2025年末にアニメ映画公開の、深緑野分さん著作『この本を盗む者は』を読了しました!
「御倉館」から本が盗まれると、町ごと本の世界に飲み込まれる?!
それを元に戻せるのは一人の女子高生!?
という感じのファンタジー小説でした。面白い!
ですがけっこう長めの小説。この記事では
- 登場人物相関図
- あらすじをラストまで要約・解説(真白やひるねの正体は?)
- 読書感想
を簡単にまとめていきます。
ネタバレが含まれますのでご注意ください。
目次
登場人物相関図
まずは簡単に、登場人物の相関図です。重要人物が色付きです。

あらすじ要約

本の町・読長町の真ん中に建つ御倉館。
ここは主人公・深冬の曽祖父・嘉市が建てた巨大な書庫だ。
しかし祖母・たまきが引き継いだ後、
稀覯本(レアな本)が200冊盗まれるという事件が起き、たまきは激高。
一般への開放を一切やめてしまった。
その後、歳月がたって死亡したたまき。しかし……
たまきが遺した御倉館の【警報装置】は現在も作動しており……
たまきの孫・深冬(高1)に災難が降りかかる。
ブック・カースとは?

呪いの護符とは、たまきの「絶対に本を盗まれたくない」という願いをうけて、読長神社の神様「本読の尊」が作った呪い。
- 深冬の叔母・ひるねが読んだ本に呪いがかけられる
- 誰かが本を盗むと、読長町が父・あゆむの書いた物語の世界に変わり、その中に泥棒が閉じ込められる
- 泥棒を捕まえられなかった場合、街の人全員が神様の餌食となる
ひるねは何者?
たまきと神様との約束から生まれた存在。
【導入】深冬が不思議現象に巻き込まれる

深冬の父が自転車事故で入院したため、御倉館の管理は叔母『ひるね』がすることになった。
しかしひるねは寝てばかりで、一人で生活できる大人ではない。
深冬は父から頼まれて様子を見に行った。
案の定眠っていたひるね。ひるねの手には文字が書いてある「護符」のようなものがあった。
「この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる」?
すると突然現れた、制服姿の真っ白な髪の少女。
真白と名乗る彼女は、「泥棒が入って呪いが発動したため、泥棒を捕まえないと帰れない」と言い出しーー?
一つ目の世界:繁茂村の兄弟

「極端な雨男・ベイゼルと、晴れ男・ケイゼルの物語」に迷い込んだ深冬と真白。
あゆむ(父)が書いたこの物語が、読長町の人間で再現される中……
深冬は何もわからないまま、真白と一緒に「泥棒」を探す。
ヒントは「狐化」だった。
この世界に入ってしばらくすると皆、徐々に「狐化」する。
そして誰より先に物語世界に取り込まれるのは「泥棒」……
つまり、「一番最初に完全な狐になった者」が泥棒ということだ。
無事狐を真白が捕まえ、深冬は現実世界に帰ってきた。
二つ目の世界:BLACK BOOK

あれは夢だったのか?と悩むこと一週間。
またしても御倉館から本が盗まれ、深冬は物語の世界に入り込んだ。
次は「リッキー・マクロイ」の世界。
禁酒法ならぬ「禁本法」が施行されたハードボイルドな世界で、私立探偵・リッキーマクロイが活躍する話だ。
しかしリッキー・マクロイに助けを求めたことが裏目に出て、共犯者とみなされ警察に追いかけられる深冬たち。
助けてくれたのは本の密造組織の人間(配役:わかば書店員の春田)だった。
狐も密造組織内にいた。
確かに本が禁止された世界で、盗んだ本を隠せるのはここしかない。
しかし春田が印刷所を守るために密告したため、警察が近づいてくる。
深冬が狐に「こんな世界で死にたいのか」と脅しかけたことで、狐は本を返却。
深冬はもとの世界に戻ってきた。
三つ目の世界:銀の獣

深冬はもとの世界の道端でモード系ファッションの女性に話しかけられる。
その女性「蛍子」は自分が泥棒狐だと明かしてきた。
蛍子は深冬に「もう一度本を盗めばおかしな世界に入るかも」と実験を提案。
了承を得ずに実行する。
深冬はまたしても物語の世界に。今度は「銀の獣」という物語に入った。
十九世紀のイギリスが舞台の物語。浮いた格好の二人(深冬&真白)はあっという間に警察官に捕らえられ、引き離される。
深冬は工場に連れていかれ、インメスチールの加工工場で働かされることに。
その実態は、銀の獣のうんこ処理場だった。
ところがその処理場で狐と犬姿の真白を見つけた深冬。このままでは真白たちが銀の獣の餌にされてしまう…
そして驚くべきことに、別の配役を与えられた蛍子も発見する。
つまり、今回の泥棒は蛍子とは別人ということだ。
どうにか銀の獣から逃げ、銀の獣に対抗するための機械「インメスニウムの円盤」の不具合で、人間姿に戻った深冬。
「世界になじんでいない者」が人間になるなら、泥棒も人間に戻っているのではないか?
御倉館に行ってみると案の定、人間姿の書店員・春田がいた。
盗みを働いた理由は「御倉館の防犯システムを知るため」だと言う春田。
書店の万引き被害をどうにかしたいという思いからだった。
蛍子とも知り合いで、システムが分かれば本は返却する予定だったらしい。
というわけで、泥棒を捕まえて深冬は無事現実世界に戻った。
しかし……
なぜか読長町から深冬と春田以外の人間が消えていた。
四つ目の世界:人ぎらいの街

このままでは読長町の存在が、町の外から忘れられてしまう。
もう一度春田に本を盗ませた深冬。
「人ぎらいの街」という物語をなぞって得たヒント「己が街に拒まれたならば神の居所を求めよ」に従い読長神社へ向かった。
そこで「本読の尊」という神様が祖母・たまきを利用してブック・カースを作ったことも、
町の人たちが現在おいなりさん(狐)の石像になっていることも判明した。
さらに深冬は真白が、自分が昔描いた「絵」から作り出された存在だと思い出した。
かつて想像上の友達と遊んでいたころの、深冬の友達。
そして、昔は本が好きだったのに、祖母たまきのせいで嫌いになったことも思い出した。
今回捕まえないといけないのは「最初の泥棒」。たまきが激高してブックカースを生み出すキッカケとなった、あの200冊の泥棒だ。
しかし結論としては盗みではなかった。
本当は嘉市と友人関係だった神主への「寄贈」で、しかし管理者のあゆむが声をかけられたのを聞き逃した……
神主はたまきのあまりの剣幕に、出るに出られなくなった……
そういう顛末だった。
しかし神はその誤解を知っていながら、たまきを利用したのだ。
街の者を食べるためか、あるいは友達にしたかったのかーー?
深冬が念じることで、街は何事もなかったかのように元に戻った。
しかしひるねはいなくなり、真白とも会えなくなった。
結末 ハッピーエンド

それから一年。
父・あゆむは御倉館の一般公開を決めた。
深冬は本を読むことに抵抗がなくなり、たまきがかけた呪いから解けた。
深冬はまだ御倉館をいつかぶっ潰そうとは考えている。しかしその前に真白とひるねを連れ出さなければ……
だから物語の続きを書いた。
自分が主人公の私小説。すると真白が現れた。その横にはいつものように眠るひるねもいる。
深冬はもう離さないと友人を抱きしめた。
読書感想&アニメ映画化について

久しぶりにここまでのファンタジーを読んだ気がします。
「想像を現実に」…読書の可能性を呪いというもので具現化してしまう物語。とても楽しかったです。
でも長い!三つ目の世界の「銀の獣」が長かった!
行動派の主人公で「早くしろよ」とせかすタイプなので、展開としてはスピーディーなんですけどね。
死んだ祖母からはた迷惑な呪い(二つの意味で)を受けた孫の物語。
最後にちゃんと「読書嫌いからの解放」と「友人」が得られて本当によかったなと思います。
これは報酬なしにやってられない冒険です(笑)
百合っぽい雰囲気がありますが、友情が本当にいいですね。
小さなころ、自分が作り出した「友人」真白と冒険のパートナーとして仲を深める……
ひるねを戻ってこさせようと考えたのは父のためでしょうが、真白をあっさりと諦められないというのは深冬の心からの願いだろうなと感じます。
最後にアニメ映画化について。
予告を全部見たんですがアクションがすごい…!アニメオリジナルシーンも見受けられて、よりキャラ立ちするつくりになっている予感がしています。
神様との会話もあるようですし…具現化して、より視聴者にわかりやすい形でアニメーションにしたのかな?
2025年12月26日公開ですが、これは年末年始に見に行くのにぴったりなわちゃわちゃした映画になっていそうです。
楽しみ~~!
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