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星の王子さま狐の名言『大切なものは目に見えない』を解説。あらすじから

星の王子さま狐の名言『大切なものは目に見えない』を解説。あらすじから 古典名著

「本当に大切なものは目に見えない」。
『星の王子さま』を読んだことがなくても、この名言は耳にしたことがある人が多いでしょう。
※翻訳によっては「大事なものは目に見えない」となっています。

ただこの一文だけを聞いても、口にした「キツネ」の意図はピンとこないかもしれません。

私はあらすじや発せられた背景を含めて、やっと言いたいことが理解できました。

この記事では

  • キツネは『星の王子さま』においてどのようなキャラクターなのか?
  • どのような場面でこの名言を言ったのか?要約あらすじ
  • 『本当に大切なものは目に見えない』の意味は?
  • 名言製造機キツネの他の名言

を解説していきます。

キツネとは?王子さまに『飼いならして』と言う

キツネ

王子さまは、自分の星で大切にしていたバラが「宇宙で唯一の存在」だと信じていました。
しかし地球に似たバラがたくさん咲いているのを目にし、特別な存在ではなかったことに消沈します。

そんな折に出会ったのがキツネでした。

キツネは「鶏を追いかけ、人間に追いかけられるだけ」という退屈な毎日を送っていました。

だからこそ王子さまと会って「飼いならしてくれ」と頼みます。

勘違いしてはいけないのは、「飼い慣らす=都合よく支配する」ではないということです。

キツネは「飼いならす=絆を結ぶこと」だと王子さまに説明します。

今自分(キツネ)にとって、王子さまは他の人間と何ら変わらない。
けれど時間をかけて親しくなることで、自分にとって唯一の友達になる――そういう意味なのです。

王子さまはこれを聞いて、自分の星に残してきたバラが自分を「飼いならして」いたことに気づきます。

そしてバラが他のどの花とも違う「ボクだけのバラ」であると理解していくのです。

王子さまとバラの関係▼
星の王子さま|バラと王子の関係から学ぶ愛について【名言考察】

「大切なものは目に見えない」の名言シーン

黄金色の麦の麦畑

では、『大切なものは目に見えない』という名言はどのような流れで出てきたのでしょうか?

友達になった王子さまとキツネ。
しかし王子さまが自分の国へ帰る日が決まり、キツネは涙を流します。

王子さまは問いかけました。
なぜ別れがくるのを分かっていて、「飼いならしてくれ(絆を結んでくれ)」なんて言ったのか…?

その問いへの答えがこれでした。

「それでは、大事な秘密を教えてあげよう。
とても簡単なことさ。
それはね、ものごとはハートで見なくちゃいけない、っていうことなんだ。
大切なことは、目に見えないからね」

「君がバラのために使った時間が長ければ長いほど、バラは君にとって大切な存在になるんだ」

キツネは黄金色の麦を見るたび、金髪の王子さまを思い出すと言います。

ハッキリしているとは言い難い、問いへの答え。しかし王子さまはキツネの言いたい事に辿り着きます。

王子さまが名言の答えに辿り着く

きれいな星空

ーー星がきれいなのは、星に花が咲いているからだよ。もちろん、花は見えないけど……。

王子さまはキツネの言をうけてこう言います。
ここでいう『花』とは、王子さまの大切な『バラ』のこと。

つまり『大切なものは目に見えない』とは、

「絆を結んだ存在がいるからこそ、その存在が目に見えなくても、その場所自体が魅力的になる」……という意味ではないでしょうか?

キツネにとっても、小麦畑はこれまで何の意味もない風景でした。
しかし王子さまを思い出させる黄金の小麦は、王子さまがいなくなった後も美しく見えるのです。

キツネはこれを「人生があったかくなる」と表現しています。

キツネは「人生の豊かさ」を得る為、別れの寂しさを知りながらも王子さまに飼いならされることを選んだ……ということです。

【解説】砂漠が美しい理由

砂漠にある井戸

ーー砂漠がきれいなのは
と、王子さまが言いました。
ーー砂漠のどこかに井戸があるからだよ。

『星がきれいなのは星に花が咲いているから』と似たフレーズのこの言葉。

王子様がこれを言った後、主人公のパイロットは、探し求めていた井戸を突如見つけます。

砂漠に井戸。これだけ聞くと「都合がよすぎる…」と感じるでしょう。

しかし「主人公パイロットが遭難していた」という状況が「精神的な比喩」であるとすれば……?

例えば原文では「飛行機のエンジンが故障した」ではなく「ボクのエンジンが」と言っているそうです。

自分の原動力が無くなって、水(心の潤い)も枯渇している…生きる活力が湧かない状態。

しかし主人公は、王子さまの言葉で幼い頃の美しい記憶を思い出しました。

忘れて干からびて、砂漠のようになっていた心から、主人公は水源を見つけた……

大切な見失っていたものを見つけた……そういう意味かもしれません。

『大切なものは目に見えない』は想像力必須

目を閉じて想像する人

『大切なものは目に見えない』という言葉は、パッと見でいいことを言っているなと感じてしまいますが、

理解は案外難しい言葉かもしれません。

王子さまのように、自分自身の状況に重ね合わせ、心の中でかみ砕いてやっと分かってくる……

「想像力」必須の言葉と言えるでしょう。

大切な人と離れてしまったとしても、その人が見えない場所にいても――。
一緒に過ごした時間や思い出は、小麦畑のように何気ない風景に結びつき、そこを輝かせる「大切なもの」として残り続けます。

ただしシンプルな世界で生きているキツネとは違い、現代人は情報のノイズに囲まれています。
そんな環境でどれだけ大切なものを見失わずにいられるか――……

私たちは殊更注意深く、この言葉を覚えておくべきな気がしますね。

キツネは名言の宝庫

正面からのキツネ

名言製造機と言ってもいいほど、キツネは『星の王子さま』の中で達観した言葉を数多く残しています。
ここではその中から、特に印象的なものを2つ紹介します。

君は、飼いならしたものしか知ることができないんだよ

これは友達を求めていた王子さまに向けた言葉です。

友情は店で買える既製品とは違う。
お互いに時間をかけ、辛抱強く少しずつ築き上げていくもの。

そうしてやっと本当に知ることができるのだと、キツネは王子さまに教えます。

「人間たちは、みんな、このことを忘れてしまっている。
だけど、君は忘れちゃあだめだよ。
君は、いったん誰かを飼いならしたら、いつまでもその人との関係を大切にしなくちゃ」

ここでキツネが語っているのは「責任」のことです。
一度絆を結んだなら、その関係を最後まで大切にする義務があるということ。

現代では「自分を不幸にする人とは離れるべき」という風潮もありますが……

喧嘩した友人、うまくいかなくなった恋人や夫婦関係を本当に捨てていいのか?
一度ストップをかけて、考えさせてくれる名言です。

まとめ

王子さまとキツネの後ろ姿
  • キツネは「飼いならす=絆を結ぶこと」と王子さまに教えた。
  • 王子さまはその教えから、自分のバラが「他とは違う唯一の存在」であることに気づく。
  • 「大切なものは目に見えない」という言葉は、友情や愛情の本質を示す名言。
  • 王子さまはさらに「星がきれいなのは、星に花が咲いているから」と答え、絆が場所や風景を特別なものに変えると理解した。
  • 砂漠や井戸のシーンは「心の潤い」「生きる力」を象徴する比喩として描かれている。
  • この言葉を理解するには「想像力」が不可欠であり、自分の経験や記憶に照らして初めて深く理解できるもの。
  • キツネは他にも「飼いならしたものしか知ることができない」「関係を大切にする責任がある」といった名言を残している。

絆や愛情の本質を思い出させてくれる『星の王子さま』。
まだ読んでいない方、もう一度じっくり読み直したい方は、ぜひ手に取ってみてください。

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