宮沢賢治の童話『雪渡り』。
四郎とかん子の兄妹は、幻想的な雪の夜、狐たちが主催する『幻燈会』に参加することに…?
この記事では
- 雪渡りの短く簡単なあらすじ
- 雪渡りの解釈や伝えたいことを解説
- 読書感想文
を、深堀りしていきます!
目次
雪渡りとは?あらすじを短く簡単に
雪に覆われた美しい夜、狐たちが開催する『幻燈会』に参加する、四郎とかん子(兄妹)の冒険物語。
二人は狐の紺三郎と出会い、彼の案内で楽しい幻燈会に足を踏み入れます。(鑑賞会的なもの)
会場では狐たちが楽しく踊り、歌い、さまざまな楽しい演目が披露されていました。
四郎とかん子は狐たちが用意したお餅を食べ、狐の生徒たち交流をはぐくみます。
狐の紺三郎は観客に向けて大切なメッセージを伝え、狐たちの悪い評判を払拭しようと努力していました。
物語の最後、四郎とかん子は狐たちとの別れを惜しみながら、兄たちに迎えられて野原へと帰っていきました。
いつでも退会できます。
登場人物
主な登場人物となるのは以下の三人(二人と一匹?)です。
四郎……思いやりがあり妹を大切にする兄。四男で11歳以下。
彼は妹のかん子と一緒に狐の幻燈会に参加し、狐たちとの交流を通じて彼らの文化や価値観を理解しようとする。
かん子……純真でちょっと恥ずかしがり屋な四郎の妹。兄の言葉に影響されながら、狐たちとの楽しいひとときを楽しむ。
紺三郎……知恵があり礼儀正しい狐の子。彼は四郎とかん子を幻燈会に誘い、狐たちの代表として大切なメッセージを伝えている。仲間たちをまとめることにも力を入れている🔻
【考察】この物語が伝えたい事は?
この物語が伝えたいことは、「誤解や偏見をなくして、純粋な気持ちで向き合うことの大切さ」でまないでしょうか?
四郎とかん子は最初、狐に対して「だますもの」というイメージを持っていました。
しかしそれは大人たちから聞かされたことによる誤解でした。
実際に狐と出会い話してみれば、狐…紺三郎たちはそんなことをする存在じゃないと分かってきます。
実際、「親や先生が言っていて正しいと思い込んでいたけど……」ということは、心当たりがありませんか?
この物語は、疑いや偏見を捨ててお互いを信じ合えば、動物と人間に関わらず人間同士でももっと良い関係を築ける、……というメッセージを伝えています。
さらに、「十一歳以下でないと幻燈会に入れない」という制限も、子どもたちの純粋な心が大事だと強調しているように感じます。
大人になるとどうしても、経験や常識からくる偏見に縛られてしまうことが多いですからね。
この物語はその純粋さこそが尊いものだと教えてくれます。
【解説】雪渡りとは何か?死の危険や怖い意味がある?
この物語は基本的には狐と四郎&かん子の交流を描く、心温まる物語です。
しかしながらこの物語を「怖い」と取る人もいるよう。
その理由について解説していきます。
雪渡りとは何か?
雪渡りとは、日中溶けた雪が夜に冷えて固まり、翌朝太陽が昇るまでの間に雪の上を歩ける現象のことです。
つまり純粋な自然現象なわけですが……
雪や冬のイメージは、しばしば静寂や眠り、あるいは死と結びつけられることがあります。
真っ白な雪の世界は、何もない無音の世界。そのため、雪の上を渡ることは「静かな世界を進むこと」や「異なる次元に足を踏み入れること」を象徴しているとも考えられます。
これに「戻ってこれないのではないか」というような、縁起の悪さを感じる人もいるでしょう。
【解釈】親狐は怖い存在?
とてもハートフルストーリーな『雪渡り』。
しかしながら紺三郎はこんなことを言っています。
そこでみなさんはこれからも、大人になってもうそをつかず人をそねまず私共狐の今迄
の悪い評判をすっかり無くしてしまうだろうと思います。
これはつまり、幻燈会に集まっている紺三郎たち子どもは良い子だけれど、大人の狐はその限りではない……ということではないでしょうか?
実際、宮沢賢治の他作品で登場する狐はかな~~り性格が悪いです。
参考作品🔻
茨海小学校の簡単なあらすじと解説。狐学校を描く宮沢賢治の童話
宮沢賢治『貝の火』を考察!悪事を働いても輝くオパールの謎
ここで四郎の兄が「大人の狐に会ったら目を閉じろ」と言っていたことが思い起こされます。
日本の文化においてしばしば死者を導く存在とされ、騙しや悪戯の象徴ともされている狐。
物語は何事もなく終わりましたが、もし何かの拍子に兄妹が大人の狐に会っていたら……?
とても怖い展開になっていたかもしれません。
つまりこの物語の結末は、運が良い結果だったのかもしれないのです。
読書感想文 この作品の魅力は?
『雪渡り』は、幻想的で心温まる物語でした。
狐たちとの交流を通じて、異なる文化や価値観を理解し合う姿が心に響きます。
特に四郎たちが少し怯えながらも狐が持ってきた黍団子(きびだんご)を食べるシーンは必見。
「噂に惑わされない」という意志あっての行動で、異文化交流においてはこういうことが大事なんだろうなぁと考えさせられます。
また、狐側(紺三郎側)の悩みもコミカルっぽく描かれていますが業が深いものだなぁと感じます。
大人になっても嘘をつかず嫉まず……なんとも、宮沢賢治らしい言葉で考えさせられます。
また、声に出して読みたくなるような賢治独特のリズム、オノマトペも耳に残ります。
絵本で読み聞かせなどを行うと、楽しい作品だと思います。
まとめ
- 四郎とかん子は、狐の幻燈会に参加する話。
- 紺三郎と出会い、狐たちとの楽しいひとときを過ごす。
- 物語は誤解や偏見を乗り越える大切さを伝える。
- 純粋な心が人間関係や文化交流において重要であることが強調されている。
- 雪渡りの象徴的な意味合いにも注目が必要。
ぜひ読んでみてください!
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