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十角館の殺人|最後の一行からガラス瓶と結末後を考察

十角館の殺人|最後の一行からガラス瓶と結末後を考察 小説・実用書

『十角館の殺人』におけるキーアイテム『ガラス瓶』。(原作ではガラス壜と表記)

プロローグとエピローグのみに登場するアイテムであり、物語の最後の一行は

「あそこにいるおじさんに、これを渡してきてくれないかい」

綾辻行人『十角館の殺人〈新装改訂版〉』より

という『犯人』のセリフで終わっています。
(おじさん→事件を嗅ぎまわっていた人物である島田、これ→ガラス瓶)

このラストはいったいどういう意味を持つのか?
そしてこの後(ガラス瓶を渡してくれと言った結末の後)どうなるのか?

この記事では余韻を持たされた「最後の一行」について、解説&考察していきます。

この先、犯人を含むネタバレが含まれますのでご注意ください。

緑のガラス瓶とは何?中身は?

海岸にうちあがった緑のガラス瓶(中に紙片)

透明な薄緑色の小さな「ガラス瓶」は、一言で言えば『犯人の良心』です。

具体的な中身:実行予定の殺人計画を書いた何枚かの紙片

恋人を殺された「復讐」として、ミステリ研究会のメンバーたちを残酷な方法で殺害しようとしていた守須恭一。

しかし「犯罪は裁かれるもの」という常識も持ち合わせていました。

だからといって計画は止められないけれど。
自分の行動の良し悪しはあらゆる生命を生み出した「海」に問うてみよう……

そのような想いで、殺人計画を書いた紙を詰めて、ガラス瓶を海に放流しました。

これがモノローグです。

最後の一行で結末が反転

守須と島田の簡易イラスト。

そしてこのガラス瓶が物語終盤、海岸を歩いていた守須の元に流れ着くのです。

6人を殺しておきながら逃げ切り濃厚だった

そしてその展開を受け入れるつもりであった守須の元に「良心」が戻ってきたのです。

逃げ切り濃厚……島田は守須が犯人だと感づいていたかもしれませんが、殺人現場は燃えており、島田自身も推理を警察に伝えるつもりはなさそうなので捕まらない可能性が大でした。

一度海に投げた瓶が自分の元に戻ってくるのは天文学的な確率です。

しかし「戻ったこと」が生命を生み出す存在である「海」の審判ならば、受け入れよう。

守須は近くで遊んでいた子供にガラス瓶を握らせ、島田の元に届けるようお願いします。

「あそこにいるおじさんに、これを渡してきてくれないかい」

綾辻行人『十角館の殺人〈新装改訂版〉』より

最後の一文で、守須は自首を申し出たのです。

これは物語の結末を反転させる、非常にドラマチックなセリフです。

結末後はどうなる?

コルクが抜かれ、中身が取り出されたガラス瓶

では、このエピローグ後はどうなったのか?

展開を予想・考察してみたいと思います。

当然、子供から渡された瓶を開けて、中身を調べるであろう島田。

そこから守須を直接問いただしに行くのか、警察に渡して調べてもらうのかはわかりませんが……

近いうちに「殺人犯は守須恭一」だと確定されるでしょう。

ガラス瓶の中の紙には「殺人計画」……

  • 伯父のゴムボートを使ってアリバイ作りのために角島と本土を往復すること
  • 使用する毒は理学部の事件室から盗み出したものだということ
  • 江南(かわみなみ)と会い、アリバイにすること

などが書かれているわけです。

島田は読むだけで守須が書いたものだと理解して、警察に持って行くでしょう。

そして守須は、真犯人として逮捕されます。

6人を殺人した罪……これはほぼ確定で死刑。良くて無期懲役となります。

「最後の一行」と「衝撃の一行」は別

最後の一行と衝撃の一行

余談ですが、『十角館の殺人』は「衝撃の一行」も有名です。

そしてこの「衝撃の一行」は、この記事で紹介した「最後の一行」とは別物です。

  • 最後の一行……正真正銘、物語の最後の一行。逃げのびそうだった犯人が自首を申し出た、結末が大きく変わる一行(セリフ)。
  • 衝撃の一行……物語の8割くらいの所で登場する、衝撃の事実が発覚するセリフ。これによって犯人が確定する。

帯や他の感想に書かれた「あの一行」「たった一行」「例の一行」なども「衝撃の一行」を指すと思われます。

混同しないように注意したいですね。

紹介した書籍

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