『時計館の殺人』に登場する古峨家の現当主『由季弥』。
「お姉さんをいじめる奴は僕がみんな殺してやる」と言い放つ美少年です。
連続殺人は、本当に由季弥の仕業なのか?
この記事では由季弥をネタバレ解説。
- プロフィール
- 姉・永遠の死が及ぼした精神疾患について
- 連続殺人事件との関係。犯人なのか?
- 事件のその後は?生死や罪状について
を紐解いていきます。
目次
由季弥とはどういう人物?

まずは簡単に、由季弥の事情・特徴です。
| 年齢 | 16歳 |
| 立場 | 現在の古峨家当主 |
| 出生 | 倫典の従弟の子供。幼いころに両親を亡くし、引き取られた養子。 |
| 過去 | 6歳の時に、崇拝していた義理の姉『永遠』の自殺を発見。 |
| そこから狂っていき、現在は夢の世界で生きている。 (学校への通学も無し) | |
| 関係者 | 世話係:伊波紗世子 後継人:足立輝美(倫典の妹)(オーストラリア在住) |
| 同居人 | 伊波紗世子・野々宮(占い師) |
| 私室 | 時計塔三階 |
| 見た目 | 日本人形のような美少年。 透けるように白い肌、 肩までの黒髪、 白いパジャマ姿 |
尚、永遠を崇拝していたのは倫典の教育によるものでした。
「お前は永遠を守るために生まれてきたのだ、それが使命なのだ」と小さいころから刷り込まれています。
由季弥は本当に狂っていたのか?

10年前、6歳の時に永遠の自殺を発見してしまった由季弥。
失意の末、切り裂いたウェディングドレスを着て、胸を鋏で貫いた「お姉さん」……
この一件が心的外傷になり、由季弥は少しずつ狂っていきました。
「お姉さんは生きている。姿が見えないだけでそこにいる」
毎日昼過ぎに起き、時計塔のネジを巻くことだけは欠かさず、時に夜間徘徊する生活。
夏になると情緒不安定になるため、睡眠薬が必要でした。
ただし完全な錯乱ではありません。
落ち着いている時に限っては、永遠の死を理解しているような節も見られるのです。
そして、永遠に自殺のきっかけをもたらした子供4人の名前も、(倫典から聞いたのか)把握しており……
復讐心を抱いています。
そもそも気が狂ったのも、「復讐として四人を殺害しよう」と考えたからではないか?と、島田は考察しています。
気が狂った人間が殺人を犯しても罪に問われない。
そんな情報を手に入れた6歳の由季弥は、気が狂ったフリしたのではないか?
そしていつの間にか本当になってしまったのではないか?
ということです。
【真相】殺人罪を押し付けられて殺される

ですが結論から言いますと、由季弥は復讐を実行しません。
そして何もしていないにも関わらず、連続殺人犯として犯人役を押し付けられ、殺されるのです。
連続殺人を犯した真犯人は、10年前子供たちが作った落とし穴で娘を亡くした、伊波紗世子です。
【核心】伊波の娘を見殺しにした由季弥

「娘が落とし穴に落ち死亡した」だけならば、伊波の怒りの矛先は落とし穴を作った子供…『福西』『瓜生』だけに向くはずでした。
ところが、伊波が一番恨んだ人物は由季弥でした。
理由は由季弥が伊波の娘を発見していながら、見殺しにしたためです。
落とし穴に落ちて泣いている伊波の娘『今日子』を見つけていながら、何もしなかった由季弥。
後に由季弥は、「あの子も永遠のところへ行けば、永遠が寂しくないと思った」と、邪気のない顔で伊波に報告しました。
永遠が死んで半月後の出来事で、由季弥の精神が異常だったことは確かでしょう。
しかし「君の娘も死ねばいいと思った」と言われた母親の怒りは……
殺人罪を押し付けて殺してしまおうと思えるほどのものだった、ということです。
伊波の復讐

娘の死亡から10年を経て起こした伊波の復讐は、凄まじいものでした。
落とし穴を作った子供たちを殺害するために、口封じも含めて9名を殺害。
その罪を由季弥に押し付けました。
具体的には、自身はアリバイ工作をしたうえで、由季弥が犯人として疑われるような以下の工作をしました。
- 由季弥に睡眠薬を盛り、時に眠ったままクローゼットに監禁。
殺人があった時刻に部屋にいなかったことにした。 - 福西を由季弥の部屋から突き落とした。
- 犯行に使った道具(軍手、仮面、霊衣、火かき棒など)は全て由季弥の部屋から発見されるようにした。
- 由季弥本人に「おまえたちがころした」という脅迫メモを書かせた。
そして仕上げとばかりに、由季弥に「永遠が時計塔の四階で呼んでいる」「すぐ行かないと危ない」と吹き込み……
永遠を探す由季弥を、事故に見せかけて突き落とします。
由季弥は地面に叩きつけられ、死亡しました。
物語のその後は?由季弥の罪は晴れた?

由季弥の死後、伊波は警察に対して虚偽の証言を行っています。
「由季弥は姉のために自分が殺したと言っていた」
「姉に呼ばれたと言って塔に上り、そのまま落ちた」
この証言に加えて数々の捏造証拠が揃えば、
警察が「由季弥が連続殺人犯であり、最後は自殺した」と判断するのは、極めて自然な流れでしょう。
そして伊波も、この後に起きた時計館の崩壊に巻き込まれて死亡。
自首は不可能となりました。
真実を知るのは以下の三名のみ。
- 推理で真実にたどり着いた鹿谷
- 江南
- 伊波に突き落とされたが生還した福西
彼らの誰かが警察に真相を伝えない限り、事件は「由季弥が犯人」で確定してしまいます。
そして鹿谷はあくまで真実解明そのものを目的としており、積極的に警察へ働きかける意思はないと表明しています。
だからこそ残されるのは――江南と福西の判断。
何の罪もないまま命を奪われた被害者たち、そしてその遺族のことを思えば、二人が真実を語ってくれると信じたいところです。
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→『館シリーズ』初作の『十角館の殺人』記事一覧へ

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