『十角館の殺人』に登場するキャラクター『ヴァン』。
恋人『中村千織』をミステリ研究会の新年会で亡くし、復讐として6名を殺人した『犯人』です。
そしてその正体は、主人公・江南たちと一緒に事件の捜査をしていた『守須恭一』と同一人物で…?
この記事ではヴァン(守須恭一)について詳しく解説。
- 【動機】千織はなぜ死んだのか?責任は誰にあった?
- 【犯行】同一人物トリックはどういうこと?ヴァンの行動まとめ
- 【その後】守須は事件後どうなったのか?逮捕?逃げ切り?
をネタバレありでお届けしていきます。
恋人『中村千織』の死因は?

ミステリ研究会の部員たちには秘密にして、守須がつきあっていた女性『中村千織』。
しかし千織は、物語開始の1年少し前に『事故』で亡くなりました。
死因はミステリ研究会新年会の三次会。その席上での急性アルコール中毒です。
持病の心臓発作が誘発された結果で、救急車が到着した時には手遅れでした。
- いつも千織は一次会で帰っていたのに、他のメンツが無理に三次会まで誘ったので参加していた
- 三次会は角島行きの六人+千織が残っており、周囲が無茶な飲み方をさせたらしい(江南談)
- 誰に責任があるとは追及されておらず「不幸な事故」とされている
(特に誰が千織に酒を飲ませたのか?救急車が来るまでの処置は適切だったのか?等は描かれていない)
ですがやはり、千織は殺されたのです。
持病があった彼女が、一人でアルコール中毒になるまで飲むことは無いでしょう。
性格的に三次会参加も飲酒も「すすめられて断れず」が濃厚。
守須が「事故ではなく殺されたのだ」と考えるのも無理はない話です。
殺人計画は一年後に発足

守須は三次会の場にいなかった自分を責めましたが、それ以上にその場にいた6人に罪を思い知らせてやりたいと考えていました。
しかし「お前らは人殺しだ!」と責めて終われるものではない……
『復讐』がしたい。
そんな感情が「殺人計画」に変わったのは、不動産業を営む伯父『巽昌章』が角島にある『十角館』を買い取ったと聞いた時でした。
時系列としてはこんな感じ。
| 昨年1月 | 千織が死亡 |
| 昨年9月 | 角島の青屋敷全燃(千織の家族が亡くなる) |
| 今年1月 | ミステリ研で、(連続殺人が起きた)角島に行きたいという話が出る (この前後に、守須は伯父が十角館を手に入れたと聞く) |
| 今年3月初め | 殺人計画を立てた上で、不動産業を営む伯父が十角館を手に入れたことを、ミステリ研究会の面々に告げる |
| 3月26日 | 6人+ヴァンが、角島に1週間の旅行で訪れる |
つまり守須が殺人計画を立てたのは、千織が亡くなって1年もたった後だった、ということです。
ヴァン(守須)の行動は?同一人物トリック

上記の理由でミステリ研の6名を殺害しよう考えた守須ですが、
6名と一緒に死ぬつもりも、捕まるつもりもありませんでした。
そのために、主人公(江南)を使ってアリバイ工作をし、やることが多すぎるスケジュールをこなします。
| 日付 | 行動 |
|---|---|
| 3/25 (旅行前日) 本土 | 江南をアリバイとして使うため&動機が「千織」だと知らしめるために、9通の手紙を投函。 |
| 漁船で荷物を角島に搬送。 ※周囲には「自分は角島に行かない」「他の面々の面倒をみてやるだけ」と伝えている。 伯父の車を借り、ボート・ボンベ・燃料を準備。 J崎の海岸に装備を隠す。 | |
| 〃深夜 本土→角島 | バイクでJ崎へ。 そこからボートで角島へ密航。 ボート・エンジン・燃料を岩場に隠し十角館へ滞在。 |
| 3/26 (1日目) 角島 | ミステリ研の六人が島に到着。 体調不良を装い早々に部屋へ戻る。 |
| 〃 夜 角島→本土 | 窓から脱出し、ボート&バイクで本土へ。 0市で江南に電話しアリバイ工作。 |
| 3/27未明 (2日目) 本土→角島 | 再び島へ戻る。 ホールにプレートを並べる。 |
| 〃 夜 角島 | オルツィを絞殺。 左手首を切断し埋める。 「第一の被害者」プレート設置。 |
| 〃 | アガサの口紅に青酸を仕込む。 |
| 3/28 (3日目) | 毒を塗った十一角カップを準備。 |
| 〃 夜 | カーが毒入りにあたって死亡。 「第二の被害者」プレート設置。 |
| 3/29 (4日目) 角島 | 地下室を細工。 松葉清掃・テグス罠設置。 |
| 3/30 (5日目) 角島 | 本土往復しアリバイ補強。 島へ帰還時、ルルウに目撃されたため石で撲殺。 「第三の被害者」プレート設置。 |
| 〃 | 十角館にて、毒口紅を塗って死んだアガサを発見。(4人目) |
| 〃 | ポウに毒入り煙草を吸わせ殺害。(5人目) |
| 〃 | エラリイに睡眠薬入りコーヒーを飲ませる。 灯油を撒き焼身自殺に見せかけ放火。(6人目) |
| 〃 角島→本土 | ボートで本土に移動。自室で睡眠。 |
| 3/31朝 本土 | 伯父から角島炎上の電話を受けて起床。 江南に連絡した後、J崎に隠していたボートやボンベを回収に行く。 その後、江南らと合流。 |
アリバイ工作のポイント

- 千織の指輪を形見分けとして貰っていたオルツィ以外は殺害順に拘りがなかったため、時限爆弾的な仕掛けを施した。
- 仮病が医学部のポウにも見破られないよう、水絶ちして本当に体調不良を作り出した。
- 業者から借りた夜具は6人分。
自分は雨漏りがひどい、とうてい使える状態ではない状態の部屋に滞在した。 - 江南には一緒に事件を調べようと誘われたが、「絵を描きたい」という理由で別行動を申し出た。
この絵も同じ構図で三枚、制作が進んだものを準備していた。
叙述トリックに騙される

物語途中でヴァンと守須が同一人物だと分かる描写は、吸っているタバコの銘柄(セブンスター)が同じだということくらいです。
しかし江南もセブンスターなので、人気の銘柄と言えばそれまでですね。
後は「滞在者7人の中に犯人がいる」と疑えば、やはり無人島という他に助けが求められない環境を手配したヴァンは怪しいかな……という気がしますが、
例の一行が明かされるまでにノーヒントで気づいた読者はいないのではないでしょうか?
なんといっても叙述トリックが秀逸!!
守須・ヴァン両方に「独白」があり、心の機微については嘘がないため「犯人ではないのだろう」と思い込んでしまいます。
アガサの死体を発見して驚いて吐いたり、「島から逃げたい」「泣きわめきたい」という感情も本物でした。
しかしそこには「自分が仕組んだことであっても」という前置きがつくわけですね。
守須のその後は?

では守須・ヴァンの最後はどうなったのか?
簡単にまとめると
- 殺人計画をやり遂げ
- 逃げ切るつもりだったが、ガラス瓶を拾ったため自首を選択
- この後は捕まって死刑になる展開が濃厚なのでは?
と思われます。
詳しくは以下の記事にて解説していますので、是非読んでみてください。




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