野宮有の小説『殺し屋の営業術』読了しました。
江戸川乱歩賞受賞作。やり手営業マンが殺し屋の仕事現場に訪れてしまい…という話なんですが、めちゃくちゃ好き!!ここまでのめりこんだ小説は久しぶりでした!
以下、ネタバレあらすじまとめ(結末まで)、登場人物相関図、感想です。
目次
殺し屋の営業術ネタバレあらすじ
『殺し屋の営業術』のあらすじ要約です。
ネタバレが強い部分は折りたたんでいます。
営業マン『鳥井一樹』

『ハウスパートナーズ』の訪問販売営業、鳥井一樹。
鳥井にとって営業は天職だった。生活の全てが営業を中心に回っている。
営業マンとして好感度があがるベストな体つきを維持し、話を合わせる為に新聞を読み、いつ何時でも顧客宅にかけつける。
時には法律スレスレの裏工作も行い……
目標達成率224%、月売上3360万円。
入社後、社内月間MVP13か月連続受賞。
しかし拍手を浴びても、鳥井には喜びが沸き上がらない。
生きている実感がほしい。
笹塚宅で殺し屋と遭遇

今夜の顧客は笹塚という人物だ。
防犯カメラの問い合わせ、夜11時に来てほしい……
もしかして身の危険を感じているのではないか?
訪問すると、状況がよく分かっていなそうな無精ひげの男に、不自然な対応を受けた。
リビングに招き入れられると死体があった。
- 無精ひげの男:風間
- 金髪の男:耳津
彼らは笹塚を殺した殺し屋だ。
気を失い、山奥で目を覚ました鳥井は……
死体を埋めていた穴に放り込まれる。
一度は恐怖したが、これは「この場からの生還を果たすこと」がノルマの商談だと自分に言い聞かせた鳥井。
そして風間達に同調しながら
- カーナビに笹塚邸の住所を入力した、営業車を見逃していること
→早々に突き止められてクライアントに疑いが向けば、信用問題になるのでは? - 二人が売上をあげないと殺されるかもしれない状況にあることを見抜き
「私を雇いませんか」
と、命乞いらしくない命乞いを行う。
商談は成立した。
不足している売上は…あと2週間で2憶だ。
森宮からの殺人依頼を請負
2億というのは、風間の上司……若頭・巣ヶ谷から、投資の失敗を押し付けられたものだ。
殺人請負会社「極東コンサルティング」のメンバーは4名。
ここに鳥井が加わり、まずは既存顧客から営業をかける相手をピックアップする。

鳥井の琴線に触れたのは、森宮勝太という保留顧客だった。
零細不動産会社の社長。
殺人依頼の動機は、地上げ(土地の所有権を手に入れたいから)ではないか?
ならば大金回収が期待できる。
情報を仕入れに行った鳥井&耳津。
どうやら森宮が保留にしている理由は、半グレ集団『メビウス』にゆすられているかららしい。
極東コンサルティングへの依頼も、メビウスが「自分たちに依頼しろ」と阻止しているのだ。
森宮様には安心の提供が必要。
鳥井&耳津は、ナイトクラブで森宮に接触する。

- 森宮が殺したがっていた地主(坂田)と、メビウスの『瀬古』を殺す提案
あなたは怯えているだけ、今までの経験(捏造)では…、これは社会貢献etc。
話術と睡眠薬により、鳥井は森宮に1億でイエスと言わせた。(録音済み)

そして地主の坂田老人は、遺書を捏造されて殺された。
※鳥井は坂田を逃がすつもりだったが、耳津が許可しなかった。
しかし3000万が限界だと言う森宮。
鳥井はその金額で、条件変更を申し出た。
- 瀬古の処置は無し
- 取引先の紹介
ライバル登場!周防商会のエージェント

ところが森宮は殺された。
やったのは、有名な広域指定暴力団の殺人請負部門……周防商会のエージェントだ。
- 鴎木美紅(ピンクダイヤモンドの指輪をした30前後の女性)
- 百舌(凄腕の殺し屋)
森宮から紹介してもらった取引先に鳥井が営業をかける
↓
不審に思った取引先の一人『羽村』が、懇意にしていた美紅にリーク
↓
森宮が消された
ということだ。

これにより森宮から3000万の回収することは不可能となった。
しかし…経験したことない失態で風間から左手にアイスピックを刺されても、鳥井は笑ってノルマを自ら3億に増やした。
焼き鳥にされた飼っていた鳥…ヨウムも自ら食べた。
その後、海鳥を見ていた鳥井に、美紅が接触。
駆け引き、脅し、人となりを知るための挑発合戦が繰り広げられた。
ターゲットは『雛沢ファンド』

雛沢ファンドのナンバー2『羽村』が、美紅に殺人を依頼した。
向上意識が強い羽村は、現トップ雛座社長を引きずり下ろすために、『大川製作所の特許』が欲しかった。『大川修』さえいなければ……
一方鳥井も、羽村が美紅を懇意にしているということを知りながら、雛沢ファンドに目を付けた。
あと10日で三億…多少リスクがあろうとも収益が見込める案件にフルベットすべき。
まずは羽村が依頼したターゲットを絞り込むところからだ。
雛沢ファンド本社のオフィスビルに清掃員に扮して乗り込み、羽村と接触する。
(メンバーは鳥井、耳津、樫尾)
しかし羽村が寝返ることはなかった。
そしてなぜか地下駐車場で、美紅&百舌が待ち伏せしていた。
掃除道具に隠した爆竹で、鳥井達は逃げおおせた。
美紅は鳥井達を追わずに、羽村の元へ向かった。
そして美紅は、羽村の胸ポケットに盗聴器が仕組まれていたことに気づく。
『大川修を3日後に殺害する』計画が知られてしまった……
事故に見せかけて殺すことが必要なので、日付変更は難しい。
美紅は鳥井とやりあうことを決めた。
勝負の日

鳥井は風間に計画を話した。
美紅たちはゴルフ場の駐車場に停まっている大川の車に細工し、ハッキングして事故死させるつもりだ。(美紅たちのいつもの手口)
だから一度それを失敗させて大川を救い、羽村に自分たちに乗り換えてもらうつもりだと。
そして3日後。
駐車場で百舌が大川の車(BMWシリーズ・3のホワイト)のハッキングに動く。

その後鳥井と耳津が大川の車に移動し、テック担当・籠原の力を借りて仕掛けられたプログラムを解除する。
……しかしーー……やがて一台のBMWが、美紅の指示により限界加速。事故を起こした。
美紅は、事故を起こした車に乗っていたのは鳥井達だと認識していた。
大川を殺す計画を取りやめ、鳥井達にターゲットを変更していたからだ。
- 百舌が大川の車をハッキングするふりをする
- 鳥井達が大川の車のハッキングを解除に動く
- 裏切り者の風間が、誰もいなくなった鳥井達の車に端末を仕掛け、百舌が遠隔でハッキングする
しかしーー……
事故を起こしたBMWに乗っていたのは大川だった。
鳥井は大川と同じ車種を購入し、車ごと入れ替えるという大胆な仕掛けを打っていたのだ。
- 風間に自分の営業車は「BMWシリーズ3の白」だと吹き込む
- 社内の小物やナンバープレートの入れ替えを行う
- 大川に接触し、スマートキーの入れ替えを行う(鳥井の手癖発揮)
そして、美紅に鳥井から電話がかかってきた……
結末

鳥井は現在、雛沢ファンドの『雛沢社長』の依頼で、羽村殺害に動いているらしい。
盗聴内容の加工、愛人の誘拐など色々やったようだ。
さらに清掃員時の一件で、風間が裏切り者だと炙り出せていた。
鳥井たちは今、美紅の車の後ろにつけている。
そして美紅の車の底部に爆弾を仕掛けたことを告げる。
そのことを裏付けるように、極東コンサルティングの一人・樫尾も姿を見せる。
- 羽村から支払われるはずだった代金を立て替えて今すぐ入金しろ(8000万)
- 殺人請負事業の顧客リストを全部渡せ
鳥井の要求に、美紅は従った。
にもかかわらず、鳥井は死なせない程度に火薬を抑えていた爆弾を作動させた。
そして殺意を覚えて車から降りた百舌を射殺。
殺すならなぜ爆薬の量を抑えたのか?
美紅から受け取った8000万+雛沢社長からの依頼=2億。
風間に宣言したノルマは3億。
鳥井は美紅の指から1億のピンクダイヤモンドの指輪を回収し、ノルマを達成させた。
【相関図】登場人物まとめ

感想 映画化&漫画化が待ち遠しい

私は推理小説でもトリックよりキャラクターに「ウワ~~!!」となるのですが、本作の鳥井は最高でした。
倫理感を捨てて輝くキャラクター!フィクションの醍醐味ですよね。危機的状況で真価を発揮する、常人にはない行動力や肝の据わった様子をみせる…そういうのが大好物です。
分かってくださる方、次読む本はこのあたりがおすすめですよ▼
関連記事:ナオミとカナコは逃げきれたのか?原作結末のその後を考察。相関図も
話がそれましたが、『殺し屋の営業術』は2026年の本屋大賞ノミネート作の中で、個人的一番だと思います(まだ2作読んでないですが…)
欲を言うならちょっと短かったですけど。
この後どうやって鳥井が生きていくのか…まずは羽村殺害して若頭に2億を持っていかないといけないわけですし…続編ほしいですね。お願いします……!
本作は演出が派手だし(爆竹とか)ライバルも魅力的なので、映像化したら最高だなと思いました。
『探偵小石は恋しない』なんかはいくら面白くても映像にしたらトリックバレしてしまうけど、これは映画化・アニメ化・漫画化全部いけそうですよね……
今のところは発表ありませんが、時間の問題だと思っています。
実写化なら鳥井役の俳優はだれでしょうね?
- 35・6歳
- 好感が持たれそうな営業マン(七三分け)
堺雅人なイメージだけど50代だしな…わからん。

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