あまんきみこさんの小説『白いぼうし』。
小学校の国語教材として長く親しまれている作品ですが、「女の子は誰だったの?」「少し怖い」と感じる人も……
この記事では『白いぼうし』の
- あらすじ
- 怖い?女の子の正体は?
- 考察(夏みかんの意味、題名の理由)
をわかりやすく解説します。
目次
『白いぼうし』のあらすじ

暑い6月のはじめ。
タクシー運転手の松井さんは、お客さんと「夏みかん」の話をしていました。
母親がもぎたてを速達で送ってくれた夏みかん。
松井さんはうれしくて、一つ車に乗せてきたので、車内は夏みかんの匂いでいっぱいです。
お客さんを降ろして再びアクセルを踏もうとした松井さん。
しかしそこで、白いぼうしが落ちているのを見つけました。
車でひいてしまわないように、移動させなければ。
松井さんがぼうしをもちあげると……下からモンシロチョウがとびだしました。

ぼうしの持ち主「たけのたけお」くんがせっかく捕まえていたのに……
松井さんは代わりに夏みかんを入れて、ぼうしがとばないように石で押さえておきました。

タクシーに戻ると、後ろの席におかっぱの女の子が乗っていました。
「道に迷った」という女の子は、「なの花横丁」まで行きたいと言います。
モンシロチョウを捕まえた男の子が近づいてくるのを見て、「早く行って」とせかす女の子。
松井さんがタクシーを出発させつつ、男の子の反応を想像しているとーー……
後部座席から女の子が消えていました。

窓から小さな団地前の小さな野原が見えました。
そこに20匹、30匹と飛ぶモンシロチョウ。
それをぼんやり見ていると、かすかにこんな声が聞こえてきました。
「よかったね。」
「よかったよ。」
登場人物

【意味調べ】ほりばたとは?
堀端(ほりばた)とは、堀のそばにある場所や道のことです。
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『白いぼうし』は怖い?

検索すると「白いぼうし 怖い」というキーワードが見つかります。
急に現れた迷子の女の子が、急に消えるからでしょう。
そしてこの女の子には、他にも奇妙な言動がみられます。
松井さんがタクシーに戻ると、女の子が後部座席にちょこんと座っている
→小さな女の子が一人でタクシーに、勝手に乗り込んでいることってある?
モンシロチョウを捕まえた男の子がやってくると「早く行って」と急かす
→男の子を怖がっている?
松井さんが考えごとをしている間に、いつの間にかいなくなっている
→人間ではなかった?
後部座席に急に人がいたり、いなかったりしたら……
確かに、幽霊を想像してもおかしくありません。
しかしこのお話、個人的には怖いものではないと思います。
女の子は幽霊ではなく、「モンシロチョウの化身」のように描かれているからです。
化身とは?
→あるものが別の姿になって現れること
女の子の正体は?考察

この物語は
「モンシロチョウが女の子に化け、自分を助けてくれた松井さんを頼ってきた」ともとれます。
女の子がモンシロチョウだったなら……
- 自分を捕まえた男の子をを怖がった
- 目的地が「なの花よこ町」
- 女の子が野原の前で急に消えたわけ
これらもすべて合点がいきますね。
よかったね。よかったよ。の意味は?

最後のシャボン玉のはじけるような、小さな小さな声の
「よかったね」「よかったよ」。
これは、
「男の子から逃げれて」「ちゃんと野原まで戻ってこれて」
「よかったね」「よかったよ」という意味でしょう。
モンシロチョウは、逃げた後も建物ばかりしかみつからず、野原へ戻る方法が分かりませんでした。
だからこそ送ってくれた松井さんに、モンシロチョウは二度助けられたことになります。
夏みかんは何を意味する?

作中で夏みかんは「他人を思いやる心」の象徴として描かれています。
二人の人物が夏みかんを『贈り物』として活用していますが……
- 松井さんのお母さん
- 松井さん
二人とも相手の気持ちを非常に細やかに考えているのです。
一人目は松井さんのお母さん。
もぎたてを「匂いまで届くよう」速達で。
面倒くさがらずに、収穫後すぐに送ってくれることも、
通常配送よりお金がかかる「速達」を使ってくれるのも、
愛情の証だと思います。
そしてそれを理解して、心から喜んだ松井さん。
今度は松井さんが、見知らぬ子どものために夏みかんを使います。
単に「夏みかんをいれとけば喜ぶだろう」という思いつきではなく、
「チョウが変身して夏みかんになったと思えたら…」と、子供の気持ちになって想像したうえでの贈り物です。
母親から受け取った思いやりを、別の誰かへ渡す優しさの連鎖。
夏みかんは「他人を思いやる心」の象徴として描かれています。
題名が『白いぼうし』なのはなぜ?

「夏みかん」が重要なアイテムにも思えるのに、「白いぼうし」がタイトルなのはなぜなのか?
これはやはり、白いぼうしこそが「不思議な出来事の始まり」……
物語の起点だからだと思います。
ぼうしを松井さんが拾い上げたから、
モンシロチョウが飛び立ち、その後に女の子が現れて、消えた。
一方夏みかん。
爽やかで魅力的な描かれ方がしていますが、白いぼうし無しだと「果物を乗せたタクシーの話」として終わってしまいます。
物語のきっかけは「白いぼうし」なので、こちらがタイトルとなったのでしょう。
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