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星の王子さまの『六人の大人』を考察|王様から地理学者まで

星の王子さまの『六人の大人』を考察|王様から地理学者まで 古典名著

サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』。

バラと仲たがいして自分の星『b-612』から逃げ出した王子さまは、まず近くにある6つの小惑星で学びを得ようとします。
そして6人の大人に出会い、様々な気づきを得るのです。

この記事では6人の大人…「王様」「うぬぼれや」「酔っ払い(酒飲み/呑み助)」「ビジネスマン」「点灯夫」「地理学者」がどのような人物かを解説した後、

それぞれが何を伝えてくれるのかを考察します。

一人一人が短いパートですので、読書感想文で取り上げやすい部分だと思います。
参考にしてみてください。

王様|中身が空っぽな大人

王冠

王様とは?
一人きりの星に住んでいるのに、玉座にすわって「権威」を誇示する人物。
王子さまを部下扱いする。
実行不可能な命令は出さない立派さもあるが、本末転倒で意味のない命令も多い。

【考察】この大人から何が学べるのか?

「権力とは責任ある形で行使されるべきもの」という自分なりの哲学を持つ王様。

一見立派な人に見えますが、しかし一人だけの国で「王」を名乗る必要はあるでしょうか?
ありません。
一人ならば自らが動くしかないのに、そういった簡単な部分を分かっていないのです。

王様は「偉そうに見えても、中身はからっぽな大人がいる」という事を教えてくれます。

そしてもう一つ。王様は王子さまの質問に対して簡潔には答えません。
持って回った、立派そうだけれどよくわからない言い方をするのです。

そんな王様に、王子さまが繰り返し質問するシーンも見られます。

都合が悪い質問はうやむやにする…そんな人間では人に好かれないのだということを、よくわかる例として教えてくれています。

うぬぼれや|承認欲求にとらわれた大人

拍手されて帽子をとる人物

うぬぼれやとは?
星に一人で住んでいるにもかかわらず「この星で一番のハンサムで最もお金持ち」等と言いはる大人。
王子さまに称えるための拍手を強要し、してもらうと帽子を取って得意げにする。

【考察】この大人から何が学べるか?

うぬぼれやは「承認欲求にとらわれ、存在しない他人を想像している」大人です。

何も他者を喜ばせたり役に立ったりしていないのに「崇められること」だけを考えている…図々しいですね。

比較対象がないのに「自分が一番」だと言い張っているのも滑稽です。
王子さまからも「どこが面白いのか」と突っ込まれる始末……

うぬぼれやは「与えられた拍手に意味はあるのか?」「本当に自分の実績なのか?」と、他人の声に振り回されない大切さを教えてくれます。

自分が自分につけた評価と向き合って、納得するのが大切なのです。

酔っ払い(酒飲み/呑み助)|助けを求める重要性

大量のお酒

酔っ払い(翻訳によっては酒飲み/呑み助)とは?
「酒を飲みすぎる自分が恥ずかしい」「だからそれを忘れる為に酒を飲む」という悪循環から逃れられない大人。
自分の中に閉じこもり、王子さまも会話が続けられなかった相手。

【考察】この大人から何が学べるのか?

酔っ払いは自分自身の殻に閉じこもってしまう危険性を教えてくれます。

逃避として酒(アルコール)に逃げてしまうのも問題ですが、アルコール依存症を一人で克服するのは難しいもの。

酔っ払いに必要だったのは「周囲の手助け」だったわけです。

ところが彼は自分自身を嫌っており、王子さまとの対話を絶ってしまいました。
結果王子さまはメランコリック(物悲しい気持ち)になって、星を後にします。

いくら恥ずかしくともみっともなくとも、「助けて」と声をあげなければ先がない状況もあるーー……そのことを教えてくれます。

ビジネスマン|それは本当に働いているのか?

大量のお金

ビジネスマンとは?
星の数をひたすら数えて「所有している」と主張する大人。
しかしその星を使うことも、楽しむことも、役立てることもない。
ただ所有すること自体に執着している。

【考察】この大人から何が学べるのか?

ビジネスマンは「所有している星を数えること」が忙しい忙しいと言っています。

確かにやっていることは、お金にはなるのかもしれません。
しかし…その仕事は誰の役にたっているのでしょうか?
ビジネスマンがそれをすることで、誰か喜ぶ人はいるのでしょうか?

世の中には儲けられるけれど、実質的に誰の役にも立っていないという職業があります。

所有するだけで満足する…それより一輪の花を育てるほうが、ずっと感じる者が多いでしょう。

「誰を幸せにするか」…それが仕事の最終的な意義だということを思い出させてくれます。

点灯夫|柔軟に対応する重要性

点灯された街灯

点灯夫とは?
街灯の火を点けたり消したりする仕事をする人。
星の回転が早くなってしまったため、一分ごとに点けたり消したりしなくてはならず、休む暇がないらしい。
けれど「規則だから」と従い続けている。

【考察】この大人から何が学べるのか?

彼は前のビジネスマンと違い、「他の人にとって役立つ仕事」をしています。
夜道が明るくなることで、助かる人は沢山いるでしょう。

問題は「規則だから」と、星の回転が早くなっても、疑問を持たずに前と同じルールで仕事をつづけたことです。

1分ごとに点けたり消したり……流石に自動化を考えてはどうかと思ってしまいますね。

点灯夫は「考えを放棄して、ただ従ってしまう危険性」に気づかせてくれます。

前々から続いている事であっても、状況が変わったなら変化を検討する…
仕事だけではなく日常においても大切なことです。

地理学者|経験の大切さ

地理学者の持ち物

地理学者とは?
分厚い本を前に机に座り、探検家から聞いたことを書き記す仕事をしている。
自分では海や山を調べに行かず、ただ報告を受けて記録するだけ。
王子様に、バラが短命であることを教えてくれた。

【考察】この大人から何が学べるのか?

地理学者も役立つ仕事をしています。
しかし王子さまが地理学者の住む星に海や山があるかと尋ねても、彼は答えられませんでした。
少しまぬけですね。

地理学者はその大切な仕事に囚われて、いつか後悔しないでしょうか?

いつか目の前の美しいものに気づいて、「もっと早く知っていれば」と。
書物の中にある多数の海や川より、すぐそこにある感動の方が大きいことに気づくかもしれません。

地理学者は反面教師として「体験の大切さ」を想像させてくれます。

哲学的な問いにヒントを与えてくれる大人たち

望遠鏡

6つの星の6人の大人たち。
自分の周囲にこのような大人はいないと考えた方もいるでしょう。
しかし本当にそうでしょうか?

6人は王子さまの「なぜ?」という哲学的な問いに、ほとんど素直に答えてくれました。
だからこそ「変わっているように見えた」のであって、
あなたの周囲の大人も、黙っているだけで同じことを考えている可能性はありませんか…?

“大人って、ほんとに、ほんとにヘンだなあ”

この王子さまの名言どおり、大人は子供のころ持っていた純粋な心を失うことがよくあります。

  • 権力よりも中身が大切(王様)
  • 承認欲求に溺れる危うさ(うぬぼれや)
  • 助けを求める重要性(酔っ払い)
  • 本当に働くとは何か?(ビジネスマン)
  • 柔軟に対応する重要性(点灯夫)
  • 経験の大切さ(地理学者)

彼らを反面教師にした学びを、ぜひ活かしてみてください。

星の王子さまを読むなら浅岡夢二翻訳がおすすめ!▼

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