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『口に関するアンケート』原作考察&あらすじ解説。赤文字、じゃあ死にますね等

背筋さんの小説『口に関するアンケート』。

一度読んだだけでは「どういうことだ?」「これは誰の語りだ?」「赤い文字には何の意味が?」「最後のアンケートは何だ?」と疑問だらけでした。

しかし読み返して整理し、他の方の考察も読んでかなり理解できたため、

この記事では全ての考察をあらすじからまとめていきたいと思います。

あらすじ解説※ラストまでネタバレあり

まずはあらすじと登場人物の簡単な解説です。

杏以外の人物5名が、「杏が心霊スポットで自殺した件」について交互に話している……

その録音の体で話が進みます。

二度語っている人もいますが、最後には全員死亡しており、各自最期の語りが赤文字になっている……という仕様でした。

以下簡潔に要約しています。

本編ネタバレ解説

一番手、村井翔太。

  • 大学で知り合った友人同士で
  • 『呪われた木』が有名な心霊スポット『K霊園』に行き
  • 一か月後にその内の一人『杏』が死んだ

ということを語る。

二番手、川瀬健。

一か月後、杏の遺体発見に貢献した人物。

オカ研仲間である颯人と二人で肝試しに行った際、「呪いの木」の下で髪の長い女がしゃがみ込んで、穴を素手で掘っているのを目撃。

女は「地獄は下にありますから」「高くしないと。高くしないと」と言っており、

【考察】

「地獄は下にありますから」……「地獄に落ちろ」と言うので「地獄に行こうとしている」ということかな?

「高くしないと」……羽化するために高いところに昇りたがるセミの怨念か、または自殺の為のロープを足がつかない高いところにくくらないという意味か……

普通の二倍くらいの首の長さがあった。

口からもセミの鳴き声がした。(ここまで語って死亡)

三番手、伊藤竜也。

肝試しメンバーの一人で、杏の彼氏。

行きのコンビニで杏と喧嘩していた。

一人ずつ木の傍を通る肝試しで二人目として向かったが、 一人目だった翔太と話をするために道をショートカット。

すると「木の前を通らなかった」という件について、翔太からひどく責められた。

その後、異常なまでのセミの鳴き声が聞こえた。

肝試し以来おかしなことばっかり起こっている。

何かに背を押されて階段から落ちそうになったり、気が狂いそう。

四番手、原美玲。

肝試しメンバーの一人。向かう順は翔太→竜也→杏→美玲だったため、最後だった。

霊感っぽいものがあり。

行きのコンビニ1回目で、杏から「翔太からヨリを戻したいとLINEが来た」と相談されたが突っぱねた。(杏と竜也が揉めたのは2回目のコンビニ)

翔太が肝試しに行った後しばらくして胸騒ぎがし、「よくないことが起こる」という確信を抱く。

そして杏が行った後大音量のセミの声が聞こえ、木の近くまで走ったら、杏が木に登ろうとしていた。

爪が剥がれても何度も登ろうとするのをを引きはがし、羽交い絞めにして車に戻った。

杏は車に乗せても「上に。上に」と言っており、次の日からは学校に来なくなった。

五番手、堀田颯斗。

健と二人で肝試しに行ったオカ研部員。

  • ヤバい女に健が話しかけたこと
  • 逃げた後、本物の人間だった場合を鑑みてファミレスで警察に通報したこと
  • 結果、杏(面識は無し)の遺体発見に至ったこと

を話す。

木の裏で首を吊っていた模様。

首が長いのは、身体の重みで伸びたのか?

六番手、原美玲(2回目)

呪われた木ではなく呪いの木。

勝手に人が噂話をや肝試しをしたから、木が勘違いして力を持っちゃったのでは?
(ここまで語って死亡)

七番手、堀田颯斗(2回目)

美玲と似た考察。 人を呪うお願いごとを真似する人が増え、呪いを叶える木として「呪いの木」から「呪われた木」、「呪われた木の下では幽霊が見える」となったのでは。

ならば自分もその一端だ。(ここまで語って死亡)

八番手、伊藤竜也(2回目)

杏のことを奪ったみたいになって、翔太には申し訳ないと思っていた。

でも結婚の約束をしたばかりだったのに、「翔太からヨリを戻したいというLINEが来た」と杏から知らされて、 自分の気を引こうとしている杏にムカついていた。

肝試しでショートカットしたのは、その件で翔太にも一言言ってやりたかったからだと明かす。

でも、これからも友達でいたいとは思っていた。

(ここまで語って死亡)

九番手、村井翔太(2回目)

肝試しに誘ったのは自分だった。

杏を取った竜也に死んでほしくて、人を呪う方法を調べたら「呪いの木」が出てきたから。

一番目に向かった木の下で、「もうすぐあなたの前を通るやつを殺してください」 (その場にあった)「羽化する途中で死んだセミの死骸のように殺してください」とお願いした。

結婚の約束をした後のような、人生最高の瞬間を前に。

ところが竜也は木の前を通らず、「もうすぐあなた前を通るやつ」は杏になった。

本当に好きだった。こんなことになってごめ(ここまで語って死亡)

じゃあ、死にますね(これは誰の音声か不明)

この後、『口に関するアンケート』が続く……(この部分は創作怪談だと書かれている上でのネタバラシだと思われる)

考察

部分的な考察は上に含んでいますが、プラスで気になる部分です。

アンケートには何の意味がある?

最後になぜアンケートがついているのか?

個人的な考察ですが、これは本文だけでは意味がわからなすぎるため補足的なネタバラシだと感じました。

問7 前掲の文章を音読後に、大学生5人が霊園の大木の下でロープを首にかけた状態で、あの日のことを語りあい、自分が話し終えて許されると、ひとりずつ台を蹴って自ら命を絶った光景をイメージしましたか?

例えばこれは、本文を読んでそこまで想像できなかった人……

「死んだのは最後の語り手である翔太だけで、それは自分がやったことを後悔しているから」だと感じた人

などへの修正とも取れますよね。

創作だと言いながら、余計に怖い方向に修正してくるのが面白い

赤い文字の意味は?

あらすじのところで書きましたが、

赤文字は各キャラクターの最後の語りだと思われます。

語り終わりが赤文字になっている人物は、二度目の語りはありません。死んだんでしょう。

口は災いの元とは?

裏表紙&アンケート一問目にもなっている『口は災いの元』。

これは間違いなく『杏』の口ことだと思います。

承認欲求が強そうで、モテていることが嬉しいのか、なんでもペラペラ話してしまうこの女。

翔太が竜也を殺そうとしたのは、杏が元彼である翔太に「竜也にプロポーズされた」と漏らしたからでしょう。

竜也はまさか杏が話しているとは思わなかったはずです。

でなければ、「自分がプロポーズした相手にヨリを戻そうと言ってくる男」に「これからも友達でいたい」とは思わないですよね、さすがに。

さらにです。

本来のターゲットである竜也ではなく杏が死んだのは、杏が「翔太からヨリを戻そうと言われていることを竜也に伝えたから」です。

だから竜也は翔太と話すために肝試しをないがしろにした……

これさえ黙っておけば、死んだのは竜也だった。

災いを呼び込んだのは、杏のおしゃべりな口です。

「じゃあ死にますね」とは

これは本当にハッキリわからないのですが……

翔太が話し終わる前にセミの鳴き声が入り、

これが「もう語りは終わりでよい、お前の番は終わりだ」の合図だったとしたら。

そこからセミの声が続いた数分の間で、木にロープを括って首をかける準備をして、

「じゃあ、死にますね」という翔太の最後の宣言……と言ったところでしょうか?

感想。怖い・つまらないという意見についても

電子書籍で買ったんですが、最初短くてビックリしたんですよ。

背筋さんの作品だと「近畿地方のある場所について」を読んだことがあったんですが、そちらと比べてしまうと随分あっさりとしているというか。

つまらないと言っている人は、あの重さを期待していたのかもしれませんね。

でも短い本作の中にも、本のサイズや赤文字もそうですが、できる限りの「仕掛け」が作られていて、丁寧に作られているなぁと感じます。

考察もそうですが、読み終わってもしばらく離れられない本というのは良いですね。

怖いかと言われると、想像力によるところが大きいと思います。

夜の墓地で蝉が大音量で泣き、人を埋めるような穴を掘る女がいる…… 実際あると大迫力だと思うので、映画とかだと良さそうですが。 じわじわくる怖さっていうのは、そこまでだったかなと個人的には感じました。

ただ、杏が死んだ後も竜也が階段から突き落とされそうになっているのは見逃せない一文ですけどね。

翔太反省してないなぁ……

おすすめはこっちです↓

近畿地方のある場所についてネタバレあらすじ記事へ

紹介した書籍▼

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