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夕木春央『楽園』ネタバレ解説|「十戒」とのつながりは?続編?

夕木春央『楽園』ネタバレ解説|「十戒」とのつながりは? 小説・実用書

夕木春央のミステリー小説『楽園』。
表紙の類似性から予測できますが、『方舟』『十戒』に続く続編です。

1作目の『方舟』↓

2作目『十戒』↓

3作目『楽園』(今回)↓

この記事では

  • 『楽園』のあらすじ・舞台・登場人物
  • 事件のトリックと犯人
  • 『方舟』『十戒』とのつながり

ネタバレありで図解解説していきます。

あらすじ

殺人犯にならなければ脱出できない。

『方舟』『十戒』の著者が仕掛ける“禁忌の驚き”

亡き両親から不動産を譲り受けた康之は、失踪した賃借人・海原の遺留品整理の際に、群馬の山奥の謎の物件の存在を知る。

そこは、切り立った岩壁に囲まれた、「楽園」と呼ばれる奇妙な場所だった。

恋人の沙織と一緒にそこを訪ね、探索をはじめた康之たちは、すぐに六人の“住人”に拿捕だほされた。脱出のための条件はーー

「誰か一人を殺さなければならない」

――夕木春央が描く、極限のクローズド・サークル。

Amazonあらすじより

このあらすじは、わざとぼかされていますね。

「楽園」とは何なのか……絶対自分で読んでほしいです。

今回もほんっっっとうに期待を裏切らないストーリー。
単体でも読める内容ですが、特に『方舟』『十戒』が好きなら、ネタバレなしで読んだほうが絶対に良いです。

ほんとうに……ほんっとうに……!!今年読んだ本で、今のところ1位です。

以下、ネタバレが含まれますのでご注意ください。

『楽園』図解

周囲が高さ10メートルの岩壁に囲まれた土地。母屋・離れ・物置小屋・畑がある。道は一本。

登場人物

・主人公:迫田康之。海原の住んでいるマンションを管理している。
・沙織:康之と付き合って約1年。
・海原早苗:60代、行方不明。
【楽園の住人(全員指名手配犯)】
※海原早苗が息子の為に集めた人物たち
・小田島梧郎:一家惨殺・強盗。楽園のリーダー的存在)
・矢林慎吾:男子中学生を強姦。リフォームが得意。30代。
・宮野佳子:放火犯。60代。
・三国聡:運び屋バイト→殺人。20代。
・芹澤涼平:殺人。
・山田貞義:政治家襲撃。
尚、海原早苗の息子「海原宏」は既に死亡している。(罪は不倫相手とその夫殺害)

ネタバレ解説

ここから、結末までのネタバレを含んだ解説です。

【時系列順】出来事まとめ

主人公たちが楽園にいたのは19日間。
まずは出来事をザっとまとめてみます。

約1年前康之が沙織と出会う→付き合い始める
10日
ほど前
海原さんが失踪。
初日康之&沙織で捜索へ。
覚え書きとして残されていた群馬の山奥の住所へ向かう。

隠れ住んでいた指名手配犯六人に捕えられ、監禁される。
3日目「住民の誰かを殺して証拠(撮影動画)を預け、物資係として協力しろ」
(海原さんの代わりをしろ)
と命じられる。

タイムリミットは約1か月。
5日目康之に「新山さん家の塀が壊れている」と電話がある。
「来月初めの三連休に防犯カメラを確認する」ということで話がつく。
9日目
~11日目
芹澤が自殺に偽装されて殺された。
犯人不明。

山田に「芹澤の死体で殺人の練習をしろ」と説教された後、芹澤の死体が傷つけられていた。

康之は「殺人・遺体損壊を沙織がやった可能性」について考える。
15日目小田島が毒殺された。
使われたヒ素は見つかるが、犯人不明。自殺説も。

沙織から「全滅させて出る」選択肢を匂わされる。
16日目沙織が残る住民4人に、「5日以内に一人殺害してビデオに録る」と約束した。

小田島の死体を使って「練習」した沙織に、康之も倣う。
17日目
~18日目
康之は沙織が小田島・芹澤を殺した方法に気づき、

沙織も自分がやったと認めた。

「全員殺すなら三國のピストルを奪えば有利になる」と言う沙織に、

康之は共犯になることを決意する。
19日目
深夜
二人で三國を殺害。
その後、沙織から全てのネタ晴らしをされる。

自分が海原を殺害し、次の土曜になればそれが(新山さん家の)監視カメラでバレてしまうこと。

だから隠れ住む当てとして『楽園』にやってきたこと。

「沙織は本名ではないが、康之くんへの愛は本物」だと言う彼女を……

康之は受け入れた。

尚、沙織の「里英は芸大に入ったところ」みたいなニュアンスから想像すると、

十戒から約2年後の出来事かなと思います。

  • 十戒→11月
  • 康之が引っ越してきた沙織と出会う→(翌年の?)9月
  • 今回→その約1年後

真相の相関図

沙織(=絲山麻衣)は、実は海原早苗を殺害しており、証拠を残してしまっていた。だから指名手配犯のシェルターである『楽園』に住むつもりでいた。
ちなみに海原を殺害した理由は、海原の息子『宏』が沙織の両親を殺害したこと。
宏が殺害した『不倫相手とその夫』は沙織の両親だった。

沙織は必要ないのに『楽園』で三人も殺害した。その動機は
・小田島→現在離れに住んでおり、自分が隠れ住むあかつきには離れに済みたかったから。
・三国→自分が殺した海原に懐いていたから今後の不和を起こさない為
・クチャラーであることと、犬アレルギーであるため(沙織は今後犬を飼いたいと思っている)
以上に加えて、康之の負担が重くならないよう口減らしをするためだった。

殺人事件解説

作中で殺されたのは4名です。その内犯人が分からないよう偽装工作が行われたのは

  • コーヒーにヒ素を入れられた小田島
  • 物置小屋で殺された芹澤

です。

内、若干ややこしい芹澤殺しのトリックを解説していきます。

芹澤は物置小屋で自殺に偽装されて殺されており、

閉まっていた物置小屋の鍵は、リビングの薬かごに入ってい
※但し殺害時刻後、常にリビングには人がいた。

このトリックは『離れの鍵と物置小屋のドアノブを入れ替えた』です。

①物置小屋のカギについていた革のキーホルダーを、離れのカギに付け替える。
この後、殺人を行う。
②物置小屋のドアノブと、離れのドアノブを交換する。
③革のキーホルダーがついた鍵が、薬かごから見つけられる。
元々は離れのカギだったものが『物置小屋のカギ』として認識される。

これにて沙織たちのアリバイが完成しました。

方舟・十戒を読んだ後だと面白さが倍増する

沙織と康之が作っていたパエリア

麻衣さん…!!!!

沙織=麻衣さんだと「前職は観光開発の会社」と明かされたところ(全体の6%部分)で気づいてテンションぶちあがりました。

そこからはもう、なんで偽名使ってるの?とか、「絶対自殺は選ばない」発言でそうだよね知ってるーー!となったり、「危機管理能力高い麻衣さんがここで逃げないだと?何かがおかしい……」となったり。

シリーズ初見の人とは絶対違う楽しみ方ができました。

そして今回の主人公も!方舟の主人公『柊一』を思い起こさせる人物で!!

もしかしたら、僕は未だに運命的な何事かに憧れているのかもしれない。

という独白から、期待がつのりましたね。見捨てないエンドの。

そしてラストですよ。もう本当にすごい……。

方舟十戒を経た麻衣さんがたどり着いた先を読めて大満足です。

まとめ&感想

小説『楽園』ネタバレ解説|犯人・トリック・「十戒」とのつながりについてをまとめると……

  • 「楽園」は「方舟」&「十戒」後に読むのがおすすめ。
  • 今回沙織(麻衣さん)は四人殺害した。
  • 指名手配犯になる予定だが、逃げ隠れる住居を手に入れた。
  • 沙織は物資を運んでくれる協力者だけでなく、一線を越えて自分を愛してくれる恋人を得た。

ということでした。

犯罪者が集まるコミュニティなのに、麻衣さんしか殺人しなかった……

続編は展開的に難しそうですが、続いてくれたらめちゃくちゃ嬉しいです。

絶対おすすめできる作品でした。まだ読んでない人はぜひ!▼

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