このサイトではAmazonアソシエイト・アフィリエイトプログラムを使用しています。

『たけくらべ』登場人物相関図&現代語訳の短いあらすじ

『たけくらべ』登場人物相関図&現代語訳の短いあらすじ 古典名著

樋口一葉の代表作とも言える『たけくらべ』。

1895年(明治28年)に発表されたこの作品は、吉原の遊廓に近い町を舞台に、思春期の少年少女の繊細な心理を描いた名作です。

この記事ではそんな『たけくらべ』をイラスト入りで解説。

  • 登場人物一覧と、相関図(関係図)
  • 現代語訳で出来る限り短くしたあらすじ

をお送りします。

登場人物まとめ

美登利イメージイラスト
気の強そうな表情、しゃぐま髷

まずは登場人物をざっと紹介します。

メインになるのは、美登利・正太、信如の三人。
サブキャラ的立ち位置で長吉・三五郎あたりが挙げられます。

相関図は、あらすじ後のおさらいとして後程掲載します。

名前特徴
美登利(表町)元気で活発だった少女。途中から性格が変わったようになる。推定14歳。
正太(表町)筆屋の息子。美登利と仲が良く、彼女の変化を気にかける。推定14歳。
信如(しんにょ)(横町)龍華寺の息子。内気で真面目な性格。最終的に学林へ修行に行く。15~16歳。
長吉(横町)の不良グループの中心人物。乱暴者で、喧嘩好き。16~17歳。
三五郎(横町住み表町派)滑稽でおどけた性格。商売の才能があり、正太の友人。
美登利の母美登利の変化を見守る人物。娘が落ち着いたことを喜ぶ。
遊郭に家族ごと面倒を見て貰っている。
筆屋の女房正太の家の女性。町の出来事をよく知っている。
信如の父(大和尚)龍華寺の住職。商売気があり、世俗的な僧侶。
信如の母もともと檀家の女性だったが、住職と結婚し、信如の母となる。
お花信如の姉。町の葉茶屋で働き、評判の良い女性。
お妻美登利と親しい遊郭の女性。
三五郎の父厳格な性格で、身分の差を意識している。
頓馬商売に関心があるが、滑稽な発言をする少年。

あらすじ【現代語訳して短く要約】

29,984文字あり、読むには1時間以上かかる『たけくらべ』。
さらに文語体が使われている為、現代人にはちょっと読みづらい作品です。

ここでは現代語訳してイラストを入れ、短く要約してみました。

舞台は吉原近くの町

「吉原大門を回ると、見返り柳が長くしなっている。
お歯黒溝には灯りが映り、三階の楼閣ではにぎやかな声が響いているのがよくわかる。」

吉原大門を回ると、見返り柳が長くしなっている。
お歯黒溝には灯りが映り、三階の楼閣ではにぎやかな声が響いているのがよくわかる。」

ここは、吉原遊廓の近くにある「大音寺前だいおんじまえ」という町です。

寺の名前のせいで仏事を連想させますが、実際にはどこか陽気な雰囲気のある場所です。

それもそのはず、遊廓に生活を依存し、気楽に暮らしている人々が多いからでしょう。

子供たちもまた、大人たちの影響を受け、どこか早熟な子が多く見られます。

彼らは「表組」と「横町組」に分かれ、何かと対立していました。

対立する子供たちの事情

人気者の正太イメージ

横町組の長吉は乱暴者で、表組の人気者・正太をどうにかしてやっつけたいと思っています。

しかし、横町組にいる三五郎や太郎吉といういたずら者は、どうも正太の味方をしがち……

なので長吉は、学校で一番の秀才と名高い龍華りうげ寺の信如しんにょを仲間に引き込もうとします。

「僕は弱いから」と断った信如ですが、

長吉は諦めず、「喧嘩はしなくていい」「後ろ盾になって言い返してくれるだけでいいから」と説得。

信如は「出来る限り喧嘩はしたくない」と言いながら了承しました。

そんな子供たちの中で「女王様」のように扱われているのが、大黒屋の美登利という少女です。

愛らしい顔立ちですが気が強く、町内の娘たちからも一目置かれる存在でした。

長吉が祭りの日に喧嘩を起こす

長吉

八月二十日、千束神社の祭礼の日。

表組は「筆屋」に集まって幻燈(スライド映写機の原型)を準備していましたが、大将・正太の姿は見えません。

そこへ、横町組が殴り込みをかけてきました。

「二股をかけるなんて、横町の恥さらしだ!」と罵られ、殴る蹴るの暴行を受ける三五郎。

美登利もまた、長吉が投げつけた泥草履で額を汚され、「姉の跡を継ぐ女郎め」と侮辱されました。

美登利と信如の関係

信如のイメージイラスト。
紫の帯に茶色の襦袢

美登利と信如は、同じ学校に通っています。

四月の運動会の日、信如が転んで泥だらけになったとき、美登利はハンカチを差し出し「これで拭いて」と言いました。

そのことが周囲で噂になり、信如の気を重くしていました。

しかし、美登利はそんなことを気にする様子もありません、

帰り道で珍しいを見つけると、信如に「(高い所で届かないから)お願い、折ってください」と頼みました。

信如は花を取ってくれましたがその態度はそっけなく、美登利は少し腹を立てました。

喧嘩を知った信如

「秋雨がしとしと降るかと思えば、
時折ざっと音を立てて流れていくような寂しい夜。」

祭りの夜の出来事が、美登利の心の中で次第に信如への怒りへと変わっていきます。
(裏で手を引いたのでは?と考えています)

遊女の姉を持つせいか、美登利は男をそれほど恐れてはいませんでした。

一方の信如は、後になって喧嘩のことを知り、長吉を叱りました。

しかし、長吉が「お前が後ろ盾だと思ったから、大舟に乗ったつもりで喧嘩をしたんだ。見捨てられたら困る」と言うと、信如は思わず頷いてしまいます。

彼には、気の弱い一面があったのです。

「秋雨がしとしと降るかと思えば、
時折ざっと音を立てて流れていくような寂しい夜。」

美登利は、どぶ板を踏む足音を聞いた気がしました。

ちょうど遊びに来ていた正太が様子を見に行くと、信如が向こうへ去っていくところでした。

美登利は「いやなやつ」と呟きながらも、ガス灯の下を少し俯きながら歩く信如の後ろ姿を、いつまでも見つめていました。

座敷へ戻ると、美登利は信如の悪口をまくしたてました。
正太は困ったように微笑みながらも、そんな美登利を美しいと思っていました。

信如の鼻緒が切れる

信如の下駄

時雨模様が続くある日。
信如は母に頼まれて、姉の家へ用事に出かけました。

しかし(美登利の住む)大黒屋の前を通りかかったとき、前鼻緒が抜け、今にも転びそうになります。

信如は大黒屋の門に傘を寄せかけ、抜けてしまった鼻緒をこよりで繕おうとしました。

しかし上手くいきません……

その様子を、美登利は障子越しに何とはなしに眺めていました。

誰か分からないまま、助けようと布切れ(こより用)を持ち外に出た美登利。

そしてお互いの存在に気付きます。

気まずくてて顔をそらし、鼻緒を直すフリを続ける信如。

一方美登利は信如だと気づいた瞬間、胸が高鳴り、顔が赤く染まりました。

いつもの気丈な態度はどこへやら、声をかけることもできずに立ち尽くし……

しばらくして母親に呼ばれます。

思考に思考を重ねた結果、美登利は布切れを信如のほうに投げ出しました。

しかし信如は見ているのに見なかったフリをします。

胸が詰まりそうになる美登利。

一方信如も、落ちた布切れをただじっと見て、切ない気持ちになっていました。

結局その布切れはそのまま……

信如は通りがかった長吉に助けられてその場を去ります。

様子が変わった美登利

島田髷イラスト

正太は休みを貰ったある日、髪を島田髷(しまだまげ)にしていた美登利に会いに行きます。

「なぜそんな綺麗な恰好をしているのに教えてくれなかったの?」と正太が聞くと、

美登利は「本当は嫌で嫌でしょうがなかった」と答えます。

「褒められても嘲笑されているように感じてしまう」

「もう昨日の自分ではない」

正太が「何があったのか?」と尋ねても答えない美登利。

美登利の心に渦巻いていたのは、これまで感じたことのない、
「なんとも言えない恥ずかしさ」でした。

「もう友達でも何でもない」と言って、美登利は正太を追い出しました。

正太の周囲の変化

引きこもる美登利

訳がわからないまま、美登利の様子が気にかかる正太。

さらに敵対関係にある信如が、近々修行に出ることを聞きます。

正太の心配も空しく、美登利はその後、別人のようになりました。

友人に誘われても遊びに行かず、から返事ばかり。

正太とさえほとんど口をきかなくなりました。

ただ、美登利の母親だけは、微笑みながら「これは中休みみたいなもの」だと意味ありげに言います。

物語の最後

美登利は信如が修行に出るという噂を聞いても、ひとごとのようにしか感じませんでした。

自分の気持ちを封じ込め、自分が何を考えているのか分からまないまま、日々を過ごしていました。

しかし、ある霜の降りる朝。

美登利の家の門の前に、水仙の造花がそっと置かれていました。

誰が置いたのか分かりませんが、美登利はなぜか心が温かくなり、それを部屋の棚に飾りました。

それは信如が修行に出る、前日のことでした。

相関図おさらい

あらすじだけでは分かりにくい!という方向けの、主要キャラ相関図です。

横町
・乱暴者の長吉
・龍華寺の信如

表町
・正太
・三五郎
・大黒屋の美登利

それぞれの関係性
長吉は信如に「後ろ盾になってほしい」と頼み、信如は喧嘩に気乗りしないものの、了承する。

表町側は、正太と三五郎、美登利は友人。
しかし正太は美登利のことがすきだが、美登利は友達以上に思っていない。

信如と美登利は同じ学校に通っている。
美登利は信如を嫌な奴だと感じながらも、恋をしている。
信如も同じく美登利が好きなようだが、長吉が喧嘩を仕掛けた引け目があり謝りたいが上手くいかない。

長吉は正太へのライバル心から、三五郎をボコボコにした。また、正太と仲の良い美登利にも泥をかけた。

もっと詳しく『たけくらべ』を理解したい

この記事を読んでいただくと、だいたいのあらすじや登場人物については分かっていただけたかと思います。

ですが、同時に以下のような疑問もわいてきたことでしょう。

  • 美登利の性格が急変したのはなぜ?
  • 最後に水仙を置いたのは信如なの?信如は何を考えていたの?
  • この結末後、美登利はどうなるの?
  • 時代背景をもっと詳しく知りたい…

このような疑問については、今後、記事を分けて解説していきたいと思います。

作成しましたら、こちらにリンクをはりますので少々お待ちいただけますと幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました