『渚の螢火』のあらすじ&登場人物解説記事です。(ラストまでネタバレ注意)
『1972 渚の螢火』としてWOWOWからドラマ化する本作。
「琉球警察が強奪された100万ドルの行方を追う」という話です。
個人的に凄く面白かったのですが、歴史や用語がちょっと難しい所もありました。
この記事では相関図を交えながら、あらすじをできるだけ分かりやすくして、結末まで要約していきます。
目次
あらすじ(結末まで)&相関図
あらすじの簡単な要約です。ラストまでのネタバレ注意。
相関図も挟んでいます。
物語の前提

沖縄戦から27年間米軍に統治されてきた琉球は、1972年に『本土復帰』を果たす。
本土復帰に際し、通貨もドル→円に変更。「通貨交換」が行われた。
しかし通貨交換の準備で、現金輸送していた銀行の車が襲われ、
100万ドル(3憶6000万円)が強奪されてーー……!?
本作はこの事件を「本土復帰日までに解決せよ!」と命じられた、「特別対策室」班長・真栄田視点の物語。
対策室のメンバー▼

実行犯は『宮里ギャング』
現金輸送車を襲った「賊」は、銀行員「西銘」を拉致した。
しかし西銘が戻ってきたため聞き取りを行うと、
西銘こそが、100万ドル輸送の情報を賊に漏らした人間だと発覚する。
特飲店(風俗店)『サザンクロス』にて美人局にあった西銘は、バックの不良に脅され、現金輸送ルートを吐いてしまったらしい。
そしてその不良の特徴は、『宮里ギャング』と一致した。
宮里ギャングメンバー▼

宮里ギャングとSYの仲間割れ

宮里の情婦を焚きつけて追跡すると、「中城天空ホテル」に辿り着いた。
ここに宮里ギャングがいる。
イケザワ大尉も巻き込み、ガサ入れを決めた対策室。

しかしその前にーー
目出し帽の白人五人が、天空ホテルの宮里ギャングを襲撃した。
車で逃げる宮里たち5人と、追跡・狙撃する白人5人。
それを追う真栄田たち対策室……
運転手が撃たれた為車を降りた宮里ギャングは、部下3人が命がけでリーダー・宮里を逃がした。
部下の一人……又吉の手榴弾で撤収した白人。
息があった運転手「稲嶺」も、「あの白人たちはSY」「ねぇねぇのかたき討ち」という情報を遺して死んだ。
【SYとは?】
アメリカの国務省のこと。(日本で言う外務省)
100万ドル盗難は、引き続き日本を支配したいアメリカにとって都合がよい。
この件は、仲間割れの結果らしい。

また、『サザンクロス』のオーナーだと発覚した『川平朝雄』も行方不明だ。
19年前の事件

「ねぇねぇ」は宮里の姉・『シズ』であり、
シズは19年前、娼婦の仕事中に殺害され、その事件は未解決ーー……
真栄田は当時の捜査班トップである喜屋武・座間味に聞き取りを行った。
その結果、
- 19年前、シズを含む娼婦3人が性行為中に首を絞められ殺害された
- しかし「米軍の介入」があり、捜査を打ち切られた
- 事件後、那覇総領事館の若手事務員『オーガスト・ミラー』が季節外れの異動になった
と判明した。
そして今ミラーは琉球に戻ってきており、先月も一件首絞め娼婦殺人が起こっている……
裏切り者の発覚
宮里の潜伏先が発覚し、一人で乗り込んだ真栄田。
しかし(対策室の)玉城が裏切っており、襲われた真栄田は意識を失った。
目覚めたホールには、川平と玉城が居た。

玉城は川平に弱みを握られ、最初から情報をリークしていた。
過去の悪行……
沖縄戦で「日本人捕虜収容所」の収容住民から食料を奪い、女を犯していたことを知られていたのだ。
しかし今回、玉城は稲嶺を独断で殺害した。
川平はそれもあり、「ニセ警官」と軽蔑していた玉城を射殺した。
連続娼婦殺人事件の犯人
川平に「19年前の犯人を暴いてくれ」と言われた真栄田。
現れたのはオーガスト・ミラーだった。
川平に「宮里シズ」の話を振られて「刺されて殺された」と発言したミラー。
真栄田はそれを「一般に公開されていない情報だ」と指摘した。
シズ殺害の犯人が確定し、場に宮里が飛び込んできた。
しかしミラーが拳銃で宮里を撃ち殺し……
それを見た川平が、ミラーを撃ち殺した。
川平はシズの遺体の第一発見者であり、結婚を考えていた仲だったーー……
宮里シズ付近相関図▼


結末

100万ドルは押収できた。
しかし川平は、ガソリンで焼身自殺してしまった。
悔しさの中、真栄田は妻に電話しーー……
ドル札を一枚、燃やして飛ばした。
感想

面白かった……!
でも沖縄の歴史が色濃く反映された小説なので、用語も難しいし、過去の出来事も途中で挟まれたりして混乱はする…!
実は一度よくわからなくなって、最初から読み返しました。
この記事の相関図やあらすじ要約がお役に立てれば幸いです。
100万ドルを追うつもりで読み進めていたのに、それよりも「27年前の沖縄戦キッカケの恨みつらみ」が気になって気になって…!
アメリカからの圧力で「連続殺人犯の捜査にストップがかかる」という異常な状況下。
だからこそ「自分たちが敵討ちを」と19年間思い続けた男たち……
クソ野郎と情に熱い男たちの寒暖差が激しすぎる。
極めつけはまさかの玉城ですよ。
元囚人なのに?収容所の警官役に任命されて?そこで好き勝手やっていた?
そんな過去を持ちながら、今は真っ当な警官…?
確かに玉城もヤバいですが、
囚人を「自分たちに敵意が無いから」という理由で警官役に任命した、米軍の判断が一番ヤバいですね。
想像力が足りないのか、想像した上で任命したのか……どっちにしても罪深いです。
逆に強かに復讐の機会をうかがっていた男「川平」。黒幕なのに憎めないですよねぇ……
せめて宮里が生きていれば、自殺しなかったと思うのですが。
沖縄戦で家族を全員失い、19年前想い人も殺され、そして今回可愛がっていた弟分も殺され……
うーん、酷すぎる……
最後真栄田が妻に電話したのは、何もかも失った男を見て「自分が持っている確かなもの」を確認したくなったのではないか……
そう想像しました。
とても濃い警察小説。面白いので是非読んでみてください▼
コメント