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十角館の殺人『衝撃の一行』とは?叙述トリック発覚の”あの”一行

十角館の殺人『衝撃の一行』とは?叙述トリック発覚の”あの”一行 小説・実用書

この記事では、十角館の殺人を読んで(或いはドラマを見て)

「有名な衝撃の一行ってどこ?」「あの一行ってどこのこと?」と思った方向けに、

  • 衝撃の一行とはどの部分のことか?(そこまでのあらすじも簡単に解説)
  • なぜこの一行がすごいのか?
  • 注意点「最後の一行」とは別

ということを、ネタバレ有りで解説していきます。

衝撃の一行「ヴァン・ダインです」を解説

結論から言いますと、衝撃の一行とは物語の9割部分で登場するセリフ……

「ヴァン・ダインです」

綾辻行人『十角館の殺人〈新装改訂版〉』より

という一言です。

といっても、流れを理解しないと何のことか分からない言葉。

この言葉までのあらすじを、簡単に解説します。

  1. 角島(無人島)で連続殺人事件

    角島つのじまにある十角館に宿泊に来たミステリ研究会の7人が、順番に殺されていく。

  2. 白骨死体発見

    最後の二人に残ったのはヴァン&エラリイ。
    エラリイは、「犯人は実は生きている十角館設計者の中村青司では?」と推理したが、
    その後地下室で白骨遺体を発見。
    死体の数が足りたため、「青司が実は生きている説」が疑わしくなった。

  3. 十角館炎上

    その後、十角館が燃える様子が描かれる。(この時ヴァン&エラリイがどうなったかは描かれていない)

  4. 本土に「全滅」報告

    角島の火事は本土からも見え、調査が行われた結果……
    ミステリ研究会員『守須』の元に、「全員死亡」の知らせが入る。
    守須と、一緒に角島の過去の事件を追っていた江南かわみなみ・島田が角島近くの町に集合する。

  5. エラリイが犯人だと疑われている

    何かを知っていそうな様子の守須たちを見て、話を聞きに来た警部。
    警部は松浦純也(エラリイ)が灯油を被って火をつけたとみられている……つまり連続殺人犯だとみられている捜査状況を明かす。

  6. ニックネームの話に

    守須が「エラリイが…」とこぼしたことから、死んだ面々のニックネームの話に。
    ミステリ研究会には、海外作家の名前をニックネームにする慣習があったと聞き
    「守須君はモーリス・ルブランか?」と警部が尋ねる。
    しかし……守須はそれを否定して
    「ヴァン・ダインです」と答えた。

興奮と混乱を呼ぶ一行の凄さ

守須とヴァンイラスト。同一人物??

守須のあだ名が「ヴァン・ダイン」だと発覚したことで、混乱の渦に落とされる読者。

だって守須は、本土で主人公(江南)と一緒に、事件を推理していたのです。

いえ確かに、島田と違い江南と四六時中一緒にいたわけではなく、自室で「安楽椅子探偵」を気取ってはいましたが……
それでも、かなりの頻度で直接会っていたり、電話していた印象です。

それなのに、角島で連続殺人に怯えていたミステリ研の「ヴァン」と同一人物……!?

本土と角島を往復しているということ?流石に無理では!??

そもそも先ほど「島に渡ったミステリ研全滅」と報告されたのにあれは何……

え?ヴァンというあだ名を持った人間が実は二人いる……!?

こんな風に混乱するわけですね。

そしてもし「同一人物」ということをそのまま信じると、アリバイ工作以外に理由はなく、

犯人がいけしゃあしゃあと主人公と一緒に事件を推理していた…

ということに他ならないので、そこにも衝撃を受けます。

これぞ混乱の渦に巻き込み、アドレナリンがドバっとでる衝撃の一行。

そしてこの後、死んだアガサを見つけた時のヴァンの反応(吐いたり怯えたり)などにも叙述トリックが使われていたことに驚愕し……

語られていたことにも矛盾はなく、勘違いしていたことに気づかされるわけです。

推理小説の興奮を味わいたい方にはうってつけの一行だと思います。

「最後の一行」とは違うことに注意

最後の一行と衝撃の一行、それぞれのイメージ。

十角館の殺人で「あの一行」「有名な一行」「例の一行」などと言われるのは上で紹介した「衝撃の一行」です。

しかし、「最後の一行」だけは別物であることに注意が必要です。

「あそこにいるおじさんに、これを渡してきてくれないかい」

綾辻行人『十角館の殺人〈新装改訂版〉』より

こちらは正真正銘物語の「最後の一行」であり、ある意味衝撃もあるのですが……

同時に伏線を回収した形であるため、納得感もある一言となっています。

ガラス瓶に関する、中々に趣深い結末。
こちらも是非読んでみてください。

紹介した書籍

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