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トラペジウム|ネタバレあらすじと感想【映画原作小説】

小説・実用書

高橋一実さん著作『トラペジウム』。
累計部数30万部を突破した話題作でアニメ映画化もされています。

トラペジウム (角川文庫)
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アイドルに憧れた主人公が、東西南北から一人ずつ集めてアイドルグループを作り…という奇抜な物語。

この記事ではあらすじの要約と登場人物の紹介、読書感想をお送りします。

この先ネタバレが含まれますのでご注意ください。

登場人物

主要な登場人物をまとめています。

東ゆう(あずまゆう)
東の星。アイドルに憧れる15歳。茶色い地毛を『アイドルのイメージは綺麗な黒髪』なので染めている。カナダに住んでいたことも。
大河くるみ(たいがゆう)
西の星。西テクノエ業高専。ロボコン優勝を目指す16歳。
可愛く既にアイドル的存在だが、目立つことは苦手。
華鳥蘭子(かとりらんこ)
南の星。聖南テネリクス女学院2年生、16歳。お嬢様喋りが特徴的。
亀井美嘉(かめいみか)
北の星。城州北高校1年生、15歳。不登校の時期があり、その名残りでボランティア活動に勤しんでいる。東の小学校の同級生。
工藤真司(くどうしんじ)
くるみと同じ西テクノエ業高専2年生、16歳。星と写真が好きで、ゆうの計画の協力者となる。

どんな物語?あらすじをネタバレ要約

キラキラと輝くアイドル

小さい頃テレビで見たアイドルに強く憧れを持つ主人公・あずまゆう。

アイドルグループのオーディションに全部落ちていたゆうは、

東西南北から一人ずつ…自分を除いて3人の美少女を集め、アイドルグループを作ることを目論みました。

三人の美少女と友達に

大河くるみ イラスト
華鳥蘭子 イラスト
亀井美嘉 イラスト

まずメンバーを集める為『聖南テネリタス(高校)』を訪れ、華鳥蘭子と仲良くなります。

次に『西テクノ工業高専』へ。
目をつけていたのは、去年のNHKロボコンで有名になった美少女・大河くるみでした。

途中で会った男子高校生・シンジの助力もあり、彼女の専門であるロボットの話題や実験場所の提供により仲を深めていきました。

ロボットコンテストで準優勝したくるみにはNHKからの取材もあるようで、ゆうは写真が得意なシンジにも協力を仰ぎメンバーの知名度を上げていきます。

マジで策略家です。

アイドルグループを作りたいという計画をシンジには明かしたゆう。

「私、可愛い子を見るたび思うのよ、アイドルになればいいのにって。でもきっときっかえがないんだと思う。だから私が作ってあげるの。」

『トラペジウム』高橋一実、第三章

そんな偏った思考を否定せずに聞いてくれるシンジは、写真を撮ることがあれば手伝わせてくれと言います。

協力者の出現です!

グループ最後の一人はゆうの小学校の同級生である美嘉

美人ですが整形しており、ゆうはメンバーに組み込むか検討します。

ボランティアをしている美嘉。
学校や塾に通えない子どもたち『にこきっず』のことを生き生きと話す美嘉に、アイドルの重要要素である萌えや好感度を見い出だしました。

そしてゆう自らも英語を教えるボランティアに加え、
華鳥・くるみを誘った上でイベントの登山に参加。

これはにこきっずのブログに写真を載せてもらうことが目的でした。
アイドルになった後、ボランティアの写真が出て好感度が上がることを狙っています。

…まぁ就職活動のためとかにボランティアする人もいるので、似たようなものでしょう。

なぜそこまでアイドルになりたいのか?シンジに聞かれたゆうは

「初めてアイドルを見た時思ったの。人間って光るんだって。」

『トラペジウム』高橋一実、第五章

と、アイドルを初めて見たときの感動を語ります。

光るものへの憧れに、星好きの星好きのシンジは同意してくれます。

ボランティアに参加

車イス

登山ボランティア当日。

華鳥とくるみを連れて来たゆうは、馬場さんから「連れてくる友達が2人とは聞いていない」と苦言を呈されます。

車イス1台につき5人がサポートで、それが女の子ばかりになると車いすの子が不安だから一緒のグループにはしてあげられない。

華鳥とくるみは許してくれましたが、ゆうも特に楽しくはなく……

寧ろゆうは、華鳥とくるみが担当の車いすの少女『サチ』が、東西南北の輪の中心になっていたことに不満すら覚えていました。

マジでボランティアとか向いていない気質です。

サチとは後日、くるみの西テクノ高専の『工業祭』で再会。
一緒に回ることになり、ここでも喜ぶ他三人にゆうは微妙な気持ちでした。

サチを含む5人は、10年後のなりたい自分にコスプレするコスプレ写真館で写真を撮ることに。

チェキが壊れたため、シンジの撮影です。

サチに「ほんもののアイドルみたい!」と言われて気分が上昇したゆうは、ひっそりと本物になることを約束します。

テレビデビューを狙う

キラキラしたテレビの世界

次の計画はテレビに映りこむこと。

東西南北の真ん中にある城『翁琉城』という観光スポットがテレビ番組で取り上げられるため、そこで働きます。

外国人を通訳して案内するボランティア。
外国語ができないゆう以外のメンツ(西南北+シンジ)もガイドの助っ人としてねじこみました。

取材の打ち合わせで、AD古賀から美少女グループへの食いつきは良好。
しかしその後に問題が発生します。

端的に説明できるという理由で「ボランティア仲間」と自分たちをくくったゆうに不満を抱く美嘉。
取材当日欠席したくるみ。

ちなみにゆうは『他メンバーがくるみを捜しに行くと取材をうけられないのでは?』と心配していました。相変わらずでした。

何はともあれテレビデビューを果たすものの、それを一瞬で忘れていく周囲。

そのことを痛感したゆうは、城案内ボランティアの伊丹さんの連絡先を消しました。

かなりドライですこの主人公。

しかしそんなゆうにチャンスが。
校門前で待っていたAD古賀は、東西南北の四人に『金曜深夜のバラエティ番組に出て欲しい』と頼んできます。

高校生が様々なフェスに足を運び、アポなしで取材する企画。
まさに素人の女子高生にぴったりの役目でした。

これに一番難色を示したのはくるみですが、華鳥の「きっと大丈夫」という言葉に流され、参加することになりました。

とんとん拍子で東西南北のコーナーはレギュラー化。
そこでゆうはADからディレクターに出世した古賀に、事務所に入りたいという話を持ちかけます。

芸能事務所入り

撮影現場

マルサクトという事務所につないでくれた古賀。
ゆうは他のメンバーには嘘をつき、一人で事務所に面接に訪れます。

面接者・遠藤に前のめりな自己PRを行うゆう。

カナダに居たことがあり英語も話せること、男の子に興味がなく今まで付き合ったこともないこと、ダンスと歌も独学で練習、SNSは一切登録していないなど…

ちょっと怖いくらいのアイドル適正を示します。

ヤバい……。

「他のメンバーはアイドルになりたがっているのか?」と聞かれ「夢見ていると思う」というゆうに、「そんな美しい世界じゃない」と現実をつきつける遠藤。

トータルでは前向きな返事をもらいましたが、ゆうは不満でした。

頭の中で、「インプラント(作り物の歯)から出てくる言葉など本物ではない」などという無茶苦茶な理論を持ち出し、アイドルの美しさを否定する遠藤の言葉を否定します。

ゆうが包み隠さずすべてを報告しているのはシンジにのみ。
しかしアイドルになると今後は会えなくなるということも確認しました。

古賀から始めてスタジオに呼ばれた東西南北。
カメラが回った中で、番組のエンディング曲「方位自身」を歌うことを告げられます。

アポなしフェスレポート企画がアイドルになっていく成長ヒストリーとなった番組。

どんどん別世界になる周りの状況に、ゆう以外は戸惑いを隠せません。

今すぐにでも逃げ出したいと涙するくるみですが、しかし華鳥に「みんなで過ごす日々が楽しい」と言われてしまえば嫌だと言いきれません。

友情が先に出来てしまっているのが、くるみにとってはキツイ状況です。

エンディング曲のみではなく他の仕事も与えられる東西南北。
ブログも開設され、人気はくるみ、華鳥、美嘉、ゆうの順となっています。

ゆう最後です……。

注目が集まるにつれボランティアの件やくるみのロボコンの過去も出てきて良い結果に。
しかしSNSから美嘉の彼氏が発覚して状況は一変します。

「にこきっず」の一員に彼氏がいることを、他メンバーに言っていなかった美嘉。
「東西南北」で売り出している以上、辞めてという事はできません。

誹謗中傷で笑わなくなった美嘉。
既にアイドルが楽しくなくなっている華鳥。
おかしくなりそうだと言うくるみ。

そしてその時は訪れました。

グループ解散!?

泣くくるみ

収録中に泣き叫んだくるみ。
カメラの前で自分が分からなくなり、特技であるはずなのに小学生の理科の問題に答えられなかったことがきっかけでした。

これをきっかけに美嘉と華鳥も辞めよう言い出します。
ゆうは美嘉から「今の(アイドルに執着する)ゆうは怖い」と言われ、事務所を飛び出しました。

契約解除になった三人と、残ったゆう。しかしゆうの仕事はありません。

突然の落下…。

一瞬で消えたアイドルという称号。
普段は隠している本心が出てしまう程やさぐれているゆう。

しかし進路説明会中、自分に再度問いかけても目指すものは変わりません。

自分の為に行動し、都合が悪くなると人を傷つける自分。
アイドルになるべきではないことをわかっていても、好きなものを嫌いになることはできません。

ゆうは喫茶店に三人を集めて頭を下げました。

「アイドルになりたい」。

最後まで言わなかったゆうですが、くるみはなんとなく察していました。

一緒に目指すことはできないけど、ゆうを責めたりはしなかった三人。
自分を見つめ直し、現状を前向きに考えています。

元々行動力やそれぞれの特技がある三人です。

友人になってくれてありがとう、応援してる…

優しい言葉をかけられたゆうもまた同様で、既にアイドルグループのオーディションに応募していました。

「励まされて前向きになって応募」ではなく「すでに書類を送っていた」…本当にブレない主人公です

【結末】アイドルになったゆう

アイドルとしてステージに立つゆう

8年後。

国民的アイドルグループのリーダーになった25歳のゆうはインタビューに答えています。

「何気なく応募したオーディションにうかったのがきっかけ。本当に偶然が重なった…」

手を打ちまくった人が何を…という感じです。

アイドルの使命はパーソナルプロデューサーを担い続けることだと考えるゆうは、嘘と本音を上手く使い分けながら仕事をしています。

そして8年ぶりに電話がかかってきたシンジの写真展で再会する面々。

ライブに足を運んでくれる友人たち。
写真家になったシンジ。

写真展の最後にあったのは、工業祭で撮ったコスプレ写真でした。
シンジはそれに『トラペジウム』という名前をつけていました。

トラペジウムの意味についてはこちら↓

トラペジウムが面白くないと言われる理由は?予想と違う物語

夢に焦がれる女子高生たち。
ゆうは今、夢の為に動いた昔の自分にありがとうと言えます。

そこでシンジはゆうに、昔言えなかったことを告げます。

「初めて見た時から、光っていました」

『トラペジウム』高橋一実、エピローグ

感想

アイドルとしてステージに立つゆう

主人公がかなり尖っている物語でした。

それに伴い、夢を追うためには『エゴイストである』という部分が重要になる…ということを考えさせられます。

オーディションに落ちまくり、東西南北内でのブログコメント数も最下位だった東ゆう。
客観的に見ればアイドルには向いていないのではないか?と思われます。

しかしこの物語を読みゆうの考え方を知ると、『最終的に国民的アイドルグループのリーダーになった』という結末に疑問を抱きませんでした。

徹底的にストイックかつ自分の目標にブレずに進めること。
遠藤のアイドルを否定的に見る言葉に、全く理論的ではない拒否を示したのも『ブレない』具体例だと思います。

人間的にゆうのような人を好きになれるかはともかく、『強い』

そしてそんな自分を身勝手だと自覚しながら、将来『ありがとう』と言ってしまうのも強いです。

夢を叶えるという具体的な一本のドラマを見て、自分の謙虚さ・潔癖さをもう少し緩和するべきかなという感想を抱きました。

ゆうの強さについてはこちらもご参考にどうぞ!

【トラペジウム】夢を追う輝きと泥臭さがつまった【名言5選】

まとめ

『トラペジウム』原作小説についてまとめると……

  • アイドルになりたい主人公『東ゆう』が、城州の東西南北から美少女を集めてアイドルグループを結成する
  • しかし彼女たちとは友人として仲を深めていき、アイドルを目指している事は言わなかった
  • ボランティア時のテレビ出演からアイドルデビューまでとんとん拍子に進むも、他のメンバーはゆうについていけずに脱落
  • ゆうだけはそれでも諦めずにアイドルを目指し、8年後にはトップアイドルグループのリーダーになった
  • 違う道を歩んだ東西南北の仲は最後まで良好

ということでした。

映画観て気になった方も是非読んでみてください!

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