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爆弾『最後の爆弾は見つかっていない』とは?続編も読んで考察

爆弾『最後の爆弾は見つかっていない』とは?続編も読んで考察 小説・実用書

呉勝浩さん著作『爆弾』の最後の一文

最後の爆弾は見つかっていない。

爆弾,呉勝浩より

終わったはずの事件の余白を見せつけてくるこの文章。
実は続編の『法廷占拠』まで読んで「まさか……!?」ということに気づきました。

この記事では、このラスト一文の意味について個人的な考察をお届けしていきます。

そもそも最後の爆弾とはなんだったのか?

爆弾

まず「爆弾の個数について」のおさらいから、ラスト一文の奇妙さを解説します。

スズキタゴサクの爆弾事件。

爆弾制作現場の薬品等から「作れるのは上限20個が限界」と分析されていました。
そして爆発した爆弾が…

  • 秋葉原、東京ドーム、配達用バイク、代々木公園、幼稚園、シェアハウス……合わせて10個
  • 山手線のと阿佐ヶ谷……合わせて9個

計19個。つまり1個足りません。

だからこそ連続爆破事件はまだ続いていると思われていました。
これが「最後の爆弾」です。

当初この「最後の爆弾」は、スズキをこの事件に引き込んだ人物である「明日香」が持っていると思われました。
しかしスズキが爆弾だと言って明日香に渡していたのはフェイク。スイッチを押しても何も起こらないものでした。

類家はスズキを分析した上で「最後の爆弾はない」と推理しています。

  • 時限爆弾の恐怖は「爆弾が無い」と証明されるまで続く。
  • スズキはこの事件(ゲーム)に民衆たちを閉じ込めたいから爆発させない。
  • 爆弾が余っていても処分し終えている。

警察上層部もこの類家の推理を受け入れて、事件は終幕となりました。

つまり、確かに最後の爆弾は「見つかっていない」んですが、「ない可能性大」として解決したのです。

だから私も「あえて余韻を残すために、この最後の文をいれたのかな?」「最後の爆弾とは、爆発の可能性がある人間社会の闇的なものの例えかな?」と考えていました。

ところが続編にて、類家の推理が間違っていた可能性が出てきたのです。

類家の推理は間違っていた?続編での奇妙な発言

取調室

続編のネタバレに注意してください。

続編となる『法廷占拠 爆弾2』でもスズキVS警察のゲームは開催されるのですが、そこでスズキは奇妙なことを言っています。

「そうそう、類家さんにもぜひよろしくお伝えください。また、私の勝ちだと」

法廷占拠 爆弾2より

また私の勝ち…?

続編は分かるのですが、「1」のほうでスズキは確かに「引き分け」と言っていました。

「等々力さん。あの刑事さんに伝言をしてくれますか。今回は引き分けです、と」

爆弾より

ところがこれ、よくよく読み返すと「引き分けまで持っていったのは等々力で、類家のターンまででは負けていた」という可能性があるのです。

「1」でも類家には勝ったと考えていた?

相関図。
取調室のスズキタゴサクと類家(取調官の一人。警視庁所属)
取調室の外で類家と連絡を取っていたのが等々力。

スズキが「1」で「引き分け」と発言した時の流れを見てみると、

  1. 類家との取り調べを追える(類家が警察で満足しているか、揺さぶりをかけることもあった)
  2. 等々力と話をする(スズキを理解しながらも別の考えに至った等々力に、スズキは感銘を受けた様子だった)
  3. 等々力に「類家に今回は引き分けと伝えてくれ」と言った

スズキ個人の認識での話ですが、やっぱり等々力が引き分けまで持って行った可能性はありますね。

だとするなら、類家はどういった面でスズキに負けていたのか?

  • 「最後の爆弾はない」が類家の推理ミスで、スズキはまだ爆弾を所持している
  • スズキの揺さぶり(生きるの虚しくない?という揺さぶり)に揺れた類家に対し、スズキは心理戦で「勝ち」と判断した

二つのパターンが考えられるわけですが、両方とも否定できません。

ただ…ネタバレになりますが、

スズキは『法廷占拠 爆弾2』で逃げおおせました。

つまり今後、「物理的に残っていた最後の爆弾」或いは「スズキの揺さぶりで揺れた類家」どっちもまだ爆発する可能性があるということです。

ほんとに面白い話ですよね。

さらに言えば続編も、ある意味スズキタゴサク事件で形になった爆弾が爆発した形でしょう。

しかしこれは「最後」ではありません。
『法廷占拠 爆弾2』は、続編がありそうな雰囲気を醸し出して終わっているからです。

今も爆弾は見つかっていないのでしょう。

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