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小説『爆弾』ネタバレあらすじ・感想。登場人物相関図と考察も

小説『爆弾』ネタバレあらすじ・感想。登場人物相関図と考察も 小説・実用書

呉勝浩ご かつひろさん著作の小説『爆弾』読了しました!

ページ数多そうなので怖気づいて積み読していたんですが、読んでみたらめちゃくちゃ面白い…!
1日かからず読み切りました。

愉快犯爆弾魔の「へ理屈哲学」に呑まれそうになる推理モノ。
真相もさることながら、登場人物たちが実に魅力的でした。

以下ネタバレ注意です。

ネタバレあらすじ解説

取調室

酔って自販機を蹴り飛ばし、店員を殴って野方警察署にしょっ引かれた男「スズキタゴサク」

ところがこの男、「自分には霊感がある」と言って秋葉原での爆破を予言してみせた――……

「この男(タゴサク)はこれから予定されている連続爆破事件の首謀者、または関係者である」

事を重く見た上層部は、取り調べを警視庁の特殊犯係の清宮・類家るいけに担当させた。

知能戦、駆け引き、防いだ爆破、防げなかった爆破。

その中で見えてきたのは、「4年前に不祥事を起こして辞め、自殺した警察官・長谷部有孔」との関連だった。

タゴサクに騙された末、シェアハウスの爆破に巻き込まれた警察官たち。

そのシェアハウスには、本来の「連続爆破事件」首謀者3人の死体があった。

内一人は長谷部有孔の息子・辰馬。

そして計画を聞き、二人分の死体を見て辰馬を殺してしまったのが、その母・明日香だったーー……

長谷部有孔が死んでからホームレスをしていた明日香は、タゴサクと知り合いだった。
他に頼れる相手もいなかったため、助けを求めた。

概要を聞いたタゴサクは、起こる予定の爆破事件を、自分が真犯人になれるシナリオを書き換えた。
「人は誰でも生涯で十五分間は有名人に慣れる」

しかし爆破事件の概要は、死んだ三人のメモやスマホデータを総ざらいしただけ。
山手線の一番大きな連続爆破。そのどこに爆弾が仕掛けられているかは知らず(自販機の缶の中だった)、ヒントを出せなかった。

結局40人以上の死者がでるのは止められなかった。
そして態度からボロがでたため、タゴサクは真実を類家に見抜かれて逮捕された。

殺人容疑を認めない明日香と、一貫して霊感や記憶喪失を主張するタゴサク。
彼らは裁判にかけられる。
タゴサクは極刑が確実とみられている。

登場人物(ネタバレ相関図)

長谷部有孔と明日香の息子が辰馬、娘が美海。
長谷部有孔は不祥事で四年前に自殺しており、妻の明日香は有孔死後ホームレスに。そこでタゴサクと面識があった。
辰馬は梶・山脇と共にシェアハウスで連続爆破事件を企てていた。それを知った明日香が、息子である辰馬を殺害した。
明日香はそれをスズキタゴサクに相談した。するとスズキはその計画を乗っ取った。
スズキの取り調べを行う部屋にいるのは清宮(取調官、警視庁)、類家(取締官、警視庁)、伊勢(巡査)である。スズキは伊勢を騙している。
伊勢が連絡をとったのが後輩の矢吹。爆発で足を失うこととなった。矢吹とはその後輩である倖田も一緒に行動していた。交番勤務の倖田は、明日香と地域交流会で面識があった。
一方、長谷部の元部下である等々力は類家と連絡をとっていた。等々力の上司が75点の男と言われる鶴久、部下が井筒である。

感想

警察帽

入り込めなかったのは最初だけ。タゴサクの話術と類家の推理に魅せられて1日かからず読み切りました!これは面白い……!

とことん登場人物が魅力的なミステリーだと思います。
主要どころ…知能戦を繰り広げるタゴサクや類家は勿論なんですが、「こいつ小物だなぁ」という警官キャラに至ってもです。
急場で「おぉ…!お前…!」という底力や人間臭さを見せつけられたりして、そこにハマってしまいます。

例えば、気の合う先輩が目の前で爆発に巻き込まれ、市民たちに散々好き勝手言われ、最後までどっちに転ぶか分からなかった人情派の倖田とか……

意外にもグッときてしまったのが、「75点の男」と言われる鶴久。

おれはハセコーにはなれない。長谷部や等々力の捜査能力はもっていない。世渡りに汲々とする中間管理職で、他人より娘が大事。せいぜい七十五点の男。
だが七十五点を、守らない理由はない。

呉勝浩『爆弾』より

いやぁ~嫌味が感動に化けることってあるんですね。
警察にとって危機的状況で、「でも75点はとる」と自分を鼓舞する鶴久。
これはうるっときました。

長い連続爆破事件の中で、途中でやらかしている警察官もいっぱいいます。
それでもヤケにはならず、最後まで投げ出さず、終了まで全員が立ち向かい続ける。

そういう姿が胸熱の作品です。

等々力と長谷部について考察

長谷部が飛び降り自殺した駅

一番インパクトが強い登場人物は、へ理屈哲学をこねるタゴサクや、名探偵なみの推理を披露する類家です。

しかし心情が丁寧に描かれていて、現場での見せ場を持って行く「隠れ主人公」は等々力でしょう。

タゴサクの思考に一番共感してしまい、自らの正義感の薄さに葛藤する等々力。

4年前「事件現場で自慰をしていた」と報道され、辞めて自殺した、尊敬する先輩・長谷部。

それを擁護した自分はなんだったのか?

事件の中で見えてくる、長谷部の真実と自分の思考。

長谷部は薄暗い欲望を誤魔化すために、人一倍正義をまとっていたのではないか?
そしてそれのどこが悪いのか?

吹っ切れた時、いつにない覇気を持って職務に挑んだようにも見える等々力。

等々力は今後、自分の正義感の無さを補うために、人一倍正義をまとって警察官をやるのだろうなと思います。先輩・長谷部のように。

続編やら映画化について

そしてこの本、続編がでているんです。
あらすじだけ見てみたんですが

未曾有の連続爆破事件から一年。
スズキタゴサクの裁判の最中、遺族席から拳銃を持った青年が立ち上がり法廷を制圧した。
「みなさんには、これからしばらくぼくのゲームに付き合ってもらいます」
生配信で全国民が見守るなか、警察は法廷に囚われた100人を救い出せるのか。
籠城犯vs.警察vs.スズキタゴサクが、三つ巴の騙し合い!

引用 Amazon

……絶対面白いじゃないですか。
スズキタゴサクまだ出張るんですか…これは読まないと。
レビューもかなり良いですし。他のメンツの再登場はあるんですか…⁉どうなんですか…!

映画公開の2025/10/31までに読んで、感想書きたいなと思います。

映画も楽しみです。けど、どうなんでしょう……
予告PVで類家とタゴサクが押し出されてますけど、尺的に端役の魅力まで描ききれないんじゃないかな…
分厚い本なので、そういう部分は少なからずありそうです。

なのでまぁ、原作をまだ読んでいない人は是非読んでみてくださいね。絶対面白いです。

コメント

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