今村翔吾著作『イクサガミ 神』読了しました!(原作小説)
4巻完結の『イクサガミ』4巻目(完結巻)。(前巻の記事はこちら)
この最終巻で、生き残り9人による後半戦が最後まで描かれます。
愁二郎たちは生き残り、家族を助けるための金を手に入れることができるのか!?
以下、ネタバレあらすじ感想をまとめています。
目次
神 ネタバレあらすじ解説
イクサガミ【神】(最終巻)の簡単なあらすじ要約です。ネタバレにご注意ください。
黒幕にとって双葉は都合が悪いらしい

蠱毒主催者・川路利良と、四大財閥から一人ずつの資金提供者たち。
彼らは彼らで自身の命運をかけて、大詰めとなったゲームを見守っている。
問題として話題に上がったのが香月双葉だった。
「殺しだけでなく悪事を一つも働かずに生き残った」ーー……。
この事実は、虚偽を作りたくない川路にとって困る話だった。
後半戦では、生き残り9人を「凶悪犯」として民衆に知らしめるからだ。
何も知らされずに後半戦までのインターバルを過ごす双葉は
「必ず助けようね」
と、希望だけを見据えている。
【後半戦ルール】警察や民衆も敵
目隠しをされ、それぞれ東京内の別の場所に連れていかれた生き残り9人。

前半戦と似通った後半戦のルールが説明され……
- 午前0時までに寛永寺の黒門を目指す。(10分前から開門)
- 辿り着いた者で金十万円を山分け
9人は、自らが「賞金首の凶悪犯」と写真つきで知れ渡っている東京に解き放たれた。
警察内にも緊急警報で周知されている9人。
その罪状は、各々蠱毒前半戦で行動が反映されており……
双葉以外は否定できないようなものだった。
天明刀弥戦①

後半戦開始。
愁二郎が一番最初に開国したのは、初対面の天明刀弥だった。
山分けでも賞金は十分足りる額だが、天明が切りかかってきたため戦闘に。
押されたのは愁二郎だった。
介入してきた警察の騎馬隊が天明に斬られるのを見捨てられず、追い詰められる愁二郎。
四蔵が合流してくれるが、二対一の戦闘でも苦戦する。
結果、やってきた軍(歩兵第一連隊)に天明を任せて、愁二郎&四蔵は撤退した。
彩八vs幻刀斎

巡査に捕らえられようとする双葉と合流し、保護したのは耳の良い彩八だった。
しかしそこに幻刀斎が近づいてくる……
元旅芸人の彩八は、戦闘場所としてオープン前の新富座(劇場)を選んだ。
耳だけを頼りにできる環境を作り、己の全てを振り絞って戦う彩八。
肩を貫かれてもさらに肉迫する。
それでも……
彩八は仕込み杖にて致命傷を入れられてしまう。
彩八は駆け寄ってきた双葉に、奥義伝達の言伝を頼んだ。
京八流奥義「文曲」と「禄存」を愁二郎と四蔵に。
彩八は双葉が逃げ切るまで、最後の力を振り絞り時間を稼ぐ。
響陣が脅される

双葉はカムイコチャ&四蔵と合流できた。
四蔵は彩八の死を知り、彩八の奥義を受け取った後、幻刀斎を殺しに行った。
さらに響陣とも合流できたが……カムイコチャがなぜか響陣に警戒する。
響陣が敵である半次郎と話しているのを見たというのだ。
響陣は、隠さず双葉に本当の事を告げた。
愛する幼馴染であり、現在吉原で働いている「陽奈」が蠱毒運営に人質に取られたと。
解放条件は「愁二郎を討つこと」。
双葉は駅逓局に駆け込み、前島へのヘルプ要請の合言葉「串団子より願う」を叫ぶ。
前島の指示で、部下たちがすぐさま陽奈の保護に向かった。
吉原突入&木偏の裏切り

吉原突入に、銃持ちで参加した進次郎。
陽奈を捕獲していた男たちを撃つ。
陽奈の首元に銃口を突き付けていた最後の一人は、進次郎の蠱毒担当者である杜だった。
そしてその杜も、根来組の忍者として命令に背くことなく撃たれて死んだ。
陽菜を保護したことを、愁二郎の元に向かう響陣に伝えようとする双葉。
すると、甚六の担当であった椒が、愁二郎の居場所を教えてくれた。
裏切りだと栂(カムイコチャの担当者)が騒ぐが……
栂の顔面に眠の毒をぶちまけたのは橡(双葉の担当者)。
参加者に情の湧いた、木偏の裏切りが発生している。
カムイコチャvs天明

愁二郎の元に向かう双葉&カムイコチャは、血に濡れた天明刀弥に出くわしてしまう。
双葉を逃がし、相手を引き受けるカムイコチャ。
天明は強いカムイコチャが双葉を守ることを不思議がり……
逃げた双葉を追走し始めた。
「双葉を痛めつければ強いやつが集まってくる」ーー……
即座に追うカムイコチャ。それも天明の思惑通りだった。
カムイコチャは隠していた高速の番え等も出すが、それでも敵わない。
右手を吹き飛ばし、カムイコチャに致命傷を与えた天明は双葉の元に向かう。
しかし……最後の一矢を口で放ったカムイコチャ。
それは腿に命中した。
川路の真の目的

伊藤博文に「凶賊逮捕を一任してくれ」と具申しに来た川路。
大金をはたいて開催した『蠱毒』の目的。それは……
「警察に拳銃携帯の許可をもらうこと」だ。
この時代、士族が多い警察は反乱を怖れられ、警棒しか持たせてもらえなかった。
駅逓局の局員は銃を所持できるのに。
しかし、前島が一手早く川路の狙いを伊藤へ伝えていた。
伊藤は前島・川路両名に、事が収まるまでの庁舎待機を命じた。
響陣VS愁二郎

響陣を一目見て、自分と戦うつもりだと悟った愁二郎。
木偏たちの環視の中、戦闘に。
陽奈を解放するための戦いだが、愁二郎と戦ってみたかったらしい。
響陣にも、幼いころから学んできた奥義があった。
雨之常立神。その最終奥義は、命尽きるまで戦う神逐。
勝てぬ敵に使うための技……響陣はそれを使用した。
愁二郎が呼びかけ殴りとばし、双葉が「陽奈は大丈夫」と伝えてどうにか自我を取り戻した響陣。
それでも、一度使えば死ぬことは変わらない。
響陣は後は任せたと言い置き……
かつての同輩である周囲の木偏(多羅尾兄弟もいた)を討伐。
ラストは炸裂弾で片を付けた。
その後、
- 彩八の死と奥義を愁二郎に伝える
- 橡が多羅尾千景(槐)の代わりに寛永寺の黒門を開けに行く
- 人斬り半次郎に遭遇し、愁二郎が戦って勝利する
といった出来事があった。
四蔵vs幻刀斎

四蔵が幻刀斎に戦いを挑んだ。
残るただ一人の義兄弟…愁二郎を殺させたくないという想いにより、単独で。
兄弟たちの想いと奥義を駆使し、遂に幻刀斎の右腕を落とした四蔵。
勝てると踏んだ四蔵は、命を投げ打ち、全てを賭けて迎え撃った。
そして幻刀斎に勝利した。
四蔵は兄と生き残るために寛永寺に向かう。
最後の敵・天明と蠱毒終了

愁二郎が半次郎と戦うため、先に寛永寺に向かう双葉。
双葉に追いついたのは…天明だった。
カムイコチャの死を告げられ、なんとしても逃げ切らないとと思う双葉。
そんな双葉を先に行かせてくれたのは、ギルバートだった。
故郷の妻と子供たちに「悪いやつをやっつけた」と言えるように。
しかし強いのは天明。
ギルバートはしがみついて一秒でも時間を稼ぎ、最期、天に銃を撃って居場所を知らせた。
しかし、寛永寺の黒門前で双葉は天明に追いつかれてしまう。
焦った双葉の声を聞きつけたのは、黒門前に体力僅かで座っていた四蔵。
四蔵は最後の力で、亡き兄弟たちと対話しながら天明と戦う。
ここにきて、相性の悪い奥義も同時に使えるようになった。
残る一滴まで奥義を繰り出した後、四蔵は兄・愁二郎の腕の中で倒れていた。
愁二郎は、四蔵から兄弟全ての想いと奥義を受け継ぐ。
京八流解説:イクサガミ|奥義『京八流』を解説!継承戦の真実と最終持ち主
愁二郎vs天明。
橡が黒門の開門を叫ぶ。警官の群れをどうにか止めている。
愁二郎は、双葉を先に行かせた。
京八流は心技体の「心」で変わる託す剣。
義兄弟たちからの想いを繋ぎ、双葉を守ろうとする愁二郎は、今京八流全ての奥義が同時に出せる。
イクサガミ。
イクサガミとは?
イクサガミ『幻刀斎』の正体は?過去で「イクサガミ」の意味判明
双葉に戻るなと指示を出し、まだ強くなる天明と剣を交える。
二人は午後0時になっても戦い続けた。
到達者は双葉ただ一人。
結末

蠱毒決着から一年。
愁二郎の生死がわからぬまま、双葉はあちこちにお金を届けてきた。
- 【双葉】母に1万円
- 【愁二郎】妻・嵯峨志乃に1万円
- 【響陣】陽奈に1万円
- 【進次郎】父の借金を返す金額
- 【菊臣右京】花山院隊の鎮魂碑を建てる
- 【三助】家族へ
- 【四蔵・甚六・彩八】鞍馬寺に寄進して弔ってもらう
- 【ギルバート】妻に送金
- 【カムイコチャ】故郷を取り戻すための金34300円
蠱毒の真相については、新聞記者である響陣が書いていた記事が、東京日日新聞の号外で配られた。
蠱毒の出資者4人はそれぞれ捕縛or自害。
主犯・川路利良は一度国外に逃げたが、帰国後死亡。何者かに襲撃されたという目撃情報もーー…
愁二郎ではないのか?
もっと詳しく:【イクサガミ】嵯峨愁二郎は最後どうなる?主人公の正体から結末まで
一度愁二郎の妻子に会ってみようと考えている双葉。
顔をあげると、東京の往来に愁二郎の背が見えた気がした。
逢えるなら、この旅の先で逢える。
感想

いやぁ~~~死んだ死んだ……
カムイコチャ…四蔵…彩八………
後半戦のルール聞いたときは「山分けなら殺し合わなくていいじゃん!」と思ったのに、天明刀弥がヤバかったですね……
誰が足止めしてくれても、結局双葉に追いついてくるのが怖い。
カムイコチャとギルバートの足止め効果、もう少し働いてくれてもいいのでは……
後半戦で誰が誰を殺したのか?はこんな感じでした。
- ギルバート・カムイコチャ・四蔵……天明刀弥
- 彩八……幻刀斎
- 幻刀斎……四蔵
- 響陣……自滅。実質川路
- 天明刀弥……おそらく愁二郎
双葉だけクリアは本当に驚きの結果でした。
金を用意していた川路も驚きですけどね。潔癖で、全部事実で固めたいがために……
実在人物なので、ちょっと伝記とか読んでみたいな。
あとは、途中から吹っ切れたように味方してくれた橡!熱い男でした……
前半戦とは異なる方向にエグかった後半戦。
無罪の罪で石投げられる双葉は辛すぎましたが、
おそらく橡も、こういうのを見て我慢がきかなくなったのでしょうね……
ヒロイン双葉。響陣の事情を聴き駅逓局に乗り込むところは一番好きなシーンかもしれません。
もっと早く響陣が頼ってくれたらとも思いますが……
そこから進次郎の助力、進次郎に肩入れしてくれていた蟲毒担当・杜の事情……
四蔵の兄弟への想いにもじわっときましたし、何度か泣きました。
死んだ人多すぎてハッピーエンドとは言えない気もしますが、それぞれが戦い切ったと感じるラストだと思います。
ドラマも楽しみです。
紹介した書籍▼


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