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茨海小学校の簡単なあらすじと解説。狐学校を描く宮沢賢治の童話

茨海小学校の簡単なあらすじと解説。狐学校を描く宮沢賢治の童話 宮沢賢治

茨海ばらうみ小学校』は、宮沢賢治が描くファンタジー作。
狐たちの小学校に迷い込み、授業参観する「私」の物語です。

この記事ではそんな「茨海小学校」について

  • 簡単なあらすじ
  • 気になるポイント(仕組まれている箇所や分かりにくい箇所について)

を解説していきます!

茨海小学校の簡単なあらすじ

主人公である「私」は、茨海(ばらうみ)の野原で火山弾の標本や野生の浜茄(はまなす)🔻を見つけるために訪れます。

浜茄(はまなす)のイラスト

途中、昼食をとるために水を探して歩いていると、不思議なことに狐の世界に迷い込んでしまいました。

足を草に絡め取られて倒れ込むと、そこが狐たちの小学校🔻であることに気付きます。

狐たちの小学校(茨海小学校)

「私」は狐の先生に案内され、校長先生に会います。
そして校長先生の依頼で、小学校の午後の授業を見学することに……

第一学年「修身と護身」
第二学年「食品化学」
第三学年「狩猟」

それぞれ狐の視点で教えられており、「私」はその光景に驚き、頭がぐらつきます。

見学が終わると、校長先生の要望に応じて火山弾の標本🔻を寄付し、「私」は急いでその場を去りました。

火山弾の標本

【解説】茨海小学校の気になるポイント

ここから「茨海小学校」についての引っ掛かる箇所・気になる事項を解説していきます。

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茨海(ばらうみ)は架空の地名

茨海は架空の地名です。名前に「海」とあるものの、実際には陸地。

この場所は、海と山の境界を象徴する地として描かれています。

こうした場所では、どんな不思議な出来事が起こっても不思議ではない~~ということが、物語の冒頭で示されていますね。

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幻想世界に入る合図がある

「きいん」と鳴る音のイメージ

幻想的な世界に入るきっかけは、耳が突然「きいん」と鳴る描写によって始まります。

これは賢治の他の著書『鹿踊りのはじまり』や『銀河鉄道の夜』でも見られる手法で、幻想世界への誘いが音から始まるのは他の賢治作品にも共通しています。

また、この物語はファンタジーとして位置付けられていますが、現実の出来事とも強く結びついています。

たとえば、内陸にハマナスが自生していることや、学校教育に関する先進的な考え方は、賢治が執筆した当時の新聞で詳しく報じられていました。

火山弾は何を象徴する?それを巡った狐の策略

火山弾

物語に登場する火山弾は、現実と異界を繋ぐ重要なアイテムです。

人間にとって火山弾は標本や研究対象ですが、狐たちにとっては神聖な「地境の石」としての象徴的な存在です。

この石は、場所を守るための呪物であり、その位置を変えることが禁忌とされています。

狐たちは、無防備な「私」から火山弾を取り戻すために、複雑な策略を巡らせました。

火山弾は本来の場所に戻され、狐たちの儀式によって再び安置されたと考えられます。

「私」のパンはどこに消えた?

パン

物語の中で、「私」が昼食用のパンを持ちながらも、その後パンに関する記述は一切出てきません。

これは、狐たちが巧妙にパンを盗み取り、神聖な供物として火山弾に捧げたことを暗示している可能性があります。

パンは、他の賢治作品にも登場するように、狐たちにとっても特別な意味を持つ食物であり、ここでは火山弾に供える神饌(しんせん。神棚にお供えする食事)としての役割を果たしたと考えられます。

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黄金色の目とは?

黄金色の目

「黄金色の眼」を持つ校長先生。

この目は賢治の他の作品にも登場しており、異世界や不思議な力を持つ存在に共通して見られる特徴です。

つまり、単なる身体的な特徴ではなく、相手の心を見透かすような鋭さを持つ、異界の力というわけです。

ちなみに「黄金色の目」が登場する他の作品は『山男の四月』や『狼森と笊森、盗森』。

「黄金色の目」を持つキャラクターは、異世界や超自然的な存在として描かれています。

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参観の仕組まれた演出

反転した鏡像の世界

「私」が狐小学校を参観する場面では、狐たちによる仕組まれた演出が見え隠れします。

狐たちは、「私」が参観する状況を芝居のように整え、現実と異世界の境界を曖昧にしています。

この場面は、人間の学校の鏡像として描かれており、狐たちの世界ではすべての物事が反転しています。

これに似たような世界観に、芥川龍之介の河童があります。
参考:芥川龍之介『河童』の名言考察と簡単なあらすじ【伝えたかった事とは?】

「武」にまつわる名前の謎

『茨海小学校』に登場する狐たちの名前には、すべて「武」という字が含まれています。

この「武」という名前には、いくつかの謎や背景があります。

まず物語の中で、「私」が狐の先生に「紹介はありますか?」と聞かれ、「画家のたけしさんです」と答える場面があります。

この「たけし」という名前が、狐たちの名前に「武」の字を引き寄せるきっかけになっています。

さらに、「武井武雄」や「菊池武雄」といった実在の画家や人物への連想も、「たけし」という名前に影響を与えた可能性があります。

他にもタイトル案があった!?

この作品には『茨海小学校』以外にも、「狐小学校の参観」や「茨海小学校と狐に欺かれた郡視学の話」など、いくつかのタイトル案がありました。

※「郡視学」とは、簡単に言えば教育監督者のような立場の。学校の教育が正しく行われているかを見守る役職です。

まとめ

  • 主人公の「私」は、茨海の野原で火山弾と浜茄を探しに訪れる。
  • 昼食をとるため水を探している途中、狐の世界に迷い込み、狐の小学校に到着。
  • 校長の依頼で、小学校の授業「修身と護身」「食品化学」「狩猟」を参観することに。
  • 授業を見た「私」は狐の視点に驚き、最終的に火山弾を狐たちに寄付して去る。
  • 茨海は架空の場所。
  • 火山弾は人間にとっては標本だが、狐たちにとっては神聖な呪物としての象徴。
  • 黄金色の目を持つ校長先生や、参観の仕組まれた演出も物語の重要な要素。
  • 登場する狐たちの名前に共通する「武」という字にも謎があり、物語に深みを与えている。

是非、『茨海小学校』を読んで、賢治が描いた異世界の魅力を味わってください!

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