この記事では、東野圭吾著作『クスノキの女神』(クスノキの番人の続編)について
- あらすじ(結末まで)
- 感想
をネタバレ有りでお伝えしていきます。
前作『クスノキの番人』は必読の内容でしたが、
個人的には『クスノキの女神』のほうがパンチが強く、名作だった印象です。
二度ほど泣きました。
目次
あらすじネタバレ要約
まずはできるだけ簡単に、結末までのあらすじ要約です。

佑紀奈と久米田

千舟から進められて通信制大学に通いつつ、クスノキの番人を続けている玲斗。
ある日、女子高生『早川佑紀奈』が「月郷神社に1冊200円で詩集を置いてほしい」と頼んできた。
佑紀奈作の詩集『おーい、クスノキ』。
OKして置くことにしたが、全然売れない。
『久米田』という男が代金を払わず持ち逃げして騒動になったこともあったが、その際は佑紀奈が多めに見たことで大事にならず収まった。
そんなある日、近くで強盗致傷事件が起こる。
実業家の森部という人が自宅に侵入した男に頭を殴られ、現金100万円が盗まれた……
というものだ。
この件で捕らえられたのが久米田だった。
しかし、久米田は住居侵入は認めているが、殴ったこと&100万円を盗んだことは否定している……
クスノキにて真犯人発覚

久米田の母『松子』は、千舟の小学校の同級生だった。
しかし松子も「息子が何を考えているか分からない」と悩んでいる。
そこで玲斗は、「クスノキからの受念」を提案した。
久米田は逃亡中クスノキの中に潜み、今後の行動を考えていたらしい。
新月の夜だったので、母親ならば受け取れるはず。
その提案は実践され、玲斗は千舟の録音から松子の話を盗み聞いて真実を知った。
森部を殴って100万円を持ち帰った真犯人は、パパ活で森部家を訪れていた佑紀奈であったと。
それを知っていた久米田は、庇おうとしていたのだ。
玲斗は集金に訪れる佑紀奈に、久米田が捕まっていることを伝えた。
すると佑紀奈は、102万円を返却。(盗んだ100万+パパ活先払い金2万)
レターパックで「久米田氏は無関係」と書いた紙と一緒に送った。
ところがその二万円分の万札は、玲斗が佑紀奈に「詩集代」として渡したものであり、
新札であったため、そこから一度留置所に入れられたことのある玲斗の指紋が検出され、玲斗付近が警察から嗅ぎ回られることになった……
元哉くんとの出会い

一方、玲斗をつれて認知症カフェを訪れた千舟。
玲斗はそこで、脳腫瘍手術の後遺症で、毎日記憶が消えてしまう中2男子『針生元哉』くんと出会う。
スターウォーズの話題で話が弾んだ二人。
それから元哉は、自分の日記(行動記録)を読んで玲斗の元を訪ねるようになり、
ある日社務所で詩集『おーい、クスノキ』を読んだ。
そして、クスノキに女神のイメージを見出し、絵を描いた。
後日その絵を見た佑紀奈は「これを物語にしたい」と言い出した。
玲斗は二人を引き合わせ……佑紀奈&元哉による絵本化計画が発足する。
内容は、人生辛いことばかりな主人公が、「未来を見せてくれる」というクスノキの女神を探すお話。
途中までは順調に進んだが、結末…「主人公は女神にどんな未来を見せてもらうのか?」という所に難儀して一か月がたった。
クスノキで梅大福再現

一方、元哉の母親・冴子から、元哉の誕生日プレゼントの相談を受けた玲斗。
一か月後何をプレゼントしようか?という問いに、玲斗は以前元哉から聞いた「梅大福」の話をする。
昔、両親が離婚前に家族三人で甘味処で食べた梅大福を、死ぬまでに一度食べたいと言っていた元哉。
しかし甘味処は廃業しており、冴子のほうは味を覚えていない……
そこで玲斗が「クスノキの利用」を提案した。
味をしっかり覚えている元哉が預念し、それを母である冴子が受念すればいい。
味の再現は、前作から付き合いが続いている和菓子メーカーの跡取り「壮貴」に助けを借りよう。
結果、味の伝達は上手くいったが、クスノキの祈念は伝えたいこと以外も伝わるもの。
冴子は元哉が自分の余命についても知っていると知り、離婚した父親『藤岡』にも元哉の念を受念させた。

そして二人そろって本格的に梅大福づくりを始めた。
トライアンドエラーの中、北海道まで蕎麦蜜を手に入れに行くなどして完成させた梅大福。
誕生日祝いには、元哉の願い通り佑紀奈も含めた四人で梅大福を味わった。
こうして、元哉の最高の一日が更新された。
『クスノキと少年』朗読会

最高の一日を過ごしたことで、元哉&佑紀奈は結末についてのインスピレーションを得た。
大切なのは、未来ではなく「今」なのだということ。
絵本が出来上がったため、玲斗が手配して公民館で朗読会を行うことになった。
読み手は、玲斗が千舟に頼み込んだ。
認知症が進行しており、言葉がつっかえるため渋っていた千舟をどうにか説得した。
そして本番。千舟の朗読。
女神の化身であるクスノキに、10年後の未来を見せてくれと言う主人公。
しかし20年後も、30年後も、40年後も、主人公は同じように未来だけを見ていた。
クスノキの女神は言う。
大切なのは今生きていることだと。
昨日までのことを振り返る必要も、明日からの事を憂う必要もない。
今生きている喜びに感謝するべきだと。
詰まらず読み切り、この結末に涙した千舟。
場には拍手が沸き起こり、朗読会は大成功で幕を閉じた。
元哉の祈念

朗読会は新月の日にしてあったため、元哉は預念した。
最高の日に預念をしておき、満月の日に自分が受け取る……クスノキには一人一度に限りそんな使い方も可能だからだ。
そして朗読会翌日、佑紀奈が警察に出頭した。
しかし警部補・中里の話によれば不起訴になりそうだということらしい。
朗読会から二か月後、元哉が入院した。見舞いに行くと、別人のように痩せていた。
元哉は次の満月に自分の記憶を受念したいと言う。
両親の介護でクスノキの元までやってきた元哉。ここからは一人だ。
元哉が受念している間、冴子と藤岡が元哉を安楽死させようとしている話を聞き、どうにか止めた玲斗。
しかし……
祈念が終わる頃に迎えに行くと、元哉は息をひきとっていたーー……
施設に入った千舟

介護施設に千舟が入り、8カ月たった。
玲斗は『少年とクスノキ』の絵本を持って会いに来た。
朗読会に来ていた女性編集者が正式に刊行してくれたものだ。
佑紀奈の就職が決まったことなどを話していると、ふと千舟が無言になった。
そして、次に職員が話しかけてきたとき、千舟は玲斗のことを「本屋さん」と発言した。
いつもと違う無邪気な千舟に、玲斗は懸命に涙をこらえながら話し続ける。
最高の絵本なのだと。
千舟さんの物語だと。
読書感想

前作と違い、1日で読了しました。
最後のほう、怒涛につらい経験が積み重なるので中々涙をこらえることができなかったです。
来ると分かっていた辛い展開がくる。
だからこそ全力で今を生き、心構えも徐々に積み重ねていく物語だったなと感じます。
病に抗っていく登場人物たちが実に格好いい。
生きがいとして絵本を仕上げる元哉、認知症の心配もあるのに佑紀奈のために警察に乗りこんで演説した千舟。
それから、プライドの高い千舟の事を考えながらも、時に認知症をも利用しながら千舟に最善の選択肢を選ばせようとする玲斗。
自分の記憶に自信が持てない時、自分の事を心から思って行動してくれるありがたさというのは、読者視点で外から見ていてとてもよく分かりますね。
忘れてしまった千舟に「説明する」「説明しない」の選択肢を、その都度丁寧に選び取っている玲斗は本当にすごいと思います。
最後、息絶えた元哉の口元に笑みが浮かんでいたのは救いでした。
東野圭吾作品、他にも読んでみたいなぁと思います。
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