伊坂幸太郎著作『さよならジャバウォック』読了しました!
DV夫を殺してしまった妻を第三者が協力して隠蔽する話?『容疑者Xの献身』みたいな感じかな?と思いきや!!
意味が分からない方向に物語が進んで、どう着地するのか予想がつかなすぎました。面白過ぎ!!
「主人公の状況が分からない」という面では謎解き要素もありますが、SF強めだと思います。
この記事では
- あらすじ解説(ネタバレが強い部分は折りたたんで結末まで)
- 作中に登場する曲の曲名&リンク
- 登場人物相関図
- 個人的な感想
をお届けします!
目次
あらすじ解説
できるだけ簡単なあらすじ要約です。強いネタバレを含む部分は折りたたんでいます。
夫を殺してしまった主人公・量子

自宅マンションで、夫を殺害してしまった主人公『量子』。
精神的なDVは日常的に受けていたが、帰宅後ついに暴力を振るってきたため、
近くに置いていた金槌でつい殴り殺してしまった……
よぎるのは幼稚園に行っている息子『翔』と母のこと。
ところがそこで、玄関チャイムが鳴る。
訪れたのは、最近十数年ぶりに再会した、大学サークルの後輩『桂凍朗』だった。
凍朗は直前に夫に会い、彼の普通じゃない様子から問題が起きていることを確信していた。

部屋に招き入れた量子。
ところが凍朗は、遺体を見て自首ではなく隠蔽を提案。
遺体を埋める為に量子を自分の父の山林に連れてきた。
ショックで記憶があやふやになりながらも、量子は翔のお迎えを山形に住んでいる母親に頼んだ。
ジャバウォックの研究者・桂凍朗

凍朗は大学を辞めてから現在に至るまで、研究施設でとある研究をしているらしい。
量子の夫のように急に凶暴な行動をとる、その原因についての研究。
具体的には、テストステロン(男性ホルモン)やジャバウォックについてだ。
ジャバウォックとは?
脳に憑りついた、人を凶暴化させるモノ。
意思の無い寄生虫。悪魔憑きの悪魔のような存在。
呼び名は『鏡の国のアリス』に登場するキャラクターから。
アルコールを摂取した時のように、失言・暴力を誘発する。
この間の記憶はなくなる。
寄生した人物が死んだとき、居合わせた他者に移る。
そこで量子は眠くなった。
凍朗から渡されたペットボトルに睡眠薬が入っていたのでは?と疑ったが、そこで記憶が途切れ……
この時点で、量子は死んだ夫から乗りうつったジャバウォックに、完全に脳を乗っ取られた。
そして20年が経過した。
この間、量子は凍朗に研究施設に運び込まれ、実験対象となっていた。
目覚める前の数年でやっとジャバウォックを人から剥がす方法が見つかり、量子も剥がされたが……
自分が老けていることには、ジャバウォックの影響で気づいていない。
目覚めた時声をかけてきたのは、破魔矢&絵馬と名乗る20代の夫婦だった。
彼らは「研究施設」の関係者で、ジャバウォックで何かを企む凍朗を追っているらしい。
量子は依然として意識がはっきりしないまま、一緒に行動することを求められたため従った。
伊藤北斎の話(量子が目覚める2年前)

「ジャバウォックが憑りついた人間の死亡時に居合わせ、ジャバウォックに乗りうつられて暴れ出す人間」は他にもいた。
その一人が、元歌手として名をはせた『伊藤北斎』の娘・『歌子』だった。
暴れて手が付けられず、精神科からお祓いまで何を試しても効果がない……
そこに訪れたのが破魔矢&絵馬だった。
二人は発見された以下の方法に従い、歌子からジャバウォックを取り外した。
- ジャバウォックを不安定にさせる曲(後述)を大音量で流す
- 憑りついた人にモニター付きゴーグルをつけさせ、「自分が破壊されている姿」の映像を見せる。→ジャバウォックに寄生した人物が死ぬと勘違いさせる
- ジャバウォックを亀に移す。(移行先として一番無難らしい)
歌子は今までの事が嘘のように平常な状態に戻り、北斎も歌手に復帰した。
そこに桂凍朗が『バスケットボールのワールドカップのハーフタイムショーで歌ってほしい』と依頼してきた……
ジャバウォックを外す『曲』はコレ!

ジャバウォックに影響を与える『曲』。
- カモンカモンが印象的
- 「俺たち以外は、みんなどうでもいいことで騒いでる」と歌うロックンロール
- 防災ベルの音が使われている
これはずばり、ビートルズの『Everybody’s Got Something to Hide Except Me and My Monkey』だと思います▼
曲名を直訳すると「僕と僕の猿以外、みんな何かを隠してる」です。
【20年後】凍朗を追う

破魔矢&絵馬は、夫殺しから20年経っている事を悟らせないよう注意を払いつつ、量子を凍朗探しに連れまわした。
(脳が混乱すると、リハビリが必要になるため)
凍朗は元々「量子の夫が死んだ不倫相手からジャバウォックを貰っている」と掴んでおり、夫をマークしていたらしい。
だからこそ量子の家に来た。
そして現在凍朗は、ジャバウォックが憑りついた亀を持ちながら逃げている……
何をしようとしているのか?
「凍朗がバスケットボールW杯の会場にいる」という情報を掴んだ破魔矢&絵馬は、
試合を見に来る『ルーシー夫妻』が目当てでは?と考えた。
ジャバウォックの研究を支える資金源・ルーシー夫妻。
「彼らは人体実験に子供を使ったり、ジャバウォックの軍事利用を考えている」と、凍朗が非難していたらしい。

凍朗の目的とは?

ワールドカップ会場に到着した三人。
絵馬・破魔矢と別行動をしていた量子は、凍朗に見つかって車に押し込まれた。
凍朗は、自分がルーシー夫妻を「加害者にして」ジャバウォックの研究を終わらせようとしていると明かす。
- ジャバウォックを取り憑かせた亀をルーシー夫妻に送りつけ、仕掛けで殺してどちらかに憑りつかせた
- この後会場で、ジャバウォックの逆輪に触れる曲を流す
さらにもう一つ。
凍朗は自分も試してみるつもりだと言う。
世の中の恐ろしい出来事は酷くなるばかり。そして自分もそんな人間の一人である……
だからこそ自分にジャバウォックを取り憑かせて、本当はどんな人間なのか試したい。
量子を拘束して立ち去った凍朗。
量子は車の窓ガラスを割って助けを求め、若い女性に助けてもらった。
ジャバウォックが暴れ出す

絵馬と合流し、凍朗がやろうとしていることを伝えた量子。
しかしその時、例のビートルズの曲を北斎が歌い出してしまった……
案の定、観客席の最前列あたりで暴れ出したルーシー夫妻の『太瀧』。
会場に飾られた竹を振り回しており、妻『葉奈子』は既に殺されているようだ。
北斎がパニックに陥る観客を落ち着かせ、
破魔矢が太瀧にとびかかり、逆に放り投げられる。
脚を踏まれて歩けない絵馬に、原曲を流して太瀧を止めて欲しいと頼まれた量子。
その時、ジャバウォックに憑りつかれた凍朗が太瀧に向かっていった。
量子は凍朗が随分老けていたことに気づき……
先ほど助けてくれた若い女性が、少し前まで送り迎えしてあげていた近所の小学生『燕』だと聞き……
いつの間にか20年経っていることに気づいた。
天狗がやってきたが、燕が彼の太腿に竹を刺して止めてくれた。
量子はマイクに携帯端末を近づけて、原曲を流した。
太瀧が子供を宙に放り投げた。
ジャバウォックに憑りつかれているはずの凍朗は……
子どもが床に激突しないようキャッチし、周囲の危険から守るために全身で覆いかぶさった。
結末

ジャバウォックに憑りつかれて暴れた凍朗と太瀧は、暴走状態が止まったら限界が来たようで、既にこの世にいないらしい。
そして彼らのジャバウォックは、凍朗が持っていた亀に憑りついた。
絵馬から全てを聞いた量子。
量子は周囲に「夫と行方不明」と説明されており、20年間研究所で実験体となっていたこと。
既に90代の量子の母には、量子を混乱させないために口裏合わせをお願いしていたこと。
息子『翔』について母に尋ねると、「あなたのほうが知っている」と答える母。
やっと目覚めた破魔矢こそが『翔』だったーーー…
登場人物相関図(全体)

読書感想

面白かった……!
他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。
聞いたことはあるけれど、改めて重みを感じた名言。頭に刻んでおきたいと思います。
この謎が謎を呼ぶ感じ、アクションも盛り込まれてエンタメ性もある感じは、最近読んだ書籍だと『一次元の挿し木』と似た読み味かなと感じました。
これはヒットしますわ……!
でも映画化は難しいか…?量子の認識の描き方が、映像だと難しいかもしれないですね。
あくまで量子視点のため、彼女の思い付きを鵜呑みにして感情移入すると疲れるところもありますが、
真実を知ったうえで、破魔矢や絵馬の反応がどういう意味だったのか、読み直すのも楽しそうですね。
伊坂幸太郎の他の著作も読んでみたいなぁ……
2021年の本屋大賞で4位だった『逆ソクラテス』が気になっています。
親しめる描かれ方で哲学が入るの大歓迎です。
シンプルに「DV旦那を殺害して第三者と隠蔽する」展開ならこれが面白い!▼



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