イギリス国籍のノーベル賞作家『カズオ・イシグロ』。
この記事では、カズオ・イシグロの代表作…日本で知名度の高いもの5つを読んだ私の、個人的オススメランキングをご紹介します。
- そもそもどんな作品を書く作家なの?作風や特徴は?
- 代表作それぞれのあらすじは?
- ノーベル文学賞を取れた理由は?
このあたりも簡単に紹介していきますので、是非イシグロ作品が気になっている人は参考にしてみてください!
目次
カズオイシグロの作風・特徴は?

5歳時に父の仕事の関係でイギリスに渡った、イギリス国籍の作家『カズオ・イシグロ』。
- 数々の小説が映画化(直近だと2025年日本『遠い山なみの光』)
- 2017年のノーベル賞を始め、多数の文学賞を受賞
ということで影響力はかなりのものです。
村上春樹とお互いにファンを公言していたり、米津玄師がイシグロ作品からアルバム名を取っている…という話もあります。
カズオ・イシグロの驚くべき特徴は、「作品によってジャンルがガラリと変わる」ということです。
ここで紹介する5作品だけを見ても、
タイトル | 主な要素 |
---|---|
わたしを離さないで | ディストピアSF |
遠い山なみの光 | 日本人女性の生きざま |
忘れられた巨人 | アーサー王伝説を下敷きにしたファンタジー |
クララとお日さま | 友情・SF・ディストピア |
日の名残り | 英国執事の生きざま |
と言う風にテーマがバラバラですよね。
ただ、ある程度「こういう要素が多い」というものはあります。
- 1冊完結の長編が多い。(今回紹介するものも全部一冊完結長編)
- ハッピーエンドともバッドエンドとも言えない終わり方が多い。
- 主人公の一人語り形式が多い。
- 年齢層高めの主人公が、過去を語るパターンが多い。
- 主人公の語りに嘘が混じり『信頼できない語り手』となることもある。
また、私がカズオ・イシグロ作品を好きな理由として「癖のある女性を描くのが上手い」ということが挙げられます。
「実際いたら苦手だけど、絶妙に憎めない」魅力のある女性。
論理的な主人公が多めですが、脇役の彼女たちの思考が、物語をさらに深みのあるものにしてくれます。
ノーベル賞を取った作品は?

カズオ・イシグロは2017年に『ノーベル文学賞』を受賞しています。
これはどの作品にというわけではなく、ここまでに発表されていた8作品が評価されたということです。
(当記事で紹介する作品では『クララとお日さま』のみノーベル賞以降)
なぜ彼が受賞に至ったのか?
John Mullan 教授は「あらゆる時代に書かれたような普遍性を持ち、慎重かつ独創的な筆致がイシグロをノーベル賞にふさわしくしている」と述べています。
これは私も読んでいて思ったのですが、作者が生きたことがあるわけない時代・世界の人物たち……
彼らの思考が、気持ち悪いほどリアルに描かれるんです。
(そうだよな…彼女の立場ならそういうこと考えるよな…全然思いつかなかったけど……)
と、読みながらあっけにとられるほどです。
突き詰められた想像力の世界が、世界に感銘を与えたということなのだろうなと個人的には思っています。
個人的おすすめランキング

日本で知名度が高いカズオ・イシグロ作品は、『わたしを離さないで』『遠い山なみの光』『日の名残り』『忘れられた巨人』『クララとお日さま』でしょう。
※Google検索ボリュームから調べました。
ここからは、実際この5作品を読んでみた私の
- おすすめランキングとその理由
- 各書籍のあらすじ
をまとめて簡単にご紹介します。
気になるものがありましたら、読んでみたり、もっと詳しく書いた個別の記事をご参考ください。
【1位】わたしを離さないで

個人的オススメ度…★★★★★
私が一作目に読んだイシグロ作品で、これを読んだからこそ『他も読んでみよう』と思えた作品です。
約束のネバーランドと似たダークさがあるSF。理想郷の反対語である「ディストピア」が描かれます。
もうすぐ仕事を辞める、30代の介護人『キャシー』。
なぜ辞めるのか?介護人とは何?辞めてこの後どうするのか?…いや…どうなるのか?
『ヘールシャム』という施設で良い保護官たちに育てられてきたキャシー。
施設と彼女の正体、友情と恋愛、それに立ちはだかる『使命』……
「読んだことない」驚きに、感動を覚える名作です。
まだカズオ・イシグロを読んだことない人はぜひここから。
もっと詳しく:『私を離さないで』原作小説ネタバレあらすじと相関図・感想
【2位】クララとお日さま

個人的オススメ度…★★★★
人工親友『クララ』が病弱な少女『ジョジ―』に買われ、交流を深めていく物語。
なぜジョジ―は病気になったのか?ジョジ―の母の思いもよらぬ思惑とは……
優しいクララと、AIが発達した残酷な格差社会。
迷いながらも、それぞれが生き抜くために決断してきた……
自分に出来る最上を目指すクララと、ジョジ―の結末は?
『わたしを離さないで』と似たダークさのある社会設定で、個人的に好きな作品です。
もっと詳しく:クララとお日さま|あらすじと解説。つまらないと言われる理由は?
【3位】遠い山なみの光

個人的オススメ度…★★★★
日本からイギリスに越してきたものの、下の娘が自殺した女性『悦子』。
今彼女が思い出すのは、戦後の長崎で過ごした頃の事だった……
自分勝手な男に振り回されながらも、男を信じることをやめない馬鹿な女『佐知子』。
その娘の『万里子』。
描かれるのは、その二人と交流を持っていた頃のこと。
佐知子は何を考えていたのか?現在悦子はなぜ前夫と別れ、イギリスにいるのか?
女の生きざまが描かれています。
知名度でいうとおそらく2位かなと思うのですが、ちょっと不満なのは翻訳。
想像の余地が広すぎる箇所もあるため、英語が分かれば英語で読みたかったなと思います。
もっと詳しく:遠い山なみの光|怖い考察&ネタバレあらすじ。万里子はもしかして…
【4位】日の名残り

個人的オススメ度…★★★
英国の名誉ある文学賞『ブッカー賞』を取った作品。
とある執事の物語です。
かつてイギリスで、政治の重要な決定が下されるのは『お屋敷』でした。
誰が何名の使用人を連れてくるかも分からない中、重要人物の長期滞在に備える執事とメイド。
その職業魂と品格、忠誠心とは……?
ダーリントン・ホールの執事『スティーブンス』は旅の中、執事人生に何を思うのか…?
休暇中にもかかわらず格式高いことを考える執事で、しかも職業柄派手な行動を起こさない……
だからこそ少し大人しく感じてしまい、個人的にはこの順位です。
もっと詳しく:なぜつまらない?『日の名残り』ネタバレあらすじと感想。カズオイシグロ
【5位】忘れられた巨人

個人的オススメ度…★★★
アーサー王伝説を下敷きにした壮大なファンタジー(400ページ超)ということで、個人的には読了難度が一番高かったためこの順位にしています。
ファンタジー慣れしている方は気にせず読んでみてください。
この作品の魅力は『健忘の霧』。
何もかもを忘れさせる霧の中、集落で生活するアクセルとベアトリスの夫婦は、息子に会いに行くことを決意する。
どこにいるか、何をしているかも分からないけど、もう今しかない……
この霧はいったい何なのか?どこから、何故発生しているのか…二人は息子の元に辿り着けるのか?
そもそも自分たちはいつどこで出会い、夫婦になったのか?
全ての真実と世界の結末に注目です。
もっと詳しく:『忘れられた巨人』あらすじと考察。巨人は○○の比喩。ラストは…
複数作品に見える繋がりの面白さ

カズオ・イシグロ作品を複数作読んでいると、全く違う世界観の中にも共通項が見えてきます。
例えば複数タイトルで描かれるのが「愛を試される展開」。
しかし作品によってしっかり試されるものと、そんな話題も出てきたけど…という感じに終わるものがあります。
つまり、一つのタイトルで不完全燃焼だったものが、別タイトルを読んで納得に至る。
そんな楽しみもあるわけです。
また、カズオイシグロは「片側だけが川につかる」「片側に傾く歩き方」など、似通った表現を複数タイトルで使っていたり……
主人公の一人語り作品が多かったりという共通事項があります。
そういった共通点に気づくと、既視感を覚えた時、作者の意図を読み解けることが増える気がします。
例えば「こっちの作品の主人公の発言には嘘が混ざっていたから、こちらの主人公も嘘を交えているかもしれない…」と予想しながら読めたり……
こういった部分も、イシグロ作品を色々と読む面白さ。
この機会に是非挑戦してみてくださいね!
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