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『ミーツザワールド』ネタバレあらすじ。ライの死にたみの結末は?

『ミーツザワールド』ネタバレあらすじ。ライの死にたみの結末は? 小説・実用書

金原ひとみ著作『ミーツ・ザ・ワールド』。

腐女子銀行員「由嘉里」が、キャバ嬢「ライ」の死にたみを止めようとルームシェアを始める話です。

ところが読んでみると、予想と展開が…全然…違う……!
読了後「よくこんなもの書いたなぁ…」という感想を抱きました。

以下、登場人物相関図とあらすじを、ネタバレで結末まで解説。

個人的感想もお届けします。

登場人物相関図(関係図)

『ミーツ・ザ・ワールド』登場人物相関図。

・主人公:由嘉里(ゆかりん)……腐女子。銀行員。27歳、婚活中。ライが死ぬのを阻止したい。
・ライ……死にたみが強いキャバ嬢。由嘉里とルームシェア。
・鵠沼藤治(くげぬまとうじ)……ライがすっと好きな人。精神科に入院中。
・アサヒ……ホスト。結婚している。ライの友人で、由嘉里とも友人に。
・奥山譲(ゆずる)……由嘉里が婚活パーティーで出会った人。
・オシン……バー「寂寥」のマスター。オネエ言葉。
・ユキ……アサヒの女神(?)。小説家。この世の全てを体現したような女。

あらすじネタバレ(結末まで)

ホスト部、キャバクラが並ぶ歌舞伎町

合コンで飲みすぎ歌舞伎町の路上で倒れていた由嘉里は、キャバ嬢の「ライ」に拾われた。

ライは美人だがゴミ屋敷に住んでおり、「私はもうすぐ死ぬ」「この世界から消えなきゃいけない」と言う。

「死は自分に与えられたギフト」なのだと。

しかし由嘉里は、初対面にも関わらず、ライをどうにか生かしたいと思った。

そしてルームシェアを始めた。

ライの知り合いであるホストの「アサヒ」にも出会い、

由嘉里は最も遠い人種と思っていたライやアサヒに、家族や同僚よりも親しみを覚える。

一方で「属性が違う」母親とはやはり分かり合えないと、距離をとった。

そして婚活パーティーで会った「奥山譲」も、デートをしたうえで「この人とは恋愛できない」と判断した。

由嘉里はライを止める為、「死にたみ」について学んでいく。

バーのマスター「オシン」に紹介されて、不幸な女「ユキ」に話を聞きに行った。

ユキは、かつて「好きな男に会いたいから」という理由で子供を殺した夢を見て、理解ある夫と娘を追い出したらしい。

幸せな思い出さえ「地獄への入り口」と言うユキに、由嘉里の言葉は届かない。

それでも由嘉里は諦めない。
アサヒを「ライの死にたみ半減プロジェクト」に巻き込み、ライがかつて一番好きだった男…「鵠沼藤治」に会いに行く。

しかし鵠沼も「上手く生きられない人間」で、彼の両親に聞いたところ、精神科に入院しているらしい。

そして由嘉里が帰宅すると……ライが置き手紙を残して消えていた。

消えたライの後ろ姿

自分の無力さに泣きたくなるも、すぐにアサヒから「刺された」とLINEが入ったため病院へ。

アサヒは奥さんに離婚届を置いて出ていかれ、太客の彼氏に刺されたらしい。

入院になるものの、命に別状はなし。

見舞いで集まったオシンとユキは、ライの事を聞いて由嘉里を気遣ってくれた。

しかし由嘉里は理解し合えない母親と再会し、「ライは理解できない考えを持つ、自分との同居が苦痛だったのでは?」と思い至って号泣する。

さらに鵠沼から連絡があり、ライにとって由嘉里との同居は「生きる意味を探す実験だったのでは?」と言われ、打ちのめされた。

ゆかりはライが残していった300万円で、一緒に住んでいた部屋に引き続き住むことを決めた。

そしてライのいない世界に慣れる為、泣きながらも仲間に気遣われ、リハビリしていく。

今、ライは由嘉里の中にいる。

ライに届けばいいと部屋からの景色をSNSに投稿しながら、由嘉里はありのままのライを祝福している。

【感想】「分かり合えない」がこれでもか!というほど…

分かり合えない人と人

なかなかにやるせない物語でした。
一般的に言う「ハッピーエンド」とは展開が逆に行くので、「よくこんな話書いたな…」と読了してからダメージを受けました。

  • 婚活を成功させたい→デートした男は「ナシ」だし、婚活も優先度が低くなる結果に
  • ライを死から救いたい→出て行って生死不明
  • アサヒとアサヒの奥さんの関係が良くなるといい→離婚

だからこそ結末の予想のつかなさも、かなりのものなんですけどね……

  • 死を救いと考える人もいる
  • 分かり合えない人もいる
  • 必死に説得しても、何も届かないこともある etc.

挙げるとキリがないですが、苦い現実を描き切った作品でした。

特に「前向きな言葉が何も届かない人間」の描かれ方は秀逸だと思います。

「助けたい」という想いで声をかけても、死については向こう(死にたい人間)のほうが考え尽くしているので、何を言っても言い返される。

こっちは「そんなこと言ったら終わりでは…?」「考え方ネガティブすぎない?」と思うけど、いくら言葉を重ねても何も届かず、結局疲弊してしまう。

まぁだからこそ、「死を望む人・生きたがっていない人」を普段相手にしている人が読めば、救われる物語なのかなぁと思います。

平和な人間が読むとダメージを負いますけどね。

自分の状況や体験によって、感じ方が変わる物語なので、是非ご自分で読んでみてください。

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