『イクサガミ』に登場する、厄介すぎる敵の一人『幻刀斎』。
「京八流の継承戦から逃げた」として、愁二郎たち義兄弟全員を殺しに来るバケモノ老人です。
- なぜそんな非道な事をするのか?(行動理由)
- そもそも爺なのになぜそんなに強いのか?
- 最後どうなるのか?(誰に勝って誰に負けるのか?)
この記事では幻刀斎の正体とそれに付随して判明するイクサガミの意味について解説していきます。
原作小説のネタバレにご注意ください。
目次
初代・岡部幻刀斎もとい久太郎の過去

実は19人目の「岡部幻刀斎」である今代の幻刀斎。
その一代目は、元々「久太郎」という名前でした。
まずは「幻刀斎」が生まれるまで……
『イクサガミ 神』で語られる久太郎の生い立ちを要約します。
朧流の弟子・久太郎

久太郎は百姓の息子として生まれたが、口減らしの為に殺される直前で拾われ……
5人の仲間たちと切磋琢磨しながら剣の修行を重ねてきた。
その剣の流派が『朧流』。
愁二郎たちが極める『京八流』と同じく、鬼一法眼(きいちほうげん)を祖とするものだ。
- 京八流⇒それぞれの奥義が北斗七星と北辰の名を冠している
- 朧流⇒それぞれの奥義に南斗六星の名を冠している
朧流6つの奥義名とその継承者(弟子)▼
| 弟子名 | 奥義名 | 能力概要 |
|---|---|---|
| 源十 | 七殺 | 筋力を自在に転移させ、一撃で大岩を砕くほどの威力を持つ。 |
| 檜次 | 天機 | 全身の骨を自由に操り、鞭のような攻撃と防御を行う。 |
| 白右衛門 | 天同 | 脈を早めて若さと敏捷さを保ち、老いを寄せ付けない。 |
| 猿吉 | 天相 | 驚異的な嗅覚で敵の位置を探知する索敵技。 |
| 小夜 | 天梁 | 治癒力を常人の十倍に高める再生の奥義。 |
| 久太郎 | 天府 | 見聞きした全てを記憶し、後世へと伝承する。 修行の蓄積を千年先へ残す。 |
久太郎以外が全滅する

しかしある日、仕事(権力者の跡目争いに伴う戦闘)に出ていた6人の師匠が全滅する事件がおこる。
全員『京八流』の使い手たった一人にやられたーー…
京八流も朧流も、本来一つの奥義につき一人が取得する。
しかし敵『八坂刀斎』は一人で京八流の八奥義を独占し、『戦神』になろうとしていた。
弟子たち6人は、全員で敵討ちに乗り出す。
しかしーー……久太郎以外が全滅した。
仲間内でも最強であった源十は、「こっちも六つを一つにして戦神に」と言い遺した。
久太郎は全ての奥義を受け継ぎ逃げた。
奥義『天府』で、皆の思い出と戦闘の記憶を完全に記憶して――……
八坂刀斎の傘下に!?

久太郎は厳しい鍛錬を積み20年後に八坂刀斎に挑んだ。がーー…それでも敵わない。
しかし死闘の末、八坂刀斎は意外なことを言い出した。
- そもそも京八流のほうが先に生み出され、朧流はその残りかす
- 弟子たちに京八流継承戦をさせようと考えているが、逃げ出すこともあり得る。
朧流の「天相」(索敵の奥義)で追って始末してくれるのなら生かしてやる。
屈辱的な申し入れ。しかし自分に敵う相手ではなく、もう時を稼ぐしかない。
久太郎は「幻刀斎」になり、「天府」にて後継に恨みを託した。
幻刀斎の目的は「復讐」

「八坂刀斎」への復讐心……それはいつしか「京八流」への復讐に変わりました。
八坂刀斎個人は倒せずに終わったけれど、恨みは「天府」にて受け継ぐ……
そうすると矛先は受け継がれる「京八流」になってしまう、ということでしょう。
そして「天府」がある以上、400年先でも恨みが薄れることはありません。
しかし「刀を持てない時代」の到来。こうなると刀の流派も後継もありません。
故に「蠱毒」は幻刀斎にとってもラストチャンス。
仲間たちを皆殺しにした、憎き「京八流」を自らの手で根絶やしにする最後の機会……だったわけです。
イクサガミとは?

八坂刀斎が求めていた「朧流」「京八流」に共通して伝わる伝説の名が『戦神(イクサガミ)』です。
流派を極めた先にある境地ですが、詳細は不明。
過去誰一人として到達していない「伝説」でした。
奥義全てを集めただけではなれず、
故に、奥義複数持ちを皮肉を込めて半神(ハンガミ)と呼んでいたようです。
では何が足りないのか…?それは「心」です。
複数奥義を集めても、相性が悪いものは打ち消し合ってしまうという欠点があった京八流。
しかし誰かを想う心があれば、八つ全てを同時に出すこともできる――……
この境地を「イクサガミ」と考えて良いでしょう。
そして主人公・愁二郎は、ただ一人「イクサガミ」に至ったと思われます。
最後どうなる?幻刀斎を倒したのは誰?

最後に幻刀斎の戦闘歴と最後(死亡)までです。
他にも蠱毒の参加者に多数勝利している幻刀斎ですが、ここでは
- 京八流の使い手との戦闘
- 死が伴う戦闘
限定で簡単にまとめています。
| 戦闘相手 | 結果・備考 |
|---|---|
| 風五郎・七弥 | 蠱毒開始前。幻刀斎はその家族までを殺害 |
| 三助 | 戦人塚にて戦闘。幻刀斎勝利。 |
| 甚六 | 横浜にて戦闘。幻刀斎は隙を見て逃走。甚六は深手を負い死亡。 |
| 彩八 | 東京の新富座にて戦闘。幻刀斎勝利。 |
| 四蔵 | 東京にて戦闘。四蔵が勝利。 腕を斬り飛ばされた幻刀斎は仲間たちの名前を叫びながら闘い、とどめを刺された際には一粒の涙が浮かんでいた。 |
愁二郎も戦ってはいますが、とどめが四蔵というのは意外な結果でした。
しかしこれは、単に四蔵が強かったというわけではなく、
- 死ぬ前にそれぞれが義兄弟へ奥義を継承した
- 幻刀斎や京八流に関する情報が発覚・共有されていった
という事情も関連しています。
義兄弟全員で紡いだ勝利と言っても良いでしょう。

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