この記事では、瀬尾まいこさんの小説『ありか』について以下をお届けしていきます!
- 登場人物相関図
- あらすじ解説(ネタバレ部分折りたたみ)
- タイトルの意味考察
- 読書感想
毒親との決着や、シングルマザーとして娘を育てる主人公の母として愛情。
そして「血のつながりが無くても支えてくれる人たちの温かさ」などが描かれた作品です。
登場人物相関図

◎あらすじ

『美空』は5歳の女の子『ひかり』をシングルマザーとして育てる母親だ。
浮気した夫『奏多』とは離婚したが、奏多の弟『颯斗君』は毎週水曜日に、ひかりの世話を焼きに来てくれる。
ところが、自分と同じく女手一つで見空を育てた実母は……
自分が親になったからこそ確信してしまう、母親の「押しつけがましさ」と、自分が子供時代不幸だったということ。
さらに
- 母親の金の無心(毎月10万円)
- ひかりが鼠経ヘルニアになり、手術しなければいけない
- 小学校にあがるひかりに「自分は必要ない」と、何も言わず疎遠になろうとする颯斗
という問題も……
親子とその周囲の愛情が描かれる、呪縛と幸せの物語。
- 叔父である颯斗君が週一度、幼稚園のお迎えに行くようになった経緯
- 男性と同棲している颯斗の葛藤(自殺未遂や保育士の道を断念した過去)
- 毒親のくそばばあっぷりと、決別(ハッキリ金銭援助はできないと言う)
- ひかりの入院
- 美空の新しい夢(保育士)について
『ありか』というタイトルの意味は?

「ありか(在り処)」とは人の存在している場所、居場所などのこと。
分かりやすくタイトル回収はされませんが、作中で「ありか」を意識する重大な出来事がいくつか起こっています。
一つは行方をくらませた颯斗君。
「どこにいるのか?」と、美空は考え尽くして「ランドセルを買った日に一緒に行ったファミレス」に辿り着きました。
颯斗君のありかは「ファミレス」……つまり「ひかりとの思い出」にあった。
疎遠になろうとしたって、まだひかりの隣に居場所がほしかったということです。
そして美空。
「母親のアパートに既に私の居場所はない」と認めて受け入れ、
高校三年生の時は諦めた保育士の夢を「大人だから自分で決めた場所へ進むことができる」と再び追い始めました。
自分のありかは自分で決められる。
当たり前のようで、育った環境によっては難しいこれを、
本作はタイトルと中身で考えさせてくれます。
読書感想

読み始めてすぐ、5年以上前に読んだ『そして、バトンは渡された』の人だ!と思い当たりました。
これです。
そして、バトンは渡された|あらすじと名言3選【本屋大賞】
血のつながりより、温かいつながりがある。
心の支えになっているのは、近しい人より少し離れた人。
そして毒親の支配から、離れて住んで母親になっても抜け出せない女性……
既視感がすごい。あちらは娘視点でしたけどね。
子供のなにげない疑問に乗っかって進む会話。軽やかで賑やかで、幸せ感にあふれていて素敵でした。
だからこそ際立つ、母親の毒。このあたりは本当に「人の心無いんか?」の連続でしたが、
それを反面教師として、過去の自分がしてほしかったことをひかりに実行する美空、凄いと思います。
一番好きなシーンはショッピングモールのところ。

「好きなものを選んでいい」と言われても、母が満足するものを買おうとしていた自分を思い出し、
「うん。ひかりがものすごーく喜ばないと、おじいちゃんもおばあちゃんも颯斗君も、ついでにママもがっかりしちゃう」
瀬尾まいこ『ありか』より引用
と言葉をかける。
隣にいながらも、子供の本当に自由な感情を絶対にさえぎらない。
そんな母親、中々いませんよね。
だからこそ子供の方も、なんの負担も感じず母親の喜ぶことを自然に考えられる。
うーん美しい。羨ましい。
強くなっていく母親の物語。心が温かくなるので、是非読んでみてください。
瀬尾まいこの著作でおすすめのもの▼
そして、バトンは渡された(2019年本屋大賞受賞)
こちらも子育てもの。
毒親や、血のつながりがない人物が子育てを担うという部分は『ありか』と通づるところがあります。
タイトルの意味が分かったらジワリときます。


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