湊かなえの小説『暁星(読み方:あけぼし)』読了しました!
親が宗教集団『愛光協会』にかかわっていた影響で、苦しい人生を送る男女二人の物語。
この記事では以下の情報をまとめています。
- 結末までのネタバレあらすじ
- 登場人物相関図&名前の解説(星子等)
- モデルになった事件解説
目次
『暁星』ネタバレあらすじ

この物語は
文部科学大臣『清水義之』を殺害した『永瀬暁』の手記
↓
小説家『金谷灯里』の小説『金星』
の順に語られます。
できるだけ簡潔に、物語のあらすじを結末まで解説します。
文化祭で文部科学大臣を殺害

N県北城高校の文化祭にて、文部科学大臣(兼作家)の『清水義之(68歳)』が殺害された。
体育館の壇上で、刃物を刺されて死亡。
永瀬暁容疑者(37歳)(主人公)が現行犯逮捕となった。
暁は動機として宗教団体『愛光協会』と清水の関係をあげた。
愛光協会とは?

正式名称は『世界博愛和光連合』。
信仰で金を巻き上げ、ばらまく詐欺集団。
- 文学賞「桜柳賞」の受賞者8割が入信など、出版業界に息がかかっている。
- 「博愛和光書体」で願いを書けば救われる。(書体教本6冊が50万円~億円)
- 幹部がおり、幹部になるための修業もある。
【幹部】
雨龍→成龍→角龍→応龍(現役トップ)→黄龍(引退)
動機について手記を連載

暁は、作家だった亡き父の担当者『高橋氏』を介して手記を連載。
動機について詳しく語った。
幼いころ、父『長瀬暁良(本名:長瀬明)』は、愛光協会に目をつけられたため文壇を追放され……
失意の末自殺した。(暁・6歳が自殺を発見した)
父の憧れの作家であった清水は、父の作品を「麻薬常用者が喚き散らしているような文章」と酷評していた。
そして母『晴香』は『朝日の会』に熱心に通った。
これは高橋の妻『谷一葉』がリーダーを務める女性の会。愛光協会と密接した会だ。
母は下の息子…心疾患を患う『輝』が元気になることを願うため、
少なくとも2億をつぎ込み、勧誘活動にも手を染めた。
しかし、輝は27歳で亡くなった。
「母が自分のために宗教に金をつぎ込んだ」という事実が心疾患を引き起こし、
我慢させたのではないかと思われる。
暁が清水を殺害した動機は
「ただ、星を守りたかっただけ」だ。
金谷灯里の「フィクション」小説

事件の時、舞台の下手側にいた桜柳賞作家『金谷灯里』。
彼女は事件後、編集者の『加藤幸子氏』に『金星』という作品を持ち込んだ。
「この物語はフィクションである」から始まる物語。
母が『朝日の会』にのめりこんだことで、愛光教会から逃れられない人生を送る『星賀』が主人公だ。
星賀の母『照世』は、朝日の会リーダー『谷一葉』に心酔し、言いなりだった。
星賀はその影響でクッキーづくりの会に連れていかれたり、
万引きしたことを母に謝った手紙を、愛光教会『愛の集い』で二度にわたり朗読させられた。
その際『清原』という衆議院議員が星賀の文才に目をつけ、
その後、「文章力が上達する」「この文字で書けば願いが叶う」と『愛光書体』を教え込まれた。
星賀は知らぬまま愛光教会に入信し、修業をさせられ、億を超える借金を作らされていた。
作家になり、脱会して逃げられたと思っても、愛光教会は宿泊先まで突き止めてくる。
出版した作品には人間性を否定するレビューが書かれ、叩き潰そうとしてくる。
そして母は死んだ。何があったのかはわからないが、餓死または凍死だった。
星賀は愛光教会を潰すことを考え、中核にいる影響力の強い人物…『清原殺害計画』を立てた。
暁の本当の動機

しかし清原(本名:清水義之)を殺すことになったのは、
星賀(本名:白金星子)と恋仲にあった『永瀬暁』だった。
小2の頃、『朝日の会』のクッキーを作る会で接点ができた二人。
万引きの朗読をさせられた『愛の集い』で、暁が星子を連れ出してくれたり、
自転車がパンクした星子を、暁が偶然見かけて話をしたりということがあった。
暁は母と同じ名前の音である星子を、あだ名で『金星』と呼んでいた。
※暁の母は晴子(せいこ)と思われる。
「俺の前から消えた幸せは金星のところに」と言った暁に、愛を告げた星子。
頻繁に連絡を取り合う仲ではなかったが、ある時暁は、星子の著作からSOSを読み取って連絡した。
星子は暁に、母親が死んだことや、清水殺害計画を話した。
暁は殺害計画を聞いて、半分こを申し出た。
愛光協会の顛末

事件直前、星子は清水と話す機会が得られた。
清水は愛光教会と作家の関係について話した。
- 寿命が尽きかけている当代の『応龍の子』は、次の応龍となる『龍の子』を探している。
- 『龍の子』は、紫の教本に応龍の姿を見ることができる。
- 『龍の子』は作家の中にいるのでは?と考えて、目をつけられたのが『清水義之』『永瀬暁良』『金谷灯里』の三名だった。→全員ニセモノ
清水は愛光教会からの解放を望みながらも、捨てられることを怖れて永瀬暁良を潰した。
星子は、当代の『応龍の子』が『谷一葉』で、
次の応龍の子はその夫の『高橋』ではないかと考えた。
そして実際に病床の一葉の前で、高橋に紫の教本を見せた。
嘘か誠かわからないが、高橋は「応龍が見える」と言い、一葉が亡くなった後その地位を継いだ。
彼はいずれ愛光教会を「解体したい」と言っている。
【結末】ワープロ遺書を受け取っていたかもしれない暁の母

暁が愛光教会にヒビを入れ、星子が壊せば正しく半分こだ。
星子はこれからも、「生きろ!」と咆哮を上げる物語を書き続ける。
高橋は暁の母のその後についても語った。
彼女は応龍から名前を賜る儀式に、ダイナマイトを巻き付けて出席したがったらしい。
真に愛光教会にのめりこんでいたのではなく、本当は自殺した夫のワープロに遺された遺書を読み、敵討ちとして動いていたのではないか?と星子は考える。
輝が亡くなった際も、彼女は三日三晩声をあげて泣いていたらしい。
星子はちょっとでも暁が母を許せるのなら、私の名前を呼んでほしいと言う。
(名前の音が同じだから?)
星子は冒頭の「この物語はフィクションである」を取り消した。
暁くんへ 愛しています 星子より
登場人物相関図
登場人物相関図です。仮名、本名、ペンネーム全部まとめています。

モデルになった事件は?

最後に作品のモデル事件についても、著者のインタビューから解説します。
この作品は安倍晋三銃撃事件から着想を得て書かれた作品だそうです。
【2022年7月8日 安倍晋三銃撃事件】
加害者:山上徹也
→ 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨み
→ 母親が旧統一教会に多額の献金をして家庭が困窮したと主張し、同教団と関係が深いと考えた安倍元首相を狙った。
旧統一教会と政界→愛光教会と文学界となっているとはいえ、かなり実際の事件をなぞっているように思えますが……
しかし著者の湊かなえさんは、取材はしていないのだとか。
資料をあえて遠ざけて、想像力を駆使して書かれた作品だそうです。

コメント