村井理子さん著作『兄の終い』読了しました!
禄でもない兄の突然死を知らされ、兄の前妻たちと遺品処分に走り回る4日間……の、コメディエッセイです!実話!
短く明るく読みやすい、2025年11月映画化作品。
この記事ではネタバレあらすじ&感想をお届けしていきます。
登場人物
主な登場人物です。
| 私(理子) | 著者本人。兄を嫌っている。 | 
| 兄 | 理子の兄。54歳で脳出血により死亡。宮城県多賀城市に在住していた。 | 
| 加奈子ちゃん | 兄の前妻。7年前に離婚。44歳。 | 
| 良一くん | 兄と加奈子ちゃんの末息子。(親権は兄)小学生。 | 
| 満里奈ちゃん | 兄と加奈子ちゃんの長女。(親権は加奈子ちゃん) | 
ネタバレあらすじ

仲の悪い兄(54歳)が死亡したと、塩釜警察署から知らせがあった。
・亡くなったのはアパートの中
・死因は脳出血(元々高血圧・糖尿病・狭心症があったため)
・第一発見者は兄の息子の良一君で、現在は児童相談所にいる
・遺体を引き取りにきてほしい
理子(著者)は兄を火葬して、一刻も早く持ち運べるサイズにしようと滋賀県から宮城県へ向かった。
兄との不仲の原因

兄を“兄”として見なくなったのは三十年前。
父が亡くなったときだ。
兄は理子に「ろくに看病もしないで親父を死なせたのはお前だ」と言い放った。
だが兄の方こそ、父の入院中一度も顔を出していない。
ようやく危篤時に来たかと思うと、母から金を受け取っていた。
さらに兄は、離婚後母にたびたび金を無心していたにも関わらず、
母が膵臓がんと診断された直後多賀城市へと移り住んだ。
見捨てるような行動。
それでも母は、理子ではなく兄を庇った。
そして母の死後、金の無心は理子に向き……
理子も恐怖から一度5万円を渡したことがある。
他にも恫喝や、子供を盾にしてアパートの保証人を頼んだあげく家賃の滞納……
そんな事情で、兄の遺体を見ても涙は流れなかった。
一日目

塩釜署にて。
兄には納棺師による処置(着物代38500円)が必要だと聞き、いりませんという言葉を飲み込んだ。
そして再会した兄の元妻である『加奈子ちゃん』とテンション高く火葬の話をした。
火葬の後は兄のアパートの遺品処分だ。
今回の滞在中に、何とかして引き払わないといけない。
強烈な臭いの寝室を加奈子ちゃんが片づけ始めたことで、理子にもスイッチが入る。
結果、特殊清掃代を浮かせることができた。
二日目

この日は
- 事務的な作業
- 大量のごみを処理施設に搬入
- 児童相談所で良一君と面会
- 良一君が飼っていたカメと魚を小学校に預ける
というスケジュールだ。
兄が警備の仕事をしていたことや、
生活保護を受けていたこと、
近所の住人に騒音で迷惑をかけていたこと等が判明する。
理子は「成仏しろぉ!」と叫びながら、処理施設でゴミ袋を投げ込み、
兄に対する怒りも共に処分していった。
小学校では良一君のお別れ会が開かれた。
加奈子ちゃんの「元の家に戻って一緒に暮らそう」いう提案に、良一君は頷いた。
理子は知らない街のスーパーの品ぞろえを楽しみつつも、両親と兄が死に、あとは自分だけだという想いに包まれる。
三日目・四日目

三日目は25万円かけて遺品を全て処分。その後、兄の車を廃車にした。
そして帰宅となる四日目。
有名洋菓子店「ファソン・ドゥ・ドイ」でケーキやカステラを買い、その後再び兄のアパートへ。
最後の別れを告げた。
理子は良一君に兄のことを聞きたかったが止めた。
多賀城市から離れるのが名残惜しかった。
別れ際、加奈子ちゃんと良一君の記念写真を撮った。二人は笑顔でピースサインを出した。
感想

kindleの読み上げ機能使って読んだのですが、読了まで2時間前後?かなりサクッと読める作品でした。
内容も最近読んだ中で一番明るい…!というくらい明るくて読みやすいです。
エッセイ(実話)だということは読了後に知りました(笑)
遺品処分と聞くと「思い出の品が捨てにくい~~」みたいな話を聞いたことがあったのですが、
一切迷い無しに処分!出来るだけさっさと!!という姿勢に笑ってしまいました。
なるほど、「思い出の品が~~」は、故人への好意あっての感情なんですね。
それにしても、仲が悪い兄の遺品処分。それがこんなに明るい旅行みたいなテンションになるとは。
著者さんの性格もあるんでしょうが、多分良いことなのだと思います。
故人側からするとどうなのでしょうね?嬉しいのか、こんなキャッキャされると複雑なのか……
私だったら、自分の死後手続き等で憂鬱になられるよりは、旅行を兼ねて…とか、何か非日常として楽しめる機会になればいいなぁと思います。
手間かけてる罪悪感は薄れるかなぁ……なんて。
まぁ、結局生きている人にやらせる作業は多くなってしまうんですけどね。
でも牛タン弁当も食べて、家族仲も上手くいって……
立つ鳥跡を濁さずと言いますが、それを妹や元妻が本当に上手くやってくれた…という感じでした。
疎遠になっていましたが、家族に恵まれた兄だったのだなと感じます。
紹介した書籍▼
 
  
  
  
  
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