苦しみのたうちまわる……連続殺人犯の最後としてはふさわしいですが、
そんな状態の美也子から真相を聞き出すしかなかった、金田一の苦労もしのばれます……。
美也子の人を惹きつける魅力・巧妙さなどは、原作の風情ある言い回しでしか伝わらない部分があります。ぜひ原作小説でお確かめください。

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