斜線堂有希著作『恋に至る病』読了しました。
物語冒頭で結末をネタバレされるにもかかわらず、二転三転する展開に振り回されながら読みました。
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うーん面白い…!もう一度読み返したくなるラスト…!!
この記事では、あらすじと登場人物、個人的感想をネタバレを含んでお届けしていきます。
あらすじ
『宮嶺』と『景』の、年齢ごとに区切ったあらすじ要約です。
できるだけ簡潔に出来事をまとめています。
小学生時の出来事
- 転校してきた僕(宮嶺望)が寄河景と出会う。同じ5年2組で家が隣同士。
- 校外学習中、少女の凧を取ろうとした景が、整備中の滑り台から落下。右目に傷跡が残る。
- 「自分が凧を取っていれば」と後悔した宮嶺は、景のヒーローでいることを誓う。
- しかしクラスメイト「根津原あきら」からのイジメが始まり、6年生時に悪化。
- 根津原は、イジメた後の宮嶺の手を投稿するブログ「蝶図鑑」まで作った。
- 景がイジメを知って助けようとするが、宮嶺は「そんなことされるなら死んだ方がいい」と拒否する。
- 遂に骨を折られた宮嶺。それを見た景は「後は私に任せて」と発言。
- その後、根津原は飛び降り自殺した。
中学生時の出来事
- 景と距離を置いていたが、修学旅行で二人きりに。
- 宮嶺は景から「根津原を殺した」という言質を得る。
- 宮嶺は景に、ずっと持ち続けていた「罪悪感」を吐露した。
- 二人の距離は再び縮まる。
高校生時 ブルーモルフォ告白まで
- 景はカリスマ的な生徒会長になった。
- 屋上から飛び降りようとしていた「善名美玖利」をも、身を挺して止めた。
- 両思いなのに「釣り合わないから付き合えない」と言う宮嶺。
- 景は「自分が宮嶺を好きな証拠」として、自分が「ブルーモルフォのマスター」であると明かし……
- 自分の指示で飛び降り自殺する人間を見せた。
【青い蝶とは?】
プレイし続けたら死ぬゲーム。
プレイヤーは50日間マスター(景)から指示を受ける。50日目の指示は「自殺」。
この指示に従って死んだ人間が、宮嶺に知らされた時点で36人いた。
こんなゲームが成り立つ要因▼
- 元々死にたい人間を招待している
- ゲーム中、景が希死念慮(死んで楽になりたい)を肯定し続ける
- 不眠になる指示で、判断力を鈍らせている
- 指示に従って死ねば「聖域」に行けると吹き込んでいる
- 景が直接会うこともある
- 指示に従わない場合、別のプレイヤーに「制裁」させる
- ブルーモルフォは「流されるだけの人間」が死に至る。宮嶺へのイジメを見て見ぬふりしたような人間が……
- 宮嶺は迷った末、景を肯定。「私を見ていて」と言う景を守ると決意した。
高校生時 偽ブルーモルフォの影響
- 「ブルーモルフォ」はネット上で盛り上がりを見せ、偽サイトからも死人を出した。
- 景と仲の良かった元5年2組の「緒野江美」が自殺した。
- 江美が死んだのは偽サイトの影響だと言う景。ブルーモルフォを始めた者として責任を感じ、「最後までやり遂げないと」と決意した。
- しかしもう一人、5年2組で景と仲が良かった「氷山麻那」は、「江美は景に殺された」と言う。自分たちが景に命じられて根津原を殺した実行犯だから、と。
- 宮嶺は「もうやめてもいいのでは?」と自分が言ったから、景は江美を殺して「続けなきゃいけない理由」を作ったのだと気づいた。
- 宮嶺は、景の善性を信じたい思いで善名を呼び出した。しかし善名はブルーモルフォにのめり込んでいた。
高校生時 破滅に向かう
- 景は自分が化け物で、ブルーモルフォの運営が楽しかったことを認めた。
- 宮嶺は景を助けるため、警察の容疑が自分に向くように情報をリークする。
- そして景を呼び出して避難させ、景の家に火をつけようとした(物的証拠隠滅)
- しかしそこに、ブルーモルフォプレイヤーで警察官の日室がやってきた。自分がリークした情報を知ってのことだった。
- 日室に殴られ、通っている高校に連れてこられた宮嶺。
- そこには宮嶺の行動を読んでいた景と、善名がいた。
- 景は宮嶺に賭けを申し出た。善名の自殺を止められるかどうか。自分が賭けに勝ったら、どんなことになっても一緒にいて欲しいと言う。
- しかし善名は……景をナイフで刺し、屋上から飛んだ。
結末
- 景は150人以上殺した殺人犯……。宮嶺は、景を守るために救急車を呼ぶのを止めた。
- 生徒会室で息を引き取るのを看取った。
- そしてやってきた警察官に「景は自分が殺した」「自分はブルーモルフォのマスター」だと供述。
- 取り調べで、捜査一家の入見は最後まで「景が主犯ではないか?」「君は罪を押し付けられたのでは?」と疑っていた。
- しかし宮嶺はどうにか景の罪を被り切ろうと辻褄を合わせた。「景は脅して従わせていた」という主張を貫いた。
- 宮嶺がまだ景を信じられるのは、景のポケットから消しゴムが出てきたからだ。
- これは景が宮嶺を想っていた証明である。
最終登場人物相関図
感想&続編や映画化について
魔性の女にサイコパスを足したらこうなるのかと……ひじょーーに怖い物語。
景のどこからが計算で、どれだけ保身を考えていて、どれだけが宮嶺への本当の恋心なのか……
分かりにくいんですよねぇ……
と、思ったら続編がある!「病に至る恋」……もしかして景視点も描かれたりするのでしょうか?
絶対読んで感想書きたいと思います。
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しかし読み返してみると、やはり景も保身ではなく本心から愛していたように思えます。
というのも、最初から宮嶺に罪を押し付ける気でいたなら、もっとよい行動があった気がするのです。
例えば凧の件はバラす必要がない気がしますし、
「池谷菅生」の論文は自分の名前のアナグラム。これ、何か理由をでっちあげて宮嶺のアナグラムでも良かったですよね?
さらに極めつけは「宮嶺の消しゴム」です。
景がポケットに入れていた消しゴム。この存在を宮嶺が知ったのは「偶然」でした。それも景の死に際に。
もっと前に見つかるようにして、自分への信頼度をあげることもできた……
なのでそれをしなかったということは、ブルーモルフォの責任を自分で負うつもりだったということだと思います。
そうであってほしいな……
最後に、実写映画化に関して気になったことを少し。
2025年10月24日公開なんですが、予告編を見た所改変があるみたいなんです……!
宮嶺の転校が高校生になっている…!?
「小学生が」という部分にインパクトあったので、高校生に置き換わるのは結構ショックです。
レビュー見てから観に行くかどうか決めようかな……
紹介した書籍▼
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